イオン化エネルギーも電子親和力もイオンになるときのエネルギーを示しますが、原子は陽イオンになりやすいものと陰イオンになりやすいものとがあります。原子によってこのエネルギーは違っているのですが、電子を失うときのイオン化エネルギーと電子を受け取るときのエネルギー電子親和力について基本的なことをお伝えしておます。

イオン化エネルギーとは

原子から1個の電子を取り出し1価の陽イオンにするのに必要なエネルギーイオン化エネルギーといいます。
イオン化エネルギーは周期表の左下に行けば小さくなる傾向があります。

イオン化エネルギー小さいほど陽イオンになりやすいので、周期表の左下にある原子ほど陽イオンになりやすいということが言えます。
逆に右上の原子ほどイオン化エネルギーは大きく陽イオンにはなりにくいということですね。
族でいうと、1族のアルカリ金属や2族のアルカリ土類金属は陽イオンになりやすく、17族のハロゲンや18族に属する希ガスは陽イオンになりにくいです。

電子親和力

イオン化エネルギーとは逆に、原子が電子を1個受け取り陰イオンになるときに放出されるエネルギー電子親和力といいます。
電子親和力は周期表の右上に行けば大きくなる傾向があります。

電子親和力は大きいほど陰イオンになりやすいと言えるので、
ハロゲンであるフッ素、塩素、臭素は電子親和力は大きく陰イオンになりやすいです。

ただし、希ガスは安定な電子配置をとっているので電子親和力はほぼ0を示しますので陰イオンには非常になりにくい、というより陰イオンにはならないと思っていて良いくらいです。

イオン化傾向だけでイオンになりやすさを表せば良いのに、と思うでしょう?
管理人も思いました。w

ですが、
 イオン化エネルギーが電子を取り出す為のエネルギー
であるのに対し、
 電子親和力が電子を受け取り放出するエネルギー
なのでエネルギーの出所が違うので勘弁してください、って感じですかね。

ややこしいのでまとめておきます。

イオン化エネルギーが小さい原子ほど陽イオンになりやすい。
イオン化エネルギーが大きい原子ほど陽イオンになりにくい。
電子親和力が大きい原子ほど陰イオンになりやすい。

イオン半径

同じ電子配置を持つイオンを考えると、イオンの大きさを示す半径は同じ、だと考えてもおかしくありません。
しかし実際には同じ電子配置を持つイオンの半径を比べてみると、
原子番号が大きなイオンの方がイオン半径が小さくなっています。

これは同じ電子配置のイオンでも、原子番号が大きな原子ほど陽子(+)の数は増えているので、
原子核の正電荷が大きくなるので原子核の周りを回っている負の電荷を持っている電子(-)を引きつける力が強くなるからです。

例えば、希ガスのネオン( \(\mathrm {Ne}\) )と同じ電子配置を持つイオンに、
 酸化物イオン( \(\mathrm {O^{2-}}\) )
 フッ化物イオン( \(\mathrm F^- \) )
 ナトリウムイオン( \( \mathrm {Na}^+ \) )
 マグネシウムイオン( \(\mathrm {Mg}^{2+} \) )
 アルミニウムイオン( \(\mathrm {Al}^{3+} \) )
がありますが、
酸化物イオン( \(\mathrm {_8O}^{2-}\) )とアルミニウムイオン( \(\mathrm {_{13}Al}^{3+} \) )では、
イオン半径は酸化物イオンの方がアルミニウムイオンの倍くらいになります。

かなり違いますね。
原子核の(+)の力が強くなるとマイナス(-)の電子を強く引きつける、というのを何となくで良いのでイメージしておきましょう。

それと、単原子からなるイオンは、
陽イオンは「原子名+イオン」と呼ぶのに対し、
陰イオンは「原子名+物+イオン」と呼ぶのを忘れないで下さいね。

陽子と電子の数など原子の構造は

⇒ 原子の構造と原子番号と質量数

で確認しておいてください。