ボイルの法則とは温度が一定なら圧力と体積の積が一定になるという法則です。
気体は温度や圧力によって体積が大きく変化します。
ここではボイルの法則とその理論の基本的な部分の説明をしておきます。
法則が使える様に慣れるための練習問題も少しやっておきましょう。

ボイルの法則

\(\color{red}{\fbox{ ボイルの法則 }}\)

 「温度を一定にすると、一定量の気体の体積は圧力に反比例する。」
これをボイルの法則という。

物質量と温度を一定に保ち、
圧力をかけると体積は小さくなり、
容器の体積を小さくすると圧力は大きくなるということす。

逆に圧力を下げると体積は大きくなり、
体積を大きくすると圧力は小さくなります。

風船をイメージすると分かり易いですね。
ぎゅっと握ると小さくなるけど中の気体は圧力が増してパンパンになりますよね?あれです。
風船の中の空気の量は変わらないの物質量を一定に保っていることになります。
この場合は温度変化も考えなくて良いです。

ボイルの法則の関係式

 圧力を\(\,P\,\)、体積を\(\,V\,\)とするとこの積が一定になります。

 \(\hspace{10pt} \color{red}{PV=k}\)(一定)

これは中学の数学で反比例\(\,xy=k\,\)を学んでいますが同じ関係式です。
\(\,y\,\)を\(\,x\,\)の関数の形で\(\displaystyle \,y=\frac{k}{x}\,\)とするのも同じことです。

一方が大きくなれば他方が小さくなりますよね。

何故体積を小さくすると圧力が大きくなるか?

圧力は単位体積あたりの分子の数に比例します。

粒子の衝突回数で圧力が生まれるので、
粒子(分子)の衝突回数が多ければ圧力は大きくなります。

一定の温度のまま体積を半分にすると
単位体積あたりの分子の数は\(\,2\,\)倍になります。

密閉容器なので分子が逃げるわけではなく、
狭くなれば存在する気体分子は密集することになりますよね。
それで衝突回数も増えるというわけです。

広い体育館に30人の生徒がいるときと、
比較的狭い教室に30人の生徒がいるときでは、
教室にいるときの方がぶつかりやすいのと同じです。

さて、温度が一定なら圧力と体積は反比例するボイルの法則ですが、
関係式\(\,PV=k\,\)(一定)を見ると分かりますが、
 圧力と体積の積は一定
です。

これが問題になります。

圧力\(\,P_1\,\)体積\(\,V_1\,\)の状態の気体を、
温度一定のまま圧力を\(\,P_2\,\)にすると、
体積\(\,V_2\,\)はどうなるか?

ここで重要なのは、
 温度が一定のときは定数\(\,k\,\)は変化しない
ということです。

 \(\hspace{4pt}P_1\times V_1=k\)
であり、
 \(\hspace{4pt}P_2\times V_2=k\)
でもあります。

つまり、
 \(\hspace{10pt}\color{red}{P_1\times V_1= P_2\times V_2}\)
が成り立つということです。

これがボイルの法則を式で表したものとなります。
(\(\,k\,\)を求める必要はありません。)

圧力をいくら変えてもかまいません。
同じ温度で圧力を\(\,P_3\,\)に変えたとき、体積が\(\,V_3\,\)になるなら、
 \(\hspace{4pt}P_1\times V_1= P_2\times V_2= P_3\times V_3=\cdots \)
となります。

ボイルの法則利用の計算練習問題

例題1

標準状態で\(\,\mathrm {20\,L}\,\)の気体を\(\,\mathrm{10\,L}\,\)にすると,
圧力は何\(\,\mathrm {Pa}\,\)(パスカル)になるか。

標準状態とは、「\(\,\mathrm{0\,℃}\,\)、\(\mathrm {1.0\times 10^5\,Pa}\,\)」のことです。
 (\(\mathrm{1.0\times 10^5\,Pa}\,\)は\(\,\mathrm {1\,atm}\,\)と同じです。)

\(\mathrm{10\,L}\)のときの圧力を\(\,P_2\,(\,\mathrm {Pa}\,)\)としてボイルの法則の式
 \(\hspace{10pt}PV=P’V’\)
にあてはめると、
 \(\hspace{4pt} \mathrm {1.0\times 10^5\times 20}=P_2\times 10\)
後はこれを解いて、
 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
P_2&=&\frac{1.0\times 10^5\times 20}{10}\\
&=&2.0\times 10^5 \,(\,\mathrm {Pa}\,)
\end{eqnarray}\)
と求めれば良いだけです。

計算練習は自分でやるとして(計算だけなので意味は無い)、
もう一つ式を立てる練習をしましょう。

例題2

\(\,\mathrm{0\,℃}\,\)、\(1.0\times 10^5 \,\mathrm{Pa}\,\)で\(\,\mathrm {200\,mL}\,\)の気体を、
温度を変えずに体積を\(\mathrm{\,250\,mL\,}\)にするには圧力を何\(\,\mathrm {Pa}\,\)にすればよいか。

むずかしく考えてはダメです。
温度が一定」のときはボイルの法則です。笑
 \(\hspace{10pt} P_1\times V_1= P_2\times V_2\)
圧力や体積の単位に指定はありませんので両辺で同じなら何でもかまいませんよ。

問題の\(\,\mathrm{0\,℃}\,\)というのは関係なくて、
 \(1.0\times 10^5 \,\mathrm {Pa}\,\)で\(\,\mathrm {200\,mL}\)
 \(\mathrm{250\,mL}\,\)では圧力は何\(\,\mathrm {Pa}\)か?
だけを見ます。

求める圧力を\(\,P_2\,\)として立式すると
 \( 1.0\times 10^5 \times 200=P_2 \times 250\)

これを\(\,P_2\,\)について解くと
 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
P_2&=&\frac{1.0\times 10^5 \times 200}{250}\\
&=&0.8\times 10^5\\
&=&8.0\times 10^4\,\mathrm{(\,Pa\,)}
\end{eqnarray}\)

計算は自分でして下さい。
数学でもそうですが人の計算を見て、自分でやった気になってはダメです。

温度が一定ならボイルの法則が成り立ち、
温度が一定なら圧力と体積の積が常に一定
ということですね。

数学に割と強い人はこのボイルの法則の式は必要ありません。
後で出てくる状態方程式1つで済むからですが、
ボイルの法則自体を聞かれることもあるのでどのような法則かは覚えておいた方が良いでしょうね。

次はシャルルの法則です。

⇒ シャルルの法則と絶対温度 気体の体積と温度の関係

体積と温度(絶対温度)との関係を見ることになります。

⇒ 気体の体積や圧力や密度を求める計算問題と覚えておきたい定数

状態方程式まで進んでいる人は気体の計算問題になれておくと良いです。
覚えておくといい定数をおすすめしています。