物理変化と化学変化の違いについてです。
物質はいつも同じ性質、同じ形でいるわけではありませんよね。例えば身近に存在する水が氷になったり水蒸気になったりと変化します。この変化は大きく分けて物理変化と化学変化になりますが、違いを簡単に説明しておきます。
物理変化
簡単に言うと性質は変わらず形が変わる変化をいいます。
例えば、水を加熱すると水蒸気になりますが成分に変化はありません。水のままです。
食塩を水に溶かしても食塩と水の性質は変わりません。
このように物質の種類は変化しないで、状態(形)だけが変わる変化を物理変化といいます。
\(\mathrm{H_2O\,(\,s\,) \rightarrow H_2O\,(\,\ell\,)}\)
個体( \(\mathrm{s}\) )が液体( \( \mathrm{\ell}\) )になっただけ、というのは物理変化です。
「物理」変化ですが「化学」で状態変化という範囲で学ぶことになります。
混合物の分離・精製を記事にしましたが、あれらの操作はどれも物理変化を利用したものになります。
化学変化
物理変化に対して、化学変化というのは物質の性質が変わる変化をいいます。
例えば、水に直流電流を流すと電気分解されて水素と酸素に別れます。(詳しくは「化学」で)
木や紙を燃やすと二酸化炭素と水となります。
ガソリンを使う車のエネルギーも同じような反応です。
元の物質は性質を変えてしまいます。
このように物質の性質そのものを変えてしまう変化を化学変化というのです。
化学変化の過程を化学反応といいますがこれから学ぶ「化学」は主にこの化学反応についてです。
もちろんその前に物質の名前や物質の構成をもう少し詳しく学んでからですので先は長いです。w
化合と分解
後で学ぶことになりますが、化学変化が出てきたのでここで化合と分解について簡単に書いておきます。
化学変化にはいろいろな変化がありますが、
2種類以上の物質が反応し1つの違う性質の物質が出来る反応を化合といい、
1つの物質から2種類以上の物質ができる反応を分解といいます。
化合は身の回りでたくさん起こっています。
ガスを使って鍋を加熱しますよね。あれもガスと酸素の化合です。(酸化、燃焼)
鉄は時間がたつとさびてきますよね?あれも酸素との反応で酸化という化合です。
酸化にも瞬時に起こる酸化とゆっくり起こる酸化があるのです。
これらの化学変化をこれからたくさん学びます。
私たち身の回りにある変化の多くが化学変化です。
化学の勉強の中には小難しいこともありますが、身近に起きている事象がどのように起こっているのか、考えながら生活すると割とおもしろいですよ。
※
身近で起こっていることを化学(科学)的に考えるクセのある人は、理科は得意科目になる可能性が大きいです。
太陽はどういう仕組みであれだけのエネルギーを放出しているのか?
どのくらいの規模なのか?
今まではあまり考えたことはないかもしれないけど、
これからは少し考えてみてはどうでしょう。
すさまじい、ということが分かります。(笑
太陽のエネルギーは核融合によるものです。
原子量と質量数は何故一致しない?質量欠損と核融合エネルギー
いつか内容が理解できるようになるときに参考にして下さい。
物理変化という言葉については「化学」ではあまり触れません。
しかし、化学変化と同様に状態変化という言葉で表されているだけで事象としては物理変化です。
物理変化については「物理」「地学」で学習することになりますが、化学と物理をはっきりと区別するというのは困難なことなので化学で勉強したから「化学変化」ではありませんので注意しておいて下さいね。
ちなみに、化学で「物質の三態」を学びますが、固体から液体、液体から気体などの変化も性質は変わっていませんので物理変化ですよ。
しかし、化学の基礎段階を学習し始めた今の段階では、
化学的に見れば性質は変わっているのに物理変化と見なせる場合もありますので、はっきりと化学変化と物理変化を区別することはできません。
化学の学習が一通り終了したとき、化学結合(原子間)レベルでの、ものすごく小さな世界での「変化」を見分けられるようになっていれば良いですね。
受験生には時間が限られていますのでゆっくり時間をかけていられる訳ではありませんが、化学の内容は私たちの身の回りの現象、生活に近いものが多くあります。
興味深い内容もあります少しでも楽しんで化学の勉強に取り組みましょう。
化学変化や物理変化という言葉よりも、
化学的性質や物理的な変化を利用した分離法の方が大切ですよ。
試験で問われるのは、分離方法の中で利用している性質の違いを理解しているかということです。