有機化合物は自然界にも身の回りにあるものだけでもものすごく種類が多いです。中でも基本的なつくりをしている炭化水素の性質と有機化合物の特徴をまとめておきますので確認しておきましょう。有機化学は覚えるところを覚えればむずかしいところではありません。
有機化合物の特徴
炭素(\(\mathrm C\))を含む化合物を有機化合物といいます。
植物の基本骨格や人の体の大部分は有機化合物で、
生命体に大きく関係している物質です。
炭素を含む物質のうち、
一酸化炭素( \(\mathrm {CO}\) )、
二酸化炭素( \(\mathrm {CO_2}\) )、
炭酸イオン( \(\mathrm {CO_3^{2-}}\) )
を含む化合物は無機化合物としてあつかいます。
有機化合物は構成元素の種類が少ないですが、化合物の種類が非常に多いです。
どういうことかと言うと、構成元素は
炭素( \(\mathrm C\) )、
水素( \(\mathrm H\) )、
酸素( \(\mathrm O\) )、
窒素( \(\mathrm N\) )
が主ですが、共有結合の仕方やつながっている炭素の数などで違った物質になるということです。
当然ですが性質も違うし名前も変わってきます。
例えば後で説明する炭化水素は炭素と水素だけでできていますが、
無数にあるといっても良いくらいの種類があります。
(知っておかなければならないのはその一部ですが結構ありますよ。笑)
有機化合物は共有結合で構成される分子性物質が多く、
無機化合物である金属などにくらべて融点や沸点が低いです。
木やろうそくやガソリンや灯油も有機化合物ですが、
思い出してもらえれば分かるように可燃性のものが多いのも分かるでしょう。
水と油というくらいで、
簡単に言ってしまえば有機物は油なので水には溶けにくいです。
そのかわりアルコール、エーテル、アセトン、ベンゼンなどの有機溶媒には解けやすいです。
(有機溶媒とは有機化合物の溶媒のことです。)
炭化水素の骨格と分類
炭素と水素だけで構成させる物質を炭化水素といい、
炭素と炭素の結合の仕方で分類されます。
※
炭化水素では炭素と水素しか出てきませんが、後で出てくる官能基の炭素と酸素などの結合は分類には関係ありません。
⇒ 有機化合物の官能基の種類と構造式の書き方
炭素と炭素の結合の仕方だけで分類されるので、混乱しないようにしっかり理解しておきましょう。
鎖式炭化水素
炭素原子が鎖状に結合した炭化水素で、
環状(炭素でつくる輪のある)炭化水素と区別されます。
中でも炭素原子間の結合が単結合(飽和結合)だけで出来ているものを飽和炭化水素といい、
炭素原子間の結合に二重結合や三重結合の不飽和結合を持つ物質を不飽和炭化水素といいます。
例えば
プロパン( \(\mathrm {C_3H_8}\) )は
\( \mathrm {CH_3-CH_2-CH_3}\)
とつながっていて炭素原子間の結合は単結合(飽和結合)だけの飽和炭化水素です。
ところが、
プロペン(プロピレン)( \(\mathrm {C_3H_6}\) )は
\( \mathrm {CH_2=CH-CH_3}\)
プロピン(メチルアセチレン)( \(\mathrm {C_3H_4}\) )は
\( \mathrm {CH\equiv C-CH_3}\)
とつながっていて、
炭素原子間に二重結合や三重結合の不飽和結合を持っている不飽和炭化水素と呼ばれます。
環式炭化水素
いくつかの炭素原子が輪を作る「環状に結合」した炭化水素を環式炭化水素といいます。
輪を作る炭素原子間の結合が単結合のものを「シクロアルカン」といい、
炭素原子間の結合に二重結合を含むものを「シクロアルケン」といいます。
環状の炭化水素のなかでも分子内にベンゼン環を含むものを「芳香族炭化水素」といいます。
※
「アルカン」、「アルケン」、「芳香族」については別途詳しく説明しますが、
シクロアルカンは飽和炭化水素で、
シクロアルケンは不飽和炭化水素です。
また、
ベンゼン環を含む芳香族にたいし、鎖式炭化水素を脂肪族ということもあります。
芳香族以外の環状の炭化水素を「脂環式炭化水素」といいます。
一度にいろいろな名前が出てきて分からなくなりつつあると思うのでここで一度まとめます。
炭化水素には「鎖式」と「環式」があり、
炭素の結合に不飽和結合を持つかどうかで「飽和炭化水素」と「不飽和炭化水素」に分けられ、
不飽和結合をもたないものが「飽和炭化水素」
不飽和結合を持つものが「不飽和炭化水素」
環式の炭化水素はベンゼン環を持つかどうかで「脂環式炭化水素」か「芳香族炭化水素」に分けられ、
ベンゼン環を持っていないものは「脂環式炭化水素」、
ベンゼン環を持っているものは「芳香族炭化水素」
ということです。
芳香族などは別のところで詳しく説明していきますが、
炭化水素、飽和、不飽和、の用語までは覚えておいてください。
有機化学の始まりです。