動物が生まれつき持っているかぎ刺激や定位行動やコミュニケーションなどの生得的行動と、
「慣れ」やオペラント条件付けなどの「学習」についてまとめておきます。
これらは行動がともなうので、いろいろな動物の動きや反応をそれぞれイメージしておくと覚えやすいですよ。

生まれつき備わっている行動

人も含めた動物が生まれつき持っている、備わっている行動を「生得的行動」(せいとくてきこうどう)といいます。
いろいろな経験や学習に関係なく、本能的に持っている行動様式のことです。

かぎ刺激

動物の特定の行動を引き起こす刺激を「かぎ刺激」または信号刺激といいます。
ティンバーゲンらの実験によって解明されたイトヨの生殖行動が有名です。
イトヨというのはトゲウオの一種で繁殖期になるとお腹が赤くなる魚の名前です。

イトヨの雄は繁殖期になるとお腹が赤くなります。
この時期の雄は同じようにお腹の赤い同種の雄をみると、そのお腹が赤いことがかぎ刺激となり、相手を攻撃します。

ところがイトヨの雌(メス)はお腹は赤くなりません。
お腹がふくらんでいることがかぎ刺激となり、雄は雌に対しジグザグダンスなどの「求愛行動」をします。

イトヨの求愛行動の流れは、
お腹のふくらんだ雌に雄のイトヨがジグザグダンスを見せて巣に誘います。
その後巣に入った雌の尾部を突っついて産卵させます。
産卵後雌は巣をでます。
雄は産卵された巣に入って放精します。

定位行動

動物が、太陽、星座、化学物質などを目印とし、
特定の方向を定めることを「定位(ていい)」といいますが、
それにもとづいて移動する行動を「定位行動」といいます。

定位行動には「走性」や「エコーロケイション」や「太陽コンパス」などがあります。

走性」は動物が刺激に対し一定の方向性をもって移動することをいいます。

光を刺激とする場合を「光走性」(こうそうせい)といいますが、
ガが光に集まるような、刺激に対し向かう、近づく走性を「正の走性」、
ミミズが刺激と逆方向に進む、遠ざかる走性を「負の走性」といいます。
化学物質が刺激となる走性は「化学走性」といわれます。

コウモリは人が聞き取れる周波数より高い周波数である超音波を発して、
標的から返ってくるエコー(反響音)を使って定位します。
これを「エコーロケーション」(反響定位)といいます。

また、渡り鳥の一種であるホシムクドリは、
太陽の位置を頼りに(基準として)方向を知り「渡り」をしています。
これを「太陽コンパス」といいます。

夜に「渡り」を行う鳥は星座を利用して定位を行います。
これを「星座コンパス」といいます。

他にも、地磁気を利用する「地磁気コンパス」で定位をする動物もいます。

コミュニケーション

同じ種類の個体どうしにおける情報のやりとりを「コミュニケーション」といいます。
ミツバチやアリのようにコロニーをつくる社会性昆虫が行い、「フェロモン」や「ダンス」などによって情報を伝達します。

体外に放出され同種の個体に情報を伝達する化学物質のことを「フェロモン」といいます。

カイコガの雌が雄を誘引するときに出すのは「性フェロモン」といいます。
アリで集団の形成、維持に働くのは「集合フェロモン」と呼ばれます。
ゴキブリの糞には集合フェロモンが含まれています。そのため掃除をしていない台所などはゴキブリが集まりやすくなります。逆に掃除をこまめにしている台所ではゴキブリの糞が除去されているのでゴキブリは寄りつきにくくなります。
アリが仲間に餌の場所を教えるための「道しるべフェロモン」もあります。
また、アリやミツバチで仲間に危険を知らせるフェロモンを「警報ホルモン」といいます。

ミツバチが餌場の方向と距離を知らせるダンスがあります。
ミツバチのダンスはダンスの仕方によって距離と方向を知らせることをフリッシュが明らかにしました。

餌場が近いときは「円形ダンス」、
餌場が遠いときは「8の字ダンス」です。
また餌場の方向を示すのは、太陽の位置を利用します。
巣箱から太陽の方向をみたとき、ダンスのゆれる方角で餌場がわかるように踊っているのです。

学習によってとるようになる行動

生まれてからの経験によって行動様式が変化することを「学習」といいます。
「慣れ」や「古典的条件づけ」などがあります。

慣れ

繰り返し同じ刺激を受けた結果、次第に刺激に対して反応しなくなることを「慣れ」といいます。

慣れると全く反応しなくなるわけではありません。
例えば、
アメフラシのえらにつながる水管を刺激すると、「えら引っ込め反射」を起こします。
この刺激を何度も繰り返すと「慣れ」が生じ、えら引っ込め反射をしなくなります。
ただし、電気ショックなどの強い刺激を与えると、えら引っ込め反射が回復します。
また、もっと強い電気刺激などを与えると、極めて小さな刺激でも反射を起こすようになります。

古典的条件付け

訓練をしなくても無条件で起こる反応を「無条件反応」といい、
訓練なしに反射的な行動を起こす刺激のことを「無条件刺激」といいます。
逆に、
条件づけ訓練によって反射的な行動を起こすようになる刺激が「条件刺激」です。

無条件刺激と条件刺激が結びついて本来なら原因とはならない刺激に対して、
反応が起こるようになる現象を「古典的条件づけ」といいます。

例えば、
イヌに肉を与えるとき、無条件反射とは関係の無い条件刺激であるベルの音を聞かせると、ベルの音を聞いただけでだ液を出すようになる条件反応がそうです。

また、孵化(ふか)して間もないカモやアヒルのひなが、
最初に目の前を動くものを親と学習して追いかけていくように、
一定の時期に行動の対象を記憶することを「刷込み」(インプリンティング)といいます。

オペラント条件付け

ネズミを迷路に入れると、はじめは失敗しますが何度も繰り返していると迷路を通過する方法を記憶します。
このように、失敗を繰り返し間違いが減る学習を「試行錯誤」といいます。

また、レバーを押すと餌が出る装置にネズミを入れておくと、偶然レバーを押して餌を得ることがあります。
これを繰り返すうちにレバーを押すと餌が出る事をネズミが学習します。
これはスキナーの実験ですが、
自分自身の行動とその結果、餌が得られることを結びつけて学習することを「オペラント条件づけ」といいます。

知能行動

過去の経験から、思考、推理、洞察力をはたらかせて、
目的にかなった合理的な行動をすることを「知能行動」といいます。

生得的行動と学習の違いわかりましたか?

メダカが水の流れに逆らって泳ぐのは生得的行動で「正の流れ走性」といいます。
蚊が二酸化炭素を出す人に近づくのは「正の化学走性」です。

カモが最初に見た動くものに追従するのは経験ではありませんが「学習」のうちの「刷込み」です。
イトヨの雄が腹の赤い雄を攻撃するのは「生得的行動」の「攻撃行動」です。

用語も多いですけど、生得的行動から覚えていきましょう。