化学変化は原子や分子が決まった割合で反応します。
そこで計算に便利な物質量(mol)という量を用いることになります。
モルとはどのような数字でアボガドロ定数とはどのような定数なのか非常に重要なところなのでしっかり見ておきましょう。

普段の生活では物質を量的にあつかうには質量や体積で表すことが多いです。
しかし化学変化においては原子や分子が決まった整数比で変化しますので、原子や分子の個数で考えると便利です。
ただ、原子や分子は非常に小さくて軽い粒子なので1個2個と数えることはできません。
そこでまとまった個数を決めて単位を新しく使います。

アボガドロ数

原子量で基準になった炭素 \(^{12}\mathrm C\) の質量数は12です。
 \(^{12}\mathrm C\) 原子1個の質量が約 \(2.0\times 10^{-23}\) gなので
この炭素12g中に含まれている炭素原子の数は、

 \( 12\div (2.0\times 10^{-23})=6.0\times 10^{23}\)

となります。
指数計算がまだ出来ない人は「そうなるんだ」と思っていてください。

この \(\Large{\color{red}{6.0\times 10^{23}}}\) という数をアボガドロ数といいます。

もっと正確に計算して有効数字を3桁にすると、
アボガドロ数は \( \color{red}{6.02\times 10^{23}}\) となります。
問題に合わせて使いましょう。

物質量

前にも言いましたが化学で物質の量を表すときは粒子の個数で考えると便利です。
そこで原子や分子をアボガドロ数単位で考えるようにします。

アボガドロ数の同じ粒子の集まりを1モル(mol)といい、1モルを単位として表した粒子の量を「物質量」といいます。
つまり、物質量の単位は「モル(mol)」です。
今までは質量(g)や体積(L)で量を表していたものを、物質量(mol)という表し方に変えるということです。

注意することがあります。
例えば、
酸素1molというと普通は酸素分子1molを表しています。
酸素原子の物質量をいう場合は、「酸素原子の物質量は2mol」のように原子を示しているのか、分子を示しているのか明確にする必要がありますので注意して下さい。
粒子の種類が書かれていない場合は自然な状態で存在している状態を意味しますが、ほとんどの問題ではあいまいにはなっていないのでしっかり問題文から読み取って下さい。

モル(mol)というのはなじみのない単位なので今までに聞いたことのある単位で話すと、
12本の鉛筆は1ダースの鉛筆、といいますよね。
(ダースもあまり聞かなくなったけどw)
同じように、
 \( 6.0\times 10^{23}\) 個の原子を1(mol)モルの原子というのと同じです。

アボガドロ定数

アボガドロ数は \( 6.0\times 10^{23}\) です。
これは1molあたりの粒子の数になります。
なので1molあたりの粒子の数 \( 6.0\times 10^{23}\mathrm{/mol}\) を「アボガドロ定数」といいます。

アボガドロ数は \( 6.0\times 10^{23}\) で、
アボガドロ定数は \( 6.0\times 10^{23}\mathrm{/mol}\) です。

と少し違いますね。
 アボガドロ数が単に数であるのに対して、
 アボガドロ定数は1モルあたりの数を表しています。
数値は同じです。

アボガドロ定数は記号 \( \color{red}{N_A}\) (/mol)と表されますので覚えておいてください。

物質量とアボガドロ定数の関係

物質量はアボガドロ定数を用いると
 物質量(mol)=(粒子の数)÷(\( 6.0\times 10^{23}\))
かけ算で表せば
(粒子の数)=(\( 6.0\times 10^{23}\))×(物質量)
となります。
1molで \( 6.0\times 10^{23}\) 個の粒子があるという比例計算で求まります。
2molなら2倍の \( 12.0\times 10^{23}\) 個です。
逆に
 \( 6.0\times 10^{23}\) 個 で1mol なので
 \( 12.0\times 10^{23}\) 個 なら2mol です。

 \( 12.0\times 10^{23}\) は通常 \( 1.2\times 10^{24}\) と表されますので、
 \( 12.0\times 10^{23}\) と書き換えて計算するか、
そのままで計算したいなら指数になれるしかありません。

物質量の計算練習は少し多めにしておいた方が良いので計算演習を別途用意しますが、
先ずはアボガドロ定数の \( 6.0\times 10^{23}\)/mol という定数は必ず覚えましょう。
これがないと計算はできませんからね。

化学には覚えなくてはならない定数がいくつかあります。
これはその中でも最も重要なものですよ。

モルの考え方はこれから化学を学ぶ上で非常に大切な物になります。

⇒ 物質量(mol)とモル質量と原子量の関係

原子量や分子量や組成式量などへの利用は不可欠となります。

関係に行く前に不安がある人は

⇒ 物質量(mol)と原子分子の粒子の数の計算問題

計算問題で少し慣れておきましょう。