二糖類(マルトース、スクロース、ラクトース)の構造と性質

単糖類のグルコースが2つ結合した糖類を二糖類といいますが、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)について基本的な構造と性質を示しておきます。固有名詞が多くなるので構造式は後に回した方が良いです。

マルトース

マルトースは麦芽糖とも呼ばれ\mathrm{\alpha-}グルコース2分子が脱水縮合した構造をしています。

(この結合を\mathrm{\alpha}グルコキシド結合といいます。)
デンプンをアミラーゼ(唾液に含まれる酵素)で加水分解すると得られます。
マルトースの構造には開環するとアルデヒド基になる部分があるので水溶液は還元性を示します。

環状構造の端っこにヘミアセタール構造があって水溶液中で開環するとそこがアルデヒド基となり還元性を示すのです。
hemiase
構造式はグルコースを覚えてからで良いですが、
マルトースは、\mathrm{\alpha-}グルコース+\mathrm{\alpha-}グルコース
だということと、水溶液が還元性を示す、ということは覚えておきましょう。
ただし、マルトースを加水分解しても\mathrm{\alpha-}グルコースだけが得られるわけではありません。
水溶液中で反応させると必ず\mathrm{\alpha-}型と\mathrm{\beta-}の混合物が得られるので注意が必要です。

スクロース

スクロースはショ糖とも呼ばれ、
\mathrm{\alpha-}グルコースと\mathrm{\beta-}フルクトースが脱水縮合した構造をしています。
sukurosu
この結合はグルコースとフルクトースの還元性を示す部分で結合しているのでスクロースの水溶液は還元性を示しません
ただし、スクロースをスクラーゼ(インベルターゼ)と呼ばれる酵素で加水分解するとグルコースとフルクトースの混合物(転化糖)になるので還元性を示すようになります。

ちょっとややこしいですが、スクロースを加水分解すると旋光性と呼ばれる性質が右から左に逆転します。だからスクロースの加水分解を転化といって、このときできた糖を転化糖といいます。転化糖はスクロースより甘味が強くてジュースなどに添加されます。ハチミツも天然の転化糖ですよ。

スクロースは\mathrm{\alpha-}グルコース+\mathrm{\beta-}フルクトースの二糖類で、
スクロース自体は還元性は示さないが、加水分解すると転化糖になり還元性を示す。
ということですね。

ラクトース

ラクトースは乳糖とも呼ばれ、グルコースとガラクトースが脱水縮合した構造をしています。

マルトースとの違いがわかるでしょうか?
分子式はグルコースと同じだけど、官能基の結合の向きが若干違うガラクトースとの結合なのでよく見ると違いがあります。
この構造は開環してアルデヒド基となる部分がありますので水溶液は還元性を示します。
ラクターゼという酵素で加水分解するとグルコースとガラクトースを生成します。

既に気がついている人もいると思いますが、
酵素の名前は分解する物質の語尾に(アーゼ)とつけるとおおよそ分解酵素名になります。笑

もう一つ二糖類としてセロビオースというのがあり、
\mathrm{\beta-}グルコースが2分子脱水縮合したものでヘミアセタール構造が残っているので水溶液は還元性があります。
植物細胞の細胞壁を構成しているセルロースを加水分解すると生じます。

もう一度まとめておくと、

 マルトース 

\mathrm{\alpha-}グルコース+\mathrm{\alpha-}グルコース
水溶液は還元性を示す。

 スクロース 

\mathrm{\alpha-}グルコース+\mathrm{\beta-}フルクトース
水溶液は還元性を示さない。

 ラクトース 

グルコース+ガラクトース
水溶液は還元性を示す。

 セロビオース 

\mathrm{\beta-}グルコース+\mathrm{\beta-}グルコース
水溶液は還元性を示す。

スクロース以外は水溶液が還元性を示しますので、
「スクロースの水溶液は還元性無し」を覚えた方がはやいですね。w

もう一つ追加しておくと、
「トレハロース」という二糖類もありますが、ほとんど目にしないので覚えなくて良いです。
これもセミアセタール構造がつぶれているので還元性は示しません。

加水分解すると単糖類になるので
単糖類(グルコースとフルクトース)の構造と性質

糖類(単糖類、二糖類、多糖類)の分類と加水分解
は必ず見ておいてください。




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