2018年(平成30年)度センター試験化学の続き第2問の解説です。
熱化学方程式から始まって反応速度、中和、電池、化学平衡と問題が変わります。
センター試験の化学は広い範囲で問題が構成されるので、問題ごとにさっさと切り替えをしないとテンポ良く進めません。

早速問題の続きといきましょう。

2018年センター試験化学の問題第2問

問題はこちら(大学入試センターにもあります。)

⇒ 2018平成30年度センター試験化学問題第2問

何回もいうことになりますが、センター試験の対策は「広い範囲の基本をしっかりと」です。
断言はできませんが普通に考えて、共通テストに変わっても変わりませんよ。

平成30年センター試験化学第2問の解説

第2問は問1から問5まであります。

問1

炭素の個体が気体に変化するときの熱化学方程式ですが、
 \(\mathrm{C}(s)=\mathrm{C}(g)+Q\) ・・・①
の方程式をつくり出せば良いだけです。
 \((s)\) は固体、\((g)\) は気体を表しています。

与えられた条件は

 \( \mathrm{C}(s)+\mathrm{O_2}=\mathrm{CO_2}+394\)

 \( \mathrm{O_2}=2 \mathrm{O}-498\)

 \( \mathrm{CO_2}=\mathrm{C}(g)+ 2\mathrm{O}-1608\)

①の方程式を見るといらないものがあるので消去します。

 \( \mathrm{O_2}\,,\,\mathrm{CO_2}\,,\,\mathrm{O}\)

を消去しますが1つずつで良いですよ。
ただ、ここでは辺々加えることで左辺と右辺で同じものを消す、という方法をとります。
例えば、

 \( a+b=c+d\)
 \( c+e=b+f\)

の両辺を加えると

 \( a+b+c+e=c+d+b+f\)

で \(b\,,\,c\) は両辺にあるので消えます。

 \( a+e=d+f\)

このことを利用します。

 \( \mathrm{C}(s)+\mathrm{O_2}=\mathrm{CO_2}+394\)
 \( \mathrm{O_2}=2 \mathrm{O}-498\)
 \( \mathrm{CO_2}=\mathrm{C}(g)+ 2\mathrm{O}-1608\)

これらをそのまま加えると \(\mathrm{CO_2}\) は消えますが、\(\mathrm{O_2}\) が消えないので第2方程式を両辺入れ換えます。

 \( \mathrm{O_2}=2 \mathrm{O}-498\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 2 \mathrm{O} -498 = \mathrm{O_2}\)

熱量は右辺に集めておいた方が計算が楽なので移項します。

 \( 2 \mathrm{O} = \mathrm{O_2}+498\)

これと第1式と第3式を全部左辺と右辺どうしを加えます。

 \( \mathrm{C}(s)+\mathrm{O_2}=\mathrm{CO_2}+394\)
 \( 2 \mathrm{O} = \mathrm{O_2}+498\)
 \( \mathrm{CO_2}=\mathrm{C}(g)+ 2\mathrm{O}-1608\)

すると

 \( \mathrm{C}(s)+\mathrm{O_2}+ 2 \mathrm{O}+ \mathrm{CO_2}=\mathrm{CO_2}+394+ \mathrm{O_2}+498+ \mathrm{C}(g)+ 2\mathrm{O}-1608\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \mathrm{C}(s)=394+ 498+ \mathrm{C}(g)-1608\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \mathrm{C}(s)= \mathrm{C}(g)\hspace{7pt}\underline{-716}\)

何も考えずいらないものを消去して

 \( \mathrm{C}(s)= \mathrm{C}(g)+Q\)

をつくり出しただけです。

問2

反応速度と速度定数の問題です。
反応条件が簡単な比例で成り立っているので、
「同体積」「温度一定」
というのを見逃さなければ

 \( \mathrm{A+B \rightarrow C}\)

の濃度を見るだけで答にたどり着けます。

 \(\mathrm{A\,,\,B}\) を同体積混ぜたので濃度はそれぞれ \(0.020\,(\mathrm{mol/L})\)
と半分の値になっています。
これから \(\mathrm{C}\) が \(0.020(\mathrm{mol/L})\) で生成したということは、
すべての \(\mathrm{A\,,\,B}\) が反応したと考えて良いので、
\(\mathrm{A}\) の濃度だけを2倍にして同体積で反応させると、
「反応速度は増加」するけど、「生成物の量は変わらない」
です。
反応する \(\mathrm{B}\) はなくなるからですよ。
 2:③

問3

中和による電気伝導度の変化です。
中和が進むにつれてイオンが少なくなるので、電気は伝わりにくくなるとイメージするだけでいいです。
 
 \( \mathrm{Ba(OH)_2 \rightarrow Ba^{2+}+2OH^-}\)

右辺のイオンが存在しているところに

 \( \mathrm{ H_2SO_4 \rightarrow SO_4^{2-}+2H^+}\)

が入ってきて

 \( \mathrm{Ba(OH)_2+H_2SO_4 \rightarrow BaSO_4 + 2H_2O}\)

とイオンを消していく感じです。
中和点を過ぎた後は

 \( \mathrm{ H_2SO_4 \rightarrow SO_4^{2-}+2H^+}\)

がさらに足されるので右辺のイオンが増えていきます。
電気を通しやすくなるということですね。 

反応式を見ても分かりますが \(1:1\) で反応します。
水酸化バリウム \(50\mathrm{mL}\) 、希硫酸 \(25m\mathrm{L}\) で中和点に達したので、
濃度は \(1:2\) です。
希硫酸の方が濃度は濃いので少なくて中和しているのです。

硫酸の濃度が \(0.10\) なので水酸化バリウムの濃度は \(0.05\,(\mathrm{mol/L})\) となります。
中和の計算式を立てるまでもないでしょう。
 3:④  4:②

問4

燃料電池ですが、
メタノール \(\mathrm{CH_3OH}\) 1molから電子 \(e^-\) が 6 mol出てくるということがわかれば良いだけです。

\(0.30A\) の電流が \(19300\) 秒流れたので

 \( 0.30\times 19300\,(C)\)

ファラデー定数から1mol で \(9.65\times 10^4\,(C)\) なので
電子は

 \( \displaystyle \frac{0.30\times 19300}{9.65\times 10^4}\\ \\
=\displaystyle \frac{0.30\times 19300}{965\times 10^2}\\ \\
=\displaystyle \frac{0.30\times 20}{1\times 10^2}=6.00\times 10^{-2}\)(mol)

メタノールの物質量はその6分の1だから

 \( 6.00\times 10^{-2}\times \displaystyle \frac{1}{6}=1.00\times 10^{-2}=\underline{0.010(mol)}\)
 5:②

問5

化学平衡と水のイオン積の関係を示せばいいだけです。
アンモニアでも何でも良いんです。
水のイオン積が

 \( K_w=\mathrm{[H^+][OH^{-}]}\)

であることがわかっていれば、

 \( K_a=\mathrm{\displaystyle \frac{[H^+][NH_3]}{ [NH_4^+] }}\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \mathrm{[H^+]}=\displaystyle \frac{K_a \times \mathrm{[NH_4^+]}}{\mathrm{[NH_3]}} \)

と同じように

 \( K_b=\mathrm{\displaystyle \frac{[OH^-][NH_4^-]}{ [NH_3] }}\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \mathrm{[OH^-]}=\displaystyle \frac{K_b \times \mathrm{[NH_3]}}{\mathrm{[NH_4^-]}} \)

これらをかけると

 \( K_w=\mathrm{[H^+][OH^{-}]}\\ \\
=\displaystyle \frac{K_a \times \mathrm{[NH_4^+]}}{\mathrm{[NH_3]}} \times \displaystyle \frac{K_b \times \mathrm{[NH_3]}}{\mathrm{[NH_4^-]}} \\ \\
=K_a \times K_b\)

つまり

 \( K_w=K_a \times K_b \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \underline{K_b=\displaystyle \frac{K_w}{K_a}}\)
 6:⑤ 

ここまでが第2問で配点は第1問と同じく24点です。

⇒ センター試験化学の過去問 2018年度第1問の解説 

第3問は無機物質になりますが理論化学で半分の配点、
偏りは全くないといって良いでしょう。

⇒ センター試験化学の過去問 2018年度第3問の解説(計算は算数程度)

無機化学は反応式など情報が多いので少し時間をかけて対策すると良いです。

⇒ 共通テスト(センター試験~)の化学と化学基礎の過去問解説

基本中心に幅広く復習しておきましょう。