2018年(平成30年)度センター試験化学第1問の解答と解説です。
全体を解いてみた感じは例年とそれほど変化はないという印象で、対策は以後変わることはないと毎年感じています。
ここでは試験時間60分と相談しながら、受験生ならどうやって解くか解説をしてみました。

センター試験化学の対策方法

過去問には皆さん目を通していると思うので、最初に対策をサクッと書いておきます。

「基本を大切に、広く」

これがセンター試験化学の対策です。
当たり前のことですので参考になる対策方法にならないかもしれませんね。

問題を解いてみるとわかりますが、テンポよく単元、項目が移ります。
周期表か、あれ、次は中和か、と次々に内容が変わります。

何かの単元を意地悪にとことん聞いてくることはありません。
だからといって単純な質問ばかりでもありません。

基本的なことだけど理解しているか、
知識が不足していないか、
単純な一問一答ではなく問題の中で1つの単元を総括しているような問題が並んでいます。

融合という問題はありませんが、
今年はちょっとひっかかりそうな問題もありました。笑

基本を大切に、偏り無く復習することが一番の対策ですよ。

2018年(平成30年)度センター試験化学の問題

問題はこちら(大学入試センターにもあります。)

⇒ 2018平成30年度センター試験化学問題

平成30年度センター試験化学第1問の解説

第1問は問6まであります。

問1

いきなりひっかかりそうな問題です。

\( \mathrm{H}\)\( \mathrm{He}\)
\( \mathrm{Li}\)\( \mathrm{Be}\)\( \mathrm{B}\)\( \mathrm{C}\)\( \mathrm{N}\)\( \mathrm{O}\)\( \mathrm{F}\)\( \mathrm{Ne}\)
\( \mathrm{Na}\)\( \mathrm{Mg}\)\( \mathrm{Al}\)\( \mathrm{Si}\)\( \mathrm{P}\)\( \mathrm{S}\)\( \mathrm{Cl}\)\( \mathrm{Ar}\)
\( \mathrm{K}\)\( \mathrm{Ca}\)

 

周期表の20番目までは書いていますよね?

ここまでは覚えている、ということで問題はつくられていると考えて良いですよ。

問題文の

 陰イオンのうち質量数が最も大きいもの
で「陰イオン」というのを見落としそうになりません?

 質量数=陽子数+中性子数
 
なので陽子数19で中性数22のカリウムかという引っかけですね。
陽イオンになるか陰イオンになるかも問に含ませているのでしょう。
陰イオンで質量数が最も大きいのは、
 陽子数17 中性数18 電子数18(陽子より1個電子が多い)
の塩化物イオンですね。
 1:②のイ

問2

遷移元素と典型元素の性質と特長です。

アルカリ土類金属は「典型元素」です。
いきなり誤りがあるので惑わされそうです。
 2:①

問3

六方最密構造の結晶構造と単位格子の問題です。
六方最密の単位格子は教科書よりもこのセンターの問題でわかりやすく説明してくれていますね。
わかりますか?
平行四辺形の隣り合う角を合わせると180度ですよね?
だから左上2つで \(\displaystyle \frac{1}{4}\) 個になるので上面で \(\displaystyle \frac{1}{2}\) 個。
上面と下面で合わせて1個と、中間に丸まま1個あるので合わせて2個あります。
 3:②の2

問4

空気圧でフタをしているようなものなので気圧が高いと沸騰しにくくなります。
ただし、直線的な比例関係ではないですね。
水の蒸気圧(分圧)が高いということは気圧(全圧)も高くなっていると考えて、
温度と蒸気圧の関係のグラフを軸の位置を縦横逆にしたものを探せば答です。
 4:③

問5

計算問題です。
質量モル濃度は溶媒の重さが必要ですので、溶液の「溶媒」と「溶質」を分けて見ればそぐに答が出ます。
 モル濃度が \(C\,(\mathrm{mol/L})\) の溶液の重さは密度が \(d\,(\mathrm{g/cm^3})\) なので
 \(\mathrm{1L\,(1000\,cm^3)}\) で \(1000d\,(\mathrm{g})\) です。

このうち溶質の質量は \(CM\,(\mathrm{g})\) なので、
溶媒の質量は \(1000d-CM\,(\mathrm{g})\) となります。
溶質のモル数は \(C\,(\mathrm{mol})\) ですよ。

つまり \(1000d-CM\,(\mathrm{g})\) の溶媒に溶質が \(C\,(\mathrm{mol})\) 解けている溶液の質量モル濃度を求めれば良いということで、
求める質量モル濃度を \(x\) とすると

 \( (1000d-CM):C=1000:x\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (1000d-CM)\times x=1000C\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x=\displaystyle \frac{1000C}{1000d-CM}\)
 5:⑤

比例計算になれればリンク先のような違う計算もできるようになりますが、
普通に溶媒と溶質に分ければ良いです。

問6

液体の状態でも凝固点よりも低い温度になることはあります。
過冷却のことです。
 6:⑤

ここまでが第1問です。

ここまでで配点が24点あります。
例年変わりませんよ。

基本の大切さがわかると思います。

⇒ 共通テスト(センター試験~)の化学と化学基礎の過去問解説

昨年も大した差はありませんでした。

⇒ センター試験化学の過去問 2018年度第2問の解説

次は第2問です。