2017年(平成29年度)1月に行われたセンター試験「化学」本試験の解説です。正解を出すまでの解説なので関係ないところは長くなるので省略します。化学基礎ほどは簡単にはいきませんが、どちらも問題の傾向と来年度に向けての対策は同じだといって良いですよ。先ずは前半の第1問と第2問の48点分の解説です。

最後の選択問題も説明しておきます。
最後に対策方法をまとめますので来年度の受験生は対策方法をしっかり理解しておいて下さい。

問題は ⇒ 2017平成29年度センター試験「化学」問題

第1問

問1-分子結晶

⇒ 結晶の種類と性質 化学結合の違いは?

a:分子結晶はヨウ素だけです。
黒鉛(炭素)、ケイ素は共有結合結晶、ミョウバンは水和物を持つイオン結晶、白金は金属結晶です。

b:非共有電子対についてです。
電子式が書ければ問題ありません。
⇒ 分子式と組成式との違いと共有結合の仕組みと電子式
非共有電子対とは結合に使われていない部分なので、二酸化炭素の2つの酸素に2つずつ非共有電子対があることが分かりますね。
電子式のように点で書かなくても、構造式を書いて、価標1本が電子2個分で、原子の周りには電子が8個あると考えればおおよそ分かるようになります。
ただし、水素は原子の周りに電子は2個です。

問2-面心立方格子の対角線から原子半径を求める問題

図も与えられて分かり易い問題なので、1つの面を抜き出せば三角定規を思い出すでしょう。
中学生の数学の問題です。
対角線上に原子2つ分並ぶので、対角線と原子半径の関係は、

 \( \mathrm{\sqrt{2}a=4r}\)

これを \(\mathrm{a}\) について解いて、

 \( \mathrm{a=2\sqrt{2}r}\)

問3-温度と気体分子の速度関係グラフ

気体分子は温度が高くなると速くなる分子が多くなります。
⇒ 気体分子の熱運動と圧力の単位と大気圧
速度が速い分子が増えるということは壁面への衝突回数が増えるということなので圧力も大きくなります。

問4-状態図の読み取り

温度を一定したときは縦に線を引いて、
圧力一定のときは横に線を引いて考えれば簡単です。
ただ、「気体から液体」への変化を見るので問題をよく読まないと正解にはたどり着きません。
温度一定のときは三重点より右(温度高)で、上(圧力高)にすれば良い。
圧力一定のときは三重点より上で(圧力高)、左(温度低)にすれば良い。

問5-気体の圧力計算

水蒸気圧を考慮します。
温度一定なので水蒸気圧は変わりません。ここがポイントですね。
全圧から水蒸気圧を引いたものが窒素の圧力です。

 \( \mathrm{P_{N_2}=4.50\times 10^{-4}-3.60\times 10^{-3}=4.14\times 10^{-4}}\)

これが2倍になる(体積半分で圧力は2倍)ので、圧縮後の窒素の圧力は、

 \( \mathrm{4.14\times 10^{-4}\times 2=8.28\times 10^{-4}}\)

これに水蒸気圧を加えると圧縮後の全体の圧力は、

 \( \mathrm{8.28\times 10^{-4}+3.6\times 10^{-3}=8.64\times 10^{-4}}\)

問6-凝固点降下

⇒ 希薄溶液の蒸気圧降下と沸点上昇と凝固点降下
凝固点降下度の式を覚えていないと結構苦しい計算になるかもしれませんね。

 \( \displaystyle \mathrm{\Delta t}=K_\mathrm{f}\times \frac{w\times 1000}{M\times W}\)

において、溶媒の質量は「密度×体積」なので、

 \( \displaystyle \mathrm{\Delta t}=K_\mathrm{f}\times \frac{x\times 1000}{M\times 10d}\)

これを \(\mathrm{d}\) について解くと、

 \( \displaystyle d=\frac{100xK_\mathrm{f}}{M\Delta t}\)

第2問

問1-結合エネルギー

⇒ 結合エネルギーと反応熱
左辺(反応物)の持つ結合エネルギーは

 \( \displaystyle \mathrm{\frac{3}{2}\times 436+\frac{1}{2}\times 945=1126.5}\)

右辺(生成物)の持つ結合エネルギーはこれに反応熱を加えれば良いので、

 \( \mathrm{1126.5+46=1172.5}\)

近似値としては「1170」です。

問2-ルシャトリエの法則

⇒ ルシャトリエの原理と化学反応の平衡移動
平衡移動ですね。
問題では反応熱も与えてくれているので簡単です。
圧力をかけると気体分子数を減らす方向に平衡が移動します。

問3-グラフからの濃度と反応速度の読み取り

⇒ 反応の速さと反応速度の求め方
反応式さえ書ければ計算自体は簡単で問題はありませんね。

 \( \mathrm{2H_2O_2\rightarrow 2H_2O+O_2}\)

a:発生した酸素は0.05molなので過酸化水素は0.10molあったということです。
これが100mLになっていたのでmol濃度は、1.0mol/L。

b:最初の20秒で変化した過酸化水素は溶液200mL中で0.008molです。
(溶液は200mLになっていて、反応した過酸化水素は発生した酸素の倍です。)
モル濃度にすると0.04mol/L変化したことになります。
これを反応時間の20秒で割れば良いだけで、

 \( \displaystyle\mathrm{\frac{0.04}{20}=0.002=2.0\times10^{-3}}(\mathrm{mol/L\cdot s})\)

問4-電離と緩衝溶液

⇒ 緩衝(かんしょう)溶液とは?緩衝作用の原理と緩衝溶液のpH
酢酸ナトリウムはほぼ電離します。
酢酸の電離度は小さいので、酢酸水溶液中の酢酸と、酢酸ナトリウムで電離した酢酸イオンはほぼ同量です。
緩衝溶液の作用でpH変化が起こりにくくなります。

問5は電気分解です。
陽イオン交換膜が陽イオンのみを通過させるということに気をつければ問題ありませんね。

問6-酸化還元

反応式は、

 \( \mathrm{SO_2+2H_2S\rightarrow 3S+2H_2O}\)

二酸化硫黄は還元されて硫黄になっています。
ということは二酸化硫黄は酸化剤として働いているということですね。
さて、硫化水素は0.010mol/Lで200mLありましたからmol量は

 \( \displaystyle\mathrm{0.01\times \frac{200}{1000}=0.002(mol)}\)

このうち14mLの二酸化硫黄と反応した硫化水素は2倍なので、

 \( \displaystyle \mathrm{\frac{14}{22400}\times2=0.00125(mol)}\)

残った硫化水素は

 \( \mathrm{0.002-0.00125=0.00075=7.5\times 10^{-4}(mol)}\)

前半まとめ

ここまでが問2までの12問?48点分です。
まだ半分いっていません。笑

あまり悩んでじっくり考える時間はなさそうです。
基本事項をしっかりおさえておき、問題を解くときは切り替えが重要です。

続きです。

⇒ 平成29年度「化学」後半

1つひとつはつながらないので小問が12問あるということですからね。
分からない、時間がかかりそう、と思う問題は後回しで良いでしょう。