等加速度直線運動で問題の条件に時間が与えられていないときがあります。
公式の組合せでできているのですが、導き方を示しておきますので覚えて使えば良いですよ。
覚えられないなら導けば良いのですが、基礎物理の力学で出てくる公式は数個なので覚えてしまいましょう。


等加速度直線運動2つの公式確認

等加速度直線運動では速さと変位(移動距離)の2つの公式がありました。

速度が一定に増加(減少)するので

 初速度 \(v_0\) で加速度 \(a\) とすると
 時刻 \(t\) における速度 \(v\) は
 \(\Large{\color{red}{v\,=\,v_0\,+\,at}}\)  ・・・①

変位(移動距離)については時間と速度のグラフから面積計算することで求めます。
観測し始めた時刻を0として、

 初速度 \(v_0\) で加速度 \(a\) とすると
 時刻 \(t\) までの変位 \(x\) は
 \(\Large{\color{red}{x\,=\,v_0\,t\,+\,at^2}}\)  ・・・②

この①②が等加速度直線運動で使う公式です。

時間tが与えられていない時の公式

①②を使いこなせれば問題はありません。
ただ、問題に時間が与えられていない場合があります。
そのときに、便利なのが①②から時間tを消去した公式です。


今から式変形しますが公式が覚えられるなら見なくて良いですよ。
いくつか方法を示しますので自分で導けるようになりたいなら見ておいてください。

 \( v=v_0+at\hspace{7pt}(a\neq0)\)

を変形すると、

 \( at=v-v_0\\ \\
\hspace{7pt}\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}t=\displaystyle \frac{v-v_0}{a}\)

これを②に代入します。

 \( x=v_0t\,+\,\displaystyle \frac{1}{2}\,at^2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}x=v_0 \cdot \left(\displaystyle \frac{v-v_0}{a}\right)+\displaystyle \frac{1}{2}a\left (\displaystyle \frac{v-v_0}{a}\right )^2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}x=\displaystyle \frac{v_0(v-v_0)}{a}+\displaystyle \frac{ (v-v_0)^2}{2a}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}2ax=2v_0(v-v_0)+(v-v_0)^2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}2ax=(v-v_0)(2v_0+v-v_0)\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}2ax=(v-v_0)(v+v_0)\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}\hspace{7pt}\underline{2ax=v^2-v_0^2}\)

途中で因数分解していますが、最初から展開しても同じです。
数学と同じで方程式の分母を最初に処理しておくのは物理でも有効ですよ。

この代入は数学としては容易ですが、
物理の試験中に導くには時間がいるので結構面倒ですね。

もう一つ,公式の導き方を示しておきます。
分数がキライという人はこちらでどうぞ。

 \( v\,=\,v_0\,+\,at\)
 \( x\,=\,v_0t\,+\,\displaystyle \frac{1}{2}\,at^2\)

 これらから \(t\) を消去するんです。
どう見ても \(t\) より \(t^2\) の方が邪魔ですよね。

 \( v\,=\,v_0\,+\,at\)

を両辺2乗します。

 \( v^2=(v_0+at)^2\\ \\
=v_0^2\,+\,2av_0\,t\,+\,a^2\,t^2\\ \\
=v_0^2\,+\,a(\underline{2v_0\,t\,+\,a\,t^2})\\ \\
\displaystyle=v_0^2\,+\,a\left\{\underline{2\left(\color{red}{v_0\,t\,+\frac{1}{2}\,a\,t^2}\right)}\right\}\\ \\
=v_0^2+2a\color{red}{x}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}v^2-v_0^2=2ax\)

という方法でも良いです。

そもそも、
 
 \( x\,=\,v_0t\,+\,\frac{1}{2}\,at^2\)

を見た時点で、

 \( \color{red}{2x\,=\,2v_0t\,+\,a\,t^2}\)

と分母をなくしておくのが数学では基本作業です。
こうしておけばもう少し楽に導けますよ。

 \( v^2=(v_0+at)^2\\ \\
=v_0^2\,+\,2av_0\,t\,+\,a^2\,t^2\\ \\
=v_0^2\,+\,a(\color{red}{2v_0\,t\,+\,a\,t^2})\\ \\
=v_0^2\,+\color{red}{2}\,a\,\color{red}{x}\)

物理だと数学ができて当たり前という考えからでしょうか?
多くの参考書で、分数を残して処理しようとする場合が多いです。

どっちでも良いですけど。笑

時間を必要としない公式

 \(\Large \color{red}{v^2-v_0^2=2ax}\)

3つ目の公式として、覚えた方が早くないですか?

問題の中で使い分けができないと意味がないことですけど、
練習すれば使い方は簡単です。

⇒ 等加速度直線運動の練習問題と公式の使い方

公式は覚えたからといっても手を動かさないと使えませんよ。