原子量と質量数は何が違うのか?よくわからなくなりますよね。原子量は問題に与えられるのですべては覚えなくて良いですが絶対質量と相対質量という考え方から何となくで良いので理解しておきましょう。原子量の求め方は問題になることがあります。
原子の質量の小ささ
原子は目に見えないくらい小さいのでその重さもものすごく小さな値となります。
実際には \(10^{-23}\) gくらいですので感覚的に分かりません。
指数をまだ習っていない人もいると思いますので簡単に説明しておくと、
\( 10^{-1}=0.1 , 10^{-2}=0.01 , 10^{-3}=0.001\) です。
\( 10^{-23}\) は \(0.00\cdots\) と 0 が 23 個並ぶということです。笑
そこで分かり易く表すために原子量をある基準を決めて相対的な値(比べた値)を用いて表します。
原子の相対質量
原子1個の質量はものすごく小さいのでそのままでは表すのが困難になります。
そこで原子の質量を表すのに便利な方法として、
質量数12の炭素原子( \( ^{12}\mathrm C\) )1個の質量を基準の12として、比較した値を用いて表します。
この炭素原子( \( ^{12}\mathrm C\) )を12とした相対値を原子の相対質量といいます。
相対値(質量比)なので単位はありません。
※
単位のない数値を無名数(むめいすう)といいますので覚えておくと良いです。
元素の原子量
元素には同位体が存在しているものがたくさんあり、同位体の存在比は一定です。
そこで同位体の原子の相対質量に存在比をかけて求めた平均値をその元素の原子量といいます。
これも相対値なので単位はありません。
※
元素によっては同位体が存在しないものもありますが、多くの元素は同位体を持っているので存在比を無視することはできません。
だから存在比をかけて平均した元素の原子量が必要なのです。
普通はこの平均した元素の原子量を単に原子量と呼んでいます。
例えば塩素の原子量を計算して見ると、
塩素の自然界の存在比は \( ^{35}_{17}\mathrm {Cl} 75.77\% , ^{37}_{17}\mathrm {Cl} 24.23\% \) です。
\( ^{35}_{17}\mathrm {Cl}\) の相対質量を 34.97 、\( ^{37}_{17}\mathrm {Cl}\) の相対質量を 36.97 とすると
塩素の原子量は
\( (34.97 \times 75.77 + 36.97\times 24.23)\div 100=35.45\)
となります。
実際には、塩素の原子量は35.5と問題に与えられます。
これは高校の化学計算に限ってですが元素の原子量を有効数字2桁か3桁で与えてくれる場合が多いです。
周期表では4桁で書かれていますが、問題に与えられる数字なので覚える必要はありません。
平均値の出し方なので数学の話しになりますが、
元素の原子量は、「(同位体の相対質量×存在比率)の総和」ということです。
存在比を%とした場合は100で割る必要がありますね。
炭素の原子量を求める問題も多いので練習しておくといいでしょう。
同位体の存在比を
\( ^{12}\mathrm {C} 98.9\% , ^{13}\mathrm {C} 1.1\%\)
として炭素の原子量を求めよ。
炭素の原子量は 12.01 とでましたか?
※
ところで陽子の相対質量を1とすると陽子と中性子の質量はほぼ等しいから、
質量数=陽子の数+中性子の数
なので、原子の相対質量と質量数は一致するはずなのですが実際には一致していません。
これは陽子と中性子の数が増えると質量欠損が大きくなるからだと考えられていますが、高校の間は無視してください。w
⇒ 原子量と質量数は何故一致しない?質量欠損と核融合エネルギー
相対質量と絶対質量
原子の質量はきわめて小さな値です。
単位をgとすると0が23個くらいつく数字だというのはお伝えしましたよね?
こういう質量を絶対質量といいます。
それに対して、
基準になるものをある程度の大きさで表し、
その基準と比べてどのくらいの質量かを表したものを相対質量というのです。
炭素 \( ^{12}\mathrm C\) を12(基準)とすると、
ほとんどの元素の原子量が質量数に近い値になるので世界基準として採用されています。
質量数については
⇒ 原子 構造と原子番号と質量数
同位体については
⇒ 原子の質量数と同位体(アイソトープ)
を参考にして下さい。