化学反応の速さは濃度や温度で変化しますが、反応物の濃度に比例することが分かっています。反応の速さを表す反応速度式と比例定数(反応速度定数)について簡単に説明していきます。単純な比例ではないので注意が必要です。

反応速度式

密閉容器に水素とヨウ素を入れて一定温度まで加熱すると、

 \( \mathrm{H_2+I_2 \rightarrow 2HI}\)

の反応が進みヨウ化水素が生成します。

このときヨウ素の濃度を一定にして水素の濃度を2倍にすると、
ヨウ化水素の生成速度は2倍になります。
逆に水素濃度を一定にしてヨウ素の濃度を2倍にしても、
ヨウ化水素の生成速度は2倍になります。
さらに、
水素とヨウ素の濃度を両方2倍にするとヨウ化水素の生成速度は4倍になります。
これは、反応速度 \(v\) は、
水素濃度 \(\mathrm{[H_2]}\) とヨウ素濃度 \(\mathrm{[I_2]}\) の積に比例することを意味しています。
式で表すと、

 \(\color{red}{v=k\mathrm{[H_2][I_2]}}\)

となります。
このように「反応速度と反応物の濃度の関係」を表す式を「反応速度式」といいます。
反応速度式中の比例定数 \(k\) を「反応速度定数」といい、
反応の種類ごとに違っていて、温度によっても変化します。

ただし、この反応速度定数は「反応の種類と温度によって決まる」定数なので、
反応物の濃度には関係がない」定数なので濃度が変わってもこの定数は変化しません。
一度この比例定数を求めれば濃度が変わっても反応速度が求められる、
温度が一定なら反応速度定数は一定の数値だということです。

反応物によって変わる反応速度式なので、生成物は考えなくて良いですよ。
過酸化水素の分解反応

 \( \mathrm{2H_2O_2 \rightarrow 2H_2O+O_2}\)

であれば反応速度式は

 \( v=k\mathrm{[H_2O_2]}\)

と過酸化水素の濃度のみに比例します。

このとき過酸化水素の係数は2ですが2乗になっていない理由はややこしいので省略します。w
(詳しく知りたい人は「素反応」という言葉を記憶しておいていずれ勉強すれば良いです。)

反応次数と反応式の係数の関係

 \(a\,,\,b\,,\,c\) を整数として反応式

 \( a\mathrm{A}+b\mathrm{B}\rightarrow c\mathrm{C}\)

において一般的には反応速度式は、

 \(v=k[\mathrm{A}]^\color{red}{x}[\mathrm{B}]^\color{red}{y}\)

となります。
 \(\color{red}{x+y}\) をこの反応の次数といいます。
見て分かるように反応係数 \(a,b,c\) に関係していません

例えば、

 \( \mathrm{H_2+I_2 \rightarrow 2HI}\)

の反応速度式は

 \( v=k\mathrm{[H_2][I_2]}\)

であるように2次です。

しかし、

 \( \mathrm{2H_2O_2 \rightarrow 2H_2O+O_2}\)

の反応速度式は

 \( v=k\mathrm{[H_2O_2]}\)

であり1次です。係数とは一致していません。

これは反応速度式の反応の次数は実験に基づいて決めなければならないからです。
比例定数は温度が一定なら変わりませんが、
化学反応全体の反応速度は必ずしも1つの要素では決まらないということですね。

基本的な問題では「分解速度はAの濃度の2乗に比例する」とか書いてありますから、問題文をよく読む、そこがどの科目でも大切なところです。
もちろん定数の存在を忘れてはダメですけど。笑

ここまでは反応速度定数は温度が一定なら、
濃度に関係なく一定だということだけは覚えておいてください。

反応速度が平均的な速度であることは

⇒ 反応の速さと反応速度の求め方

で確認しておいてください。

これから反応速度を変える条件を見て行くことになります。

⇒ 反応速度を変える条件(濃度、温度、触媒、光など)

大切なところなので基本的な反応速度の求め方は知っておきましょう。