2020年(令和2年)度のセンター試験化学基礎の問題と第1問の解答解説です。
センター試験最後の化学基礎の問題になります。
偏った出題ではありませんので、基本を広く復習しておけば問題はないでしょう。
2020年(令和2年1月)に行われたセンター試験化学基礎の問題です。
センター試験最後です。
設問は全部で\(\,13\,\)あります。
詳しく解説するほどの問題はありませんので、一部計算すべき問題は説明を入れますが、
答えになる理由などは簡単に済ませ、後はこのサイト内で確認して頂くことにします。
決してめんどくさいわけではありません。笑
第1問物質の構成と物質量の解説
第1問は問1から問7まであります。
問1問2電子配置と周期表
問1
違うものだけを探すので消去法でも良いですよ。
①
原子番号\(\,2\,\)以上の原子の\(\,\mathrm{K}\,\)殻には\(\,2\,\)個の電子が入ります。
②
硫黄は原子番号\(\,16\,\)なので、\(\,\mathrm{K}\,\)殻に\(\,2\,\)個、\(\,\mathrm{L}\,\)殻に\(\,8\,\)個、\(\,\mathrm{M}\,\)殻に\(\,6\,\)個の電子が入ります。
③
ナトリウムイオン\(\,\mathrm{Na^+}\,\)は電子を1つ失い\(\,\mathrm{Ne}\,\)と同じ電子配置になり、
フッ化物イオン\(\,\mathrm{F^-}\,\)は電子を1つ受け取り\(\,\mathrm{Ne}\,\)と同じ電子配置になります。
④
窒素原子\(\,\mathrm{N}\,\)の最外殻電子は\(\,6\,\)個、
リン原子\(\,\mathrm{P}\,\)の最外殻電子も\(\,6\,\)個、
なので異なるという記述は誤りです。
\(\fbox{ 1 }\)の答え \(\,\underline{ ④ }\,\)
問2
これも誤りを含むものを選びます。
イとウとオに配置される原子は『典型金属元素』と呼ばれる原子です。
だから③の「オは、すべて典型元素」という記述は誤りです。
他の記述は正しいです。
\(\fbox{ 2 }\)の答え \(\,\underline{ ③ }\,\)
問3-問5極性と状態変化
問3
極性がない分子を2つ選びます。
極性は分子全体で電荷に偏りがある分子にあります。
性質では水(極性あり)と油(極性低い)をイメージすれば良いですが、
実際に目にする機会のないものもあるので構造を考えた方が確実ですね。
①水\(\,\mathrm{H_2O}\,\)は酸素に電子が偏っていて、直線構造をしていませんので極性があります。
②二酸化炭素\(\,\mathrm{CO_2}\,\)は酸素に電子が引きつけられますが、
\(\,\mathrm{O=C=O}\,\)と直線構造をしているので打ち消し合って分子全体では極性はありません。
③アンモニア\(\,\mathrm{NH_3}\,\)は対称的な構造をしているように思えますが、
実は平面ではなく、四面体構造の1つが欠けているような構造をしているので極性があります。
④エタノール\(\,\mathrm{C_2H_5OH}\,\)は酸素に電子が引かれるので極性があります。
水と同じと考えて良いです。
ヒドロキシ基\(\,\mathrm{OH}\,\)には極性がありますが、炭素差が長くなれば油性部分の割合が大きくなるので全体として極性も弱くなります。
⑤メタン\(\,\mathrm{CH_4}\,\)は炭素と水素には電荷の偏りはありますが、炭素を重心に水素4つが正四面体構造の配置をしているので、
電荷の偏りを打ち消し合って分子全体では極性はありません。
\(\,\fbox{ 3 },\fbox{ 4 }\,\)の答え \(\,\underline{ ② ⑤ }\,\)
問4
またも誤りを含むものを選びます。
①液体の表面では沸点以下でも蒸発(気化)は起こります。
沸騰は液体内部から蒸気が発生することです。
②普通の状態変化は気体から液体を経て固体になりますが、
気体から直接固体になるものもあります。
固体から気体への逆の変化も同じです。
昇華ですね。
\(\,\fbox{ 5 }\,\)の答え \(\,\underline{ ② }\,\)
③④は正しいです。
問5
蒸留するときの装置の設置方法です。
手順\(\,Ⅰ\,\)
温度計は枝の付け根の位置にします。
枝の付け根で温度が一定になれば集めている蒸気が純物質であると判断できます。
ウ
手順\(\,Ⅱ\,\)
アダプターとフラスコをゴム栓で密閉すると、
フラスコ内の気圧が上がるので気体の流入がなくなります。
それに、圧(気体)の逃げ場がなくなり加熱の状態によっては装置のどこかが破裂する危険もあります。
実験室の状況(変な気体が部屋に充満していない、誇りがほとんどない等)によってはアルミ箔は必要ない場合もあります。
しかし、密閉はしません。
エ
\(\,\fbox{ 6 }\,\)の答え \(\,\underline{ ⑤ }\,\)
といった、適当な理由が見つかれば大丈夫です。笑
問6問7物質量の計算
問6
物質量の計算です。
反応しても原子は消えるわけではないので、反応前と反応後の量は変わりません。
最初に溶かしていたのは\(\,\mathrm{CaCl_2}\,\)と\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)です。
硫酸ナトリウム\(\,\mathrm{Na_2SO_4}\,\)を十分に(多めに)
を加えると
\(\,\color{red}{8.6}\,\mathrm{g}\,\)の\(\,\mathrm{CaSO_4\cdot 2H_2O}\,\)(式量\(\,\color{blue}{172}\,\))
の沈殿が得られた。
ここで\(\,8.6\,\mathrm{g}\,\)の\(\,\mathrm{CaSO_4\cdot 2H_2O}\,\)は
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{\color{red}{8.6}}{\color{blue}{172}}\,(\,\mathrm{mol}\,)\)
です。
臭化物イオンは最初の\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)にあったもので、
1つの\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)から臭化物イオン\(\,\mathrm{Br^-}\,\)は2つ出てくるので
反応していない\(\,\mathrm{Br^-}\,\)が\(\,0.024\,(\,\mathrm{mol}\,)\,\)あるなら
\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)中のカルシウムイオンはその半分の
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{0.024}{2}\,(\,\mathrm{mol}\,)\)
あったことになります。
沈殿に使われたカルシウムイオンは\(\,\mathrm{CaCl_2}\,\)と\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)の両方を合わせた物質量なので、
\(\,\mathrm{CaCl_2}\,\)の物質量を\(\,x\,(\,\mathrm{mol}\,)\)とすると
\(\begin{eqnarray}
x+\frac{0.024}{2}&=&\frac{8.6}{172}\\
x&=&\frac{8.6}{172}-\frac{0.024}{2}\\
&=&0.05-0.012\\
&=&0.038\,(\,\mathrm{mol}\,)
\end{eqnarray}\)
\(\,\fbox{ 7 }\,\)の答え \(\,\underline{ ④ }\,\)
部分的に小数計算しても良いですよ。
方程式にして分母を無くそうかと思いましたが、小数計算の方が楽な気がしたので途中で割りました。笑
方程式にした物質量はカルシウムイオンです。
\(\,\mathrm{CaCl_2}\,\)中のカルシウムイオンの物質量
+
\(\,\mathrm{CaBr_2}\,\)中のカルシウムイオンの物質量
が
沈殿中のカルシウムイオンの物質量
となっているということです。
問7
生活に関わる物質について誤りあるものを選びます。
①ボーキサイトの主成分は酸化アルミ(アルミナ)\(\,\mathrm{Al_2O_3}\,\)なので誤りです。
\(\,\fbox{ 8 }\,\)の答え \(\,\mathrm{ ① }\,\)
ちなみに日本のボーキサイト輸入先はオーストラリアが一番多かった?
化学とは関係ないからいいか。笑
他は正しいです。
第1問はここまでです。
中途半端になりますが、ここで区切ります。
だいたい5分くらいで読み終えるでしょう?
第\(\,2\,\)問は同位体、モル濃度、中和滴定などの問題ですが、ほとんど計算する所はありませんのですぐに終わります。
⇒ 共通テスト(センター試験~)の化学と化学基礎の過去問解説
毎年言っている気がしますが、
基本中心に広い範囲の復習を繰り返せば良いだけですよ。