電池の種類はいろいろありますが先ずはボルタ電池とダニエル電池の電池式や分極の原因などを見ていきます。これらの電池の各極での反応を見れば、問題点と改良点とが見えてくるでしょう。覚えるときに問題なのは電極物質と各極の活物質との違いにあります。
電池式がややこしく見えるのですが覚えてしまえば考えることは少ないところです。
ボルタ電池
希硫酸(\(\mathrm {H_2SO_4}\))(水溶液)中に亜鉛(\(\mathrm {Zn}\))板と銅(\(\mathrm {Cu}\))板を浸した電池をボルタ電池といいます。
1800年にイタリアのボルタが発明したものです。
装置起動直後の起電力は1.1Vですがすぐに起電力が低下します。
この現象を電池の分極といいます。
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ボルタ電池の分極の原因は3つ考えられますが、
正極の銅の表面に水素の気泡が覆い被さるので、
電子を受け取る水素イオンが接触できないからとしておきましょう。
一般には、電池の放電により電極板に生じた物質によって起電力が下がる現象を電池の分極というのです。
ボルタ電池では亜鉛板が負極、銅板が正極となっていて、電解質に希硫酸が使われています。
これを左側に負極物質、中間に用いた電解質、右側に正極物質を並べて、
(-) \(\mathrm {Zn} | \mathrm {H_2SO_4}aq | \mathrm {Cu}\) (+)
のように仕切りを入れて書いた式を電池式といいます。
注意して欲しいのは実際に電極で反応している物質(活物質)ではなく、電極に用いた物質を書くということです。
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ボルタ電池では負極活物質は亜鉛ですが、正極活物質は水素イオンです。
ボルタ電池の反応
負極: \( \mathrm {Zn} → \mathrm {Zn^{2+}} + 2 \mathrm e^-\)(酸化)
正極: \(2\mathrm {H^+} + 2e^- → \mathrm {H_2}\)(還元)
電池をややこしくしているのはここです。
電極物質と活物質が違うことがあるので何が何だか分からなくなっている、という状態にいる人がたくさんいますので特に注意しておきましょう。
先ずは電池式から覚えて行くのですが活物質まで理解できれば基礎といわず化学全般で通用します。
ダニエル電池
硫酸亜鉛(\(\mathrm {ZnSO_4}\))水溶液に亜鉛(\(\mathrm {Zn}\))板を浸した小さな穴(細孔)がある素焼き容器を、
硫酸銅(\(\mathrm {CuSO_4}\))水溶液に銅(\(\mathrm {Cu}\))板を浸した容器に入れてできた電池をダニエル電池といいます。
亜鉛の方が銅よりもイオン化傾向が大きいので亜鉛側が負極になります。
イオン化傾向 \(\mathrm {Zn} > \mathrm {Cu}\)
ダニエル電池の電池式
(-) \( \mathrm {Zn} | \mathrm {ZnSO_4}aq || \mathrm {CuSO_4}aq | \mathrm {Cu}\) (+)
ダニエル電池の反応
負極: \(\mathrm {Zn} → \mathrm {Zn^{2+}} + 2 \mathrm e^-\)
正極: \(\mathrm {Cu^{2+}} + 2e^- → \mathrm {Cu}\)
起電力はボルタ電池と同じで1.1Vですが、正極側での水素の発生がないので分極は起こらず起電力はあまり低下しません。
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素焼き容器を使う理由は塩橋と同じですが電気が回るため、電流が流れるようにするため、と思っていて下さい。
先ずはこの2つの電池について原理を知って、改良の余地が十分にあったということだけでも理解しておきましょう。
これからいろいろな電池が考え出されることになるのです。
ちなみにボルタ電池は電池としては古い電池で今は使われていいません。
もっと古い電池としての歴史は2000年前、バグダッド電池というのがあったそうですよ。
鉄と銅でつくられた起電力1V未満の電池で「メッキとかに使われていたのではないか?」といわれています。
これから携帯電話のバッテリーなどに使われている電池についてもふくれていきますが、
先ずはボルタとダニエルの電池は知っておきましょう。
電池の原理は
⇒ 電池の原理は?起電力と電極の種類
で見ておいてください。
次は一次、二次電池です。
違いを見ておきましょう。