水溶液中では酸化剤と還元剤は電子の授受(もらったり渡したり)をしています。その反応を表すイオン式を特に半反応式といいますが、覚えておかなければならないことと半反応式の書き方にはコツがありますので酸化還元反応式とともに見ておきましょう。

半反応式とは

水溶液中での酸化剤や還元剤は電子を授受しており、このイオン反応式を半反応式といいます。

半反応式の書き方の手順は、
  左辺に反応物を書きます。
  右辺に生成物を書きます。
ここまでで大切なのは生成物が何なのかを覚えておかなければならないということです。

例えば、
硫酸酸性水溶液中では過マンガン酸カリウムが酸化剤としてはたらきます。
このとき反応物はマンガン酸イオン( \(\mathrm {MnO_4^-}\) )で良いのですが、
酸性溶液中では生成物として、マンガン(Ⅱ)イオン( \(\mathrm {Mn^{2+}}\) )になります。
ここを覚えておかなければならないのです。

 \( \mathrm {MnO_4^-} → \mathrm {Mn^{2+}}\)

ちなみに、中性および塩基性水溶液では、
生成物は二酸化マンガン( \(\mathrm {MnO_2}\) )になります。

次に酸素原子の数あわせをします。
  酸素原子の数を合わせるため、右辺に水( \(\mathrm {H_2O}\) )を加えます。

 \( \mathrm {MnO_4^-} → \mathrm {Mn^{2+}} + 4 \mathrm {H_2O}\)

この段階では両辺の電荷数や電子数や水素は無視していてかまいません。

  水素原子の数を合わせるために左辺に水素イオン( \(\mathrm {H^+}\) )を加えます。

 \( \mathrm {MnO_4^-} + 8\mathrm {H^+} → \mathrm {Mn^{2+}} + 4 \mathrm {H_2O}\)

これで原子数は左辺と右辺で合いました。
後は 
  電子( \(\mathrm e^-\) )を加えて電荷を合わせます。

 左辺は総電荷数+7、右辺は+2
なので左辺に水素イオンを5つ加えれば左辺と右辺で等しくなります。

 \(\mathrm {MnO_4^-}+8\mathrm {H^+}+5\mathrm e^- → \mathrm {Mn^{2+}} + 4 \mathrm {H_2O}\)

これが酸性溶液中での過マンガン酸カリウムのイオン式、半反応式です。

他の物質でも作り方は同じですので①から⑤を順番に進めて下さい。
還元剤の半反応式も作り方は同じです。

忘れていけないのは、反応物から出てくる生成物ですよ。
⇒ 酸化剤と還元剤 主な物質とその反応式
で確認しておいてくださいね。

酸化還元反応式

酸化剤と還元剤との反応を式にしたものを酸化還元反応式といいますが、
このとき酸化剤と還元剤とで受け渡しされた電子の物質量は等しくなります。

だから反応式をつくるときは電子の係数に注意してつくることになります。

酸化還元反応の作り方は、
例えば、
 過マンガン酸カリウム(\(\mathrm {KMnO_4}\) )の硫酸酸性水溶液と、
 硫化水素( \(\mathrm {H_2S}\) )水溶液との酸化還元反応式をつくるときは、

  酸化剤の半反応式をつくります。

 \(\mathrm {MnO_4^-}+8\mathrm {H^+}+5\mathrm e^- → \mathrm {Mn^{2+}}+4 \mathrm {H_2O}\)

  還元剤の半反応式をつくります。

 \( \mathrm {H_2S} → 2\mathrm {H^+} + 2 \mathrm e^- + \mathrm {S}\)

  ①②の半反応式の電子の数を合わせるため両方の式を何倍かします。

①は2倍、②は5倍します。

 \(2\mathrm {MnO_4^-}+16\mathrm {H^+}+10\mathrm e^- → 2 \mathrm {Mn^{2+}}+8\mathrm {H_2O}\)
 \(5\mathrm {H_2S} → 10\mathrm {H^+} + 10\mathrm e^- +5 \mathrm {S}\)

  電子の係数がそろったら両辺を加えて電子の項を消去します。
この両辺を加えると電子( \(\mathrm {e^-}\) )すべてと水素イオン( \(\mathrm {H^+}\) )がいくつか消えて、

 \(2\mathrm {MnO_4^-}\,+\,5\mathrm {H_2S}\,+\,6 \mathrm {H^+}\\ \\
 → 2\mathrm {Mn^{2+}}\,+\,5 \mathrm {S}\,+\,8\mathrm {H_2O}\)

という半反応式(イオン式)ができます。

  上のイオン反応式で省略されていたイオンを両辺に加えて、両辺の電荷が0になるようにします。
 \( \mathrm {MnO_4^-}\) には \( \mathrm {K^+}\)、
 \( \mathrm {H^+}\) と \(\mathrm {Mn^{2+}}\) には \( \mathrm {SO_4^{2-}}\)
を加えて反応式を整えると、

 \(2 \mathrm {KMnO_4}\,+\,5\mathrm {H_2S}\,+\,3\mathrm {H_2SO_4}\\ \\
 → 2 \mathrm {MnSO_4}\,+\,\mathrm {K_2SO_4}\,+\,5\mathrm{S}\,+\,8 \mathrm {H_2O}\)

という化学反応式が完成します。

むずかしそうに見えます。実際むずかしいです。笑
でも、反応物と生成物を覚えていれば難易度は格段に下がります。
①②の半反応式が書ければ後はかけ算足し算のレベルですからね。

後は溶液中に何が存在しているかを問題分から探し出し、原子の数を合わせルだけで良いのです。

力を入れるところは
⇒ 酸化剤と還元剤 主な物質とその反応式
です。

ここが覚えられていないとこのポイントはクリアーできません。
しっかり取り組みましょう。

酸化還元反応にも滴定があります。

⇒ 酸化還元滴定の方法と終点の決め方

終点の確認に注意しておきましょう。