現在では実用電池としていろいろな電池がありますがここでは使い捨て電池として一般的な一次電池の乾電池と蓄電可能な二次電池の鉛蓄電池を取り上げて見ます。電池式がややこしくなりますが一次と二次の違いだけは覚えておきましょう。

一次電池と二次電池

放電して起電力の低下した電池に各電極で放電と逆の反応をさせると起電力がもどることがあります。
これを充電といいます。

充電できる電池と充電できない電池があるのですが、
充電できない電池を一次電池
充電できる電池を二次電池または蓄電池といいます。

一次電池は使い捨て電池で身近にある乾電池などがありますね。
前に出てきたボルタ電池なども一次電池です。

二次電池には車のバッテリーなどに使われる鉛蓄電池などがあります。

ここでは乾電池と鉛蓄電池について基本的なことを説明しておきます。

乾電池

負極に亜鉛(\(\mathrm {Zn}\))、
正極に酸化マンガン(\(\mathrm{MnO_2}\))と炭素(\(\mathrm{C}\))棒を用い、
電解液をノリ状に固めて密閉した電池を乾電池といいます。

電解液の種類によってマンガン乾電池とアルカリマンガン乾電池があります。

マンガン乾電池の電池式

(-)\(\mathrm {Zn} | \mathrm {ZnCl_2aq}\,・\,\mathrm {NH_4Claq} | \mathrm{MnO_2}\,・\,\mathrm{C}\) (+)

となっています。
電解液は塩化亜鉛と塩化アンモニウムの水溶液が入っています。

各極の反応は、

 負極: \(\mathrm {Zn} → \mathrm {Zn^{2+}} + 2\mathrm {e^-}\)

亜鉛が電子を放出して亜鉛イオンとなります。

炭素棒は単に電子を通じさせるためにあるので反応するわけではありません。

正極での反応は酸化マンガン(\(\mathrm{MnO_2}\))が電子を受け取る反応ですが、
反応式は覚える必要はありません。笑
余計分かりにくくなるので書きませんが余裕がある人は調べて見ると良いです。

マンガン乾電池の起電力はアルカリマンガン乾電池とともに1.5Vです。

アルカリマンガン乾電池の電池式

(-)\(\mathrm {Zn} | \mathrm {KOHaq} | \mathrm{MnO_2}\,・\,\mathrm{C}\) (+)

極物質はマンガン乾電池と同じですが電解液が違います
電解液は水酸化カリウム水溶液で酸化亜鉛(\(\mathrm{ZnO}\))を含んでいます。

マンガン乾電池とくらべると寒さに強くて長寿命な乾電池です。

乾電池って、結構複雑な構造と複雑な反応をしているんですよね。笑

鉛蓄電池

鉛蓄電池は約30%の希硫酸(\(\mathrm{H_2SO_4aq}\))を電解質として、

 負極に鉛(\(\mathrm {Pb}\))、
 正極に酸化鉛(\(\mathrm {PbO_2}\))を浸し、

何枚も直列と並列に連ねた構造をしています。

鉛蓄電池の電池式

(-)\(\mathrm {Pb} | \mathrm{H_2SO_4aq} | \mathrm {PbO_2}\)(+)

と簡単そうな式になりますが二次電池だけあって反応は非常にややこしいです。
起電力は2.1Vで、車のバッテリー以外にも非常用電源としてもよく使われている蓄電池です。

一応反応式も書いておきます。

 放電時

 負極: \(\mathrm {Pb}+\mathrm{SO_4^{2-}} → \mathrm{PbSO_4}+2 \mathrm{e^-}\)
 正極: \(\mathrm{PbO_2}+\mathrm{SO_4^{2-}}+4\mathrm{H^+}+2\mathrm{e^-} → \mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{H_2O}\)

両極まとめると、

 \(\mathrm {Pb}+ \mathrm{PbO_2}+2 \mathrm{H_2SO_4} → 2\mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{H_2O}\)

 充電時

 負極: \(\mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{e^-} → \mathrm {Pb}+\mathrm{SO_4^{2-}}\)
 正極: \(\mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{H_2O} → \mathrm{PbO_2}+\mathrm{SO_4^{2-}}+4\mathrm{H^+}+2 \mathrm{e^-}\)

両極まとめると、

 \(2\mathrm{PbSO_4}+2\mathrm{H_2O} → \mathrm {Pb}+\mathrm{PbO_2}+2 \mathrm{H_2SO_4}\)

放電するときと充電するときは逆の反応になっているのは分かりますよね?

二次電池(充電)の仕組み

上の反応式を見るとものすごくややこしいですが、
鉛蓄電池の放電が進むと両極ともに表面が硫酸鉛(\(\mathrm{PbSO_4}\))で覆われてきます。
このことにより起電力が低下して電圧が下がります。

充電すると極板の硫酸鉛(\( \mathrm{PbSO_4}\))が、
鉛(\(\mathrm {Pb}\))と硫酸(\(\mathrm{H_2SO_4}\))にもどり電圧が復活する。
という仕組みになっているということですね。

乾電池や鉛蓄電池では嫌になるくらいややこしい反応式が並んでいますが、w
一次電池としてのボルタ電池やダニエル電池は
⇒ ボルタ電池とダニエル電池の電池式と分極
で反応式は繰り返し見て覚えておきましょう。

次はリチウム電池などの実用電池です。

⇒ 燃料電池とリチウムイオン電池など他の実用電池

携帯電話のバッテリーに使われている電池です。