刺激を受容し反応する受容器についてまとめておきます。
光受容器である眼や音受容器である耳のはたらきやしくみはよく問題にされますので確認しておくといいでしょう。
また、平衡受容器や嗅覚や味覚などさまざまな感覚についても簡単にですがまとめておきます。
刺激の受容と感覚の種類
刺激の種類によって受容器は変わってきます。
光は目で受容し、音は耳で受容する、というように特定の刺激が特定の受容器で受け取られます。
刺激を受けた細胞がそれまでと違った活動状態になることを興奮といいますが、
各受容器には特定の感覚細胞が集まっていて、適刺激によって感覚細胞が興奮します。
※
感覚細胞が受け取ることのできる刺激はそれぞれ決まっていて、それを適刺激といいます。
ただし、適刺激であっても興奮が起こる最小限度の強さである「閾値」を超えていなければ興奮は起こりません。
閾値については活動電位の項目を復習しておきましょう。
ニューロンの種類と活動電位およびシナプスの神経伝達物質
受容器の興奮は「感覚細胞」を通じて大脳の「感覚中枢」に伝えられます。
大脳では刺激に応じた感覚が生じます。
さまざまな感覚と適刺激がありますので先ずは簡単にまとめておきます。
感覚 | 適刺激 | 受容器 |
視覚 | 光 | 目:網膜 |
聴覚 | 音波 | 耳:うずまき管 |
平衡覚 | 重力変化 | 耳:前庭 |
平衡覚 | 加速度 | 耳:半規管 |
味覚 | 化学物質(液体) | 舌:味覚芽 |
嗅覚 | 化学物質(気体) | 鼻:嗅上皮 |
圧覚 | 圧力 | 皮膚:圧点 |
温覚 | 高い温度 | 皮膚:温点 |
冷覚 | 低い温度 | 皮膚:冷点 |
各受容器については後で詳しく説明しますが、
刺激から感覚が成立するまでの流れは、
「適刺激」
→ 「受容器で感覚細胞が刺激を受容する」
→ (感覚神経)
→ 「大脳の感覚中枢で感覚が成立する」
ということは覚えておいてください。
外界からの情報を受けとると、脳や脊髄などの中枢からの命令によって筋肉などの効果器が、中枢からの命令に応じた反応や行動を起こします。
刺激から効果器までの反応は、
「適刺激」
→ 「受容器で受け取り」
→ 「感覚神経を通じて中枢へ」
→ 「中枢で情報処理」
→ 「運動神経を通じて効果器で反応」
という流れになります。
刺激については
⇒ かぎ刺激や定位行動
も良く聞かれますのでおさえておいた方が良いですね。
光受容器
視覚の成立
目です。
角膜を通った光は、虹彩の伸縮によって瞳孔と呼ばれる「ひとみ」から入射する光量が調節されます。
瞳孔から入射した光は、水晶体(レンズ)で屈折して網膜上で像が結ばれます。
カメラでいうと水晶体がレンズで、網膜がフィルムの役割となります。
光刺激によって網膜にある視細胞が興奮し視神経を通じて大脳の視覚中枢に伝えられ、そこで視覚という感覚が成立します。
視細胞について
光の刺激を受容する視細胞には2つ種類があります。
錐体(すいたい)細胞
網膜中央の黄斑部に集中して分布していて、明るいところではたらき、色の識別ができます。
赤色、緑色、青色の光を特に識別できる3種類の細胞があります。
桿体(かんたい)細胞
黄斑周辺に分布しています。
感光物質であるロドプシンを持ち、色は識別できませんが弱い光を受容できます。
視神経の束が網膜を貫いて眼球の後方に出る部分は、視細胞が分布していないので光を受容できません。
この部分を「盲班(もうはん)」といいます。または「盲点」と呼ばれることもあります。
明順応と暗順応
暗順応とは、
明るいところから暗いところに入った時、
最初は暗くて何も見えませんが、
やがて桿体細胞の感受性が高まり、
見えるようになることをいいます。
明順応とは、
暗いところから明るいところに入った時、
最初はまぶしく感じても、
すぐに桿体細胞の感受性が低下し、
普通に見えるようになることをいいます。
遠近調節
近点調節毛様体が収縮し、チン小帯がゆるみ、水晶体が厚くなることで近くのものが見えるようになります。
遠点調節毛様体が弛緩し、チン小帯が引っ張られ、水晶体が薄くなることで遠くのものが見えるようになります。
音受容器
耳です。
音波は外耳道(がいじどう)を通って、鼓膜(こまく)を振動させます。
その振動は耳小骨(じしょうこつ)を経て内耳のうずまき管に伝わり、
その内部をみたす外リンパ液を振動させます。
その振動は基底膜(きていまく)に伝わり、
その上のコルチ器管にある聴細胞の感覚毛が「おおい膜」に触れて聴細胞が興奮します。
生じた興奮は聴神経を通じて大脳の聴覚中枢に伝わり、聴覚を生じます。
※
ヒトの耳は、低音の200Hz(ヘルツ)から高音の20000Hzまでを受容でき、高音ほど基部に近い部分で受容します。
聴覚の成立は、
音波
→ 鼓膜で受容
→ 耳小骨
→ うずまき管(コルチ器管)
→ 聴細胞
→ 聴神経
→ 大脳の聴覚中枢
という流れでおこります。
平衡受容器
内耳にあり重力や運動の方向を受容します。
耳石の移動を感知して、からだの傾きを知る器官を「前庭」といいます。
リンパ液の流れを感知して、からだの回転を知る器官を「半規管」といい、
左右の耳に3つずつ存在します。
これらの平衡受容器で受容した興奮が大脳に伝わって平衡覚を生じます。
これらのほかにも受容器はあります。
ヒトの場合、化学物質を受容する化学受容器は鼻と舌にあります。
鼻の嗅上皮(きゅうじょうひ)では空気中の化学物質を嗅細胞で受容します。
これが「嗅覚」です。
舌の味覚芽(みかくが)では水に溶けた化学物質を味細胞で受容します。
これが「味覚」です。
他にもさまざまな刺激に対する感覚点もありますがここまでを少しまとめておきます。
まとめ
このページでは受容器がいくつも出てきましたのでまとめとして確認しておきます。
・光刺激を受容するのは目の「網膜」である。
・音(音波)の刺激を受容するのは耳の「コルチ器管」である。
・重力の変化を受容するのは耳の「前庭」である。
・加速度(身体の回転)を受容するのは耳の「半規管」である。
・気体の化学物質を受容するのは鼻の「嗅上皮」である。
受容器もいろいろありますし、
感覚神経もそれぞれに存在しますが、
どれも閾値を超えなければ感覚しません。
興奮や閾値とは何か、
確認しておくと良いですよ。