鉱物と同様に合成樹脂の中にもイオン交換作用があることが分かりそれ以後イオン交換作用のある合成樹脂をイオン交換樹脂と呼ぶようになりました。陽イオンを交換する樹脂と陰イオンを交換する樹脂があるので両方見ておきましょう。

陽イオン交換樹脂

分子中にスルホ基(\(\mathrm{-SO_3H}\))やカルボキシ基(\(\mathrm{-COOH}\))などの酸性を示す官能基を多く含む水に溶けにくいの合成樹脂は、
これらの官能基から電離した水素イオン(\(\mathrm{H^+}\))と水溶液中の他の陽イオンと交換することができます。
このような樹脂を陽イオン交換樹脂といいます。

陽イオン交換樹脂の例として、ポリスチレンスルホン酸があります。
作成方法を簡単に示しておきます。

スチレン(スチレンの示性式は覚えておいた方が良いですよ。
\(\mathrm{C_6H_5-CH=CH_2}\))に、\(p-\)ジビニルベンゼンを10%程度混ぜて共重合をすると、
 \(p-\)ジビニルベンゼンが2本のポリスチレン鎖を架橋結合した立体的な網目構造をした高分子が生成します。

これを小さな粒に加工した後濃硫酸でスルホン化すると、
ベンゼン環に強い酸性を示すスルホ基が導入されポリスチレンスルホン酸が生成します。
polistiren100

 \(p-\)ジビニルベンゼンを入れすぎるとスルホン化が困難になって、
イオン交換樹脂としての効果が低下することになります。

また立体構造の網目が多くなりすぎると溶液が入りにくくなることも交換効果の低下の原因になります。

陰イオン交換樹脂

ポリスチレン分子中に強塩基性を示す
 トリメチルアンモニウム基\(\mathrm{-N^+(CH_3)_3}\)
などをつけて、アルカリ処理しておくと、
水酸化物イオンを樹脂中にもつようになります。
 (\(\mathrm{-N^+(CH_3)_3OH^-}\)の状態)

この水酸化物イオンは水溶液中の他の陰イオンと交換するはたらきをもちます。
これを陰イオン交換樹脂といいます。

例えば陰イオン交換樹脂をカラムに詰めて塩化ナトリウム(\(\mathrm{NaCl}\))水溶液を流すと、
樹脂表面の水酸化物イオンと溶液中の塩化物イオンが交換され水酸化ナトリウムの水溶液が出てきます。

イオン交換樹脂の再生

陽イオン交換樹脂の場合、
使用済みの樹脂に希塩酸や希硫酸を通すともとに状態に戻ります。

陰イオン交換樹脂の場合は、
使用済みの樹脂に濃い水酸化ナトリウム水溶液を通すともとの状態に戻ります。

イオン交換樹脂の反応は可逆反応で、これらは容易に起こる反応です。
この可逆反応を利用し使用済みのイオン交換樹脂をもとの状態に戻すことを
イオン交換樹脂の再生
といいます。

イオン交換樹脂の利用

交換樹脂の利用は身近な例でいうと水道水の純水化があります。

陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混ぜて詰め、上から水道水を少しずつ流し込むと、水道水中の陽イオンは陽イオン交換樹脂、陰イオンは陰イオン交換樹脂に吸着されます。

このとき水素イオンと水酸化物イオンが交換されて出てきますが、中和されてタダの水になるので下から出てくるのは純水ということになるのです。
このような純水は脱イオン水と呼ばれます。

また、水道水から純水を取り出すだけでなく、硬水や工業排水に含まれる有害金属イオンの処理などにも利用されます。

ただし、イオン交換樹脂では非イオン性の物質は除去できません。
有機物も含め非電解質の除去には蒸留を行うことが必要になります。

イオン交換する物質はイオン交換樹脂だけではなく、ゼオライトなどの鉱物もイオン交換物質です。
これらの様にイオンを交換する物質をイオン交換体といいますが、樹脂だけではありませんので注意しておいてくださいね。

⇒ 天然ゴムと合成ゴムの重合方法と特徴

次は合成ゴムを見てみましょう。