化学の問題には計算問題があります。元になる数値は原子量と分子量と式量です。ここから物質量(mol)へ進みますので名前と分子量や式量の出し方をおさえておきましょう。原子量は問題に与えられますので足し算程度なのでむずかしくはありませんよ。

原子量と分子量

分子を構成する原子の種類と数を元素記号で表した式を分子式といいます。
原子量と同じように炭素 \(^{12} \mathrm C\) を基準の12として求めた分子の相対質量を分子量といいます。
分子量は分子式を構成する原子すべての原子量の総和と等しくなります。
分子も相対質量なので単位はありません


二酸化炭素は分子式 \(\mathrm {CO_2}\) です。
原子量は問題に与えられますが、炭素12、酸素16です。
(だいたい有効数字2桁で与えられます。塩素は中途半端で35.5とされますが。w)
二酸化炭素は分子式の通り、炭素が1個、酸素が2個の比で構成されているので、
 二酸化炭素の分子量は 12+16×2=44 です。
原子量に原子の個数をかけて足せば良いだけですよ。

水は分子式 \(\mathrm {H_2O}\) です。
原子量は、水素1.0 酸素16です。
水は分子式の通り、水素が2個、酸素が1個の比で構成されているので、
水の分子量は 1.0×2+16=18 です。

もっとややこしい分子でも同じです。

硫酸は分子式 \(\mathrm {H_2SO_4}\) です。
原子量は、水素1.0、硫黄32、酸素16です。
硫酸は分子式の通り、水素が2個、硫黄が1個、酸素が4個の比で構成されているので、
硫酸の分子量は 1.0×2+32+16×4=98 です。

ブドウ糖は分子式 \(\mathrm {C_6H_{12}O_6}\) です。
原子量は炭素12、水素1.0、酸素16なので分子量は180となります。
自分で計算してみて下さい。

式量

物質を構成する原子やイオンの割合をもっとも簡単な整数比で表した式を組成式といいます。
組成式の記事で書きましたが金属やイオン結晶は分子ではなく繰り返し構造をとっているので一部を代表して表すのでしたよね?
⇒ 分子式と組成式との違いと共有結合の仕組みと電子式

イオン結晶や金属のように、分子が存在しない物質には組成式が使われます。
よくわかっていない人が多いようですが、
分子式も組成式も元素を整数比で組み立てます。形は同じようなものです。
でも、
 分子を構成しているものを表しているか、
 イオン結晶や金属結晶を表しているか、
分子式組成式と呼びわけるのですよ。

組成式やイオン式を構成する原子の原子量の総和を式量(組成式量)といいます。
式量も相対的な値になりますので単位はありません。

式量も計算方法は同じです。
組成式を構成している原子の総和です。


塩化ナトリウムの組成式は \(\mathrm {NaCl}\) です。
原子量はナトリウム 23、塩素 35.5なので、
塩化ナトリウムの式量は、23+35.5=58.5 となります。

では硫酸イオンのようなイオンの式量はどうなるかというと、
電子の重さは無視できるほど小さいので同じです。


硝酸イオンはイオン式が \(\mathrm {NO_3^-}\) です。
原子量は窒素14、酸素16で、
電子の重さは1個増えても誤差で考えなくていいです。
硝酸イオンの式量は、14+16×3=62 となります。

硫酸イオンはイオン式が \(\mathrm {SO_4^{2-}}\) です。
電子が2個増えても誤差です。
硫黄32、酸素16として硫酸イオンの式量を自分で計算してみて下さい。
計算方法は分子式と同じですからね。

96になりましたか?

式量を計算すること自体はむずかしくありません。
ただ、分子式や組成式という言葉を覚えていないだけですので

⇒ 分子式と組成式との違いと共有結合の仕組みと電子式

を参考にもう一度確認しておくと良いですね。

確認できたらmolへ行きましょう。

⇒ 物質量とmol(モル)とアボガドロ定数

化学で最も大切な数、定数が出てきます。