単糖類であるグルコースとフルクトースの構造と性質をまとめておきます。構造式は立体的な構造を示さない限り分かりにくく、細かく分けると単糖類だけでもかなりの情報がありますので基本的なところで止めておきます。

単糖類の構造と性質

単糖はグルコースとフルクトースを覚えておきましょう。
グルコースはブドウ糖、フルクトースは果糖のことです。
どちらも水溶液中で鎖状に開環しますが、分類としては環状で分けて覚えておくと良いです。

グルコースの構造と性質

グルコースであるブドウ糖の結晶は常温常圧で白色の粉末で分子構造は6員環構造をしています。

6員環というのは6個の原子で環状構造をとっているということですが、
グルコースの場合はシクロヘキサンとは違って炭素だけで6員環をつくっているのでは無く、酸素を間に含んだ6員環をしています。

6員環構造はイス形とフネ形の2つの形をとります。
シクロヘキサンのように官能基が水素だけの場合は存在比率はあまり変わらないのですが、
グルコースの場合はヒドロキシ基やメトキシ基が立体障害(ぶつかり合い)を起こすのでイス形になるものが多いです。
原子団の大きなものどうしはぶつかり合うので避ける方向にあるということですね。

6員環では構造(立体)異性体が存在して \(\mathrm{\alpha-}\)グルコースと \(\mathrm{\beta-}\)グルコースの2種類、
さらに水溶液だと6員環構造が鎖式に変化し3種類の異性体の平衡状態となります。
ちなみに25℃付近だと存在比率は、
 \(\mathrm{\alpha}:\mathrm{\beta}:鎖式\) がおおよそ、\(1:2:微量\) となります。

そして重要なのが鎖式のグルコースは還元性を示すということです。
これは鎖式構造の中にアルデヒド基が存在するということで銀鏡反応およびフェーリング反応(フェーリング液の還元)をすることが特徴になります。

 鎖状グルコース
 \( \mathrm{CH_2(OH)-CH(\color{blue}{O}H)-CH(OH)-CH(OH)-CH(OH)-\color{red}{CHO}} \)

ここは良く聞かれるところなのですが構造式を覚える前に、
先ずはこのグルコースの水溶液が還元性を示すということを覚えておきましょう。
構造式を覚える余裕がある人は改めて教科書を見直して下さい。

鎖式のアルデヒド基の炭素と、
左から2番目の炭素についているヒドロキシ基の酸素とがひっついたら環状グルコースです。

フルクトースの構造と性質

フルクトースはグルコースと同じ分子式、つまりグルコースの構造異性体で天然に存在する糖類の中では最も甘味が強い糖です。
結晶構造は6員環のものが主ですが5員環構造になるものもあります。

また、ブドウ糖同様に水溶液中では鎖式構造もとるため、
 6員環の \(\mathrm{\alpha} , \mathrm{\beta}\)型と、
 5員環の \( \mathrm{\alpha} , \mathrm{\beta}\)型、
それと鎖式の異性体5種類の平衡状態になります。

これも余裕のある人は教科書や参考書で見直して覚えて下さい。
ここではフルクトースの還元性について説明するだけにしておきます。笑

 鎖状フルクトース
 \( \mathrm{CH_2(\color{magenta}{O}H)-CH(\color{blue}{O}H)-CH(OH)-CH(OH)-\color{red}{C}O-CH_2OH} \)
において右から2番目のカルボニル炭素と、
左の1,2番目の酸素のどちらと結合するかで、\(\color{magenta}{6員環}\)か\(\color{blue}{5員環}\)かが決まります。

フルクトースの水溶液が、
グルコースと同様に還元性を示すのはアルデヒド基の存在があるからなのですが、
水溶液中の鎖式構造にヒドロキシケトン( \(\mathrm{-COCH_2OH}\) )が含まれていて酸化されてアルデヒド基になりやすい構造を持つからなのです。

  \(\mathrm{-COCH_2OH}\,\rightleftharpoons\,\mathrm{-C(OH)=CHOH}\,\rightleftharpoons\,\mathrm{-CH(OH)-CHO}\)

見た感じでもヒドロキケトン基は不安定そうだなあ、というくらいは想像つくでしょう?w

ちなみに、
グルーコースのようにアルデヒド基を持つ単糖類をアルドース
フルクトースのようにケトン基を持つ単糖類をケトースといいます。

さて、これ以上詳しく見ると糖類が嫌いになります。笑

先ずはグルコースとフルクトースが構造異性体だということと、
水溶液が還元性を示すということだけでも覚えてからにしましょう。

二糖類に続きますが
⇒ 糖類(単糖類、二糖類、多糖類)の分類と加水分解
で復習はしておいてください。

⇒ 二糖類(マルトース、スクロース、ラクトース)の構造と性質

加水分解すると単糖ですよ。