私たちの身の回りにある物質の成分は全て100種類くらいの元素で出来ています。ここでは元素、単体、化合物とは何か、用語と使い方を覚えましょう。同じ言葉であっても場面によって使っている意味が違う場合もありますので理解しておきましょう。
では、元素から行きましょう。
元素
純物質の水に直流電流を流すと水素と酸素に分解出来るというのを
で少しだけお伝えしましたが、
純物質の水素と酸素はどのような方法を使ってもこれ以上別の純物質に分解出来ません。
この水素や酸素のように物質をつくる基本的な成分を「元素」といいます。
純物質の水素は水素元素、酸素は酸素元素から出来ている物質と言えます。
世の中の全ての物質は元素で構成されているのです。
元素記号
元素は世の中に110種類以上あります。
主に英語、ドイツ語、ラテン語の元素名の大文字1字か、
大文字と小文字の2文字を使って表されています。
それを元素記号といいます。これは世界共通です。
例えば、
水素( \( \mathrm{H}\) )、
酸素( \( \mathrm{O}\) )、
炭素( \( \mathrm{C}\) )などですね。
純物質が水 \(\mathrm{H_2 O}\) だとすると、
その構成元素は水素 \(\mathrm{H}\) と酸素 \( \mathrm{O}\)
純物質が水素 \(\mathrm{H_2}\) だとすると、
その構成元素は水素 \(\mathrm{H}\)
純物質が酸素 \( \mathrm{O_2}\) だとすると、
その構成元素は酸素 \(\mathrm{O}\)
というように使います。
すべての元素を覚える必要はありません。
受験化学の範囲では、
原子番号20までの元素とハロゲンをいくつか覚えておけば良いので安心して下さい。
⇒ 周期表
ただ、
2016年に命名された113番目の元素
「ニホニウム」 \(\color{red}{\mathrm{Nh}}\)
は『日本』にちなんだ名前なので覚えておくと良いです。
単体
1種類の元素からなる純物質を「単体」といいます。
例えば、
水素( \(\mathrm{H_2}\) )、
酸素( \(\mathrm{O_2}\) )、
炭素( \(\mathrm{C}\) )などがあります。
化合物
2種類以上の元素からなる純物質を化合物といいます。
これは前にも説明したように、
化学的操作によって他の物質に分けることが出来る物質です。
例えば、
水( \(\mathrm{H_2O}\) )、
二酸化炭素( \(\mathrm{O_2}\) )、
塩化ナトリウム( \(\mathrm{NaCl}\) )
など他にもたくさんあります。
単体か元素か
水素、酸素と同じようにいっても、
「単体なのか元素なのか分かりにくい!」
と思いませんか?
単体を呼ぶときも「水素」だし、
構成元素をいう場合も「水素」だし、
どっちやねん!と思うのが普通だと思います。
言葉でまとめると、
具体的な物質をいう場合は単体 、
抽象的な概念を示す場合は元素 、
を示します。
それでも分かりにくいですよね。
具体例を見て、自分で感じるまでいろいろと調べると分かってくると思うのですが、
もう少し分かり易くしましょう。
例えば、
食べ物を選ぶ時「カルシウム」を多く取ると歯や骨に良い、
といいますよね。
これはカルシウムを含んだ食べ物ということで、
カルシウム単体を食べるということではありません。
だからこれは元素を意味しています。
他にも、
「鉄」を含む食べ物は血をつくるので大切、
といいますが、
鉄そのものを食べる人いますか?
食べたとしても栄養分にはありませんからやめましょう。
この場合も元素を示します。
一方、
人は「酸素」がないと呼吸出来ません。
でも酸素を含んでいるからと水の中で呼吸は出来ませんよね。
魚じゃないんです。
水の構成には酸素を含んでいますが、
「酸素がないと呼吸出来ない」
という場合は単体を示します。
つまりこの場合は、
気体の酸素( \(\mathrm{O_2}\) )を示しているのです。
構成成分の一部を示す場合は元素、
物質そのものを示す場合は単体、
それくらいの感覚で最初はいいですよ。
厳密に知りたいと思えば教科書を何回も読んで見てください。
大切なことなんだけど同じことが分かりにくく書いてあると思います。
もう少し化学の勉強が進んで、
もう少し他の見方が出来るようになってからもう一度見なおす、で良いでしょう。
元素を原子番号の順番に並べた周期表というものがあります。
こちらを先に覚えておくといろいろなことが分かって来ます。
同じ元素でも性質の違う物質があります。