化学変化、化学反応には質量保存の法則や定比例の法則や倍数比例の法則など基本法則がいくつかあります。アボガドロの分子説までをここでまとめておきます。18世紀頃の法則もありますので今では少し違った見方もありますが基本は成り立ちます。

化学の基本法則のいくつかを年代順に見て行きましょう。

質量保存の法則

フランスのラボアジェは、(1774年)
化学変化の前後において、反応に関係した物質の質量の総和は変わらない。
という質量保存の法則を発見しました。

ラボアジェの時代では元素はまだ30種類程度しか発見されていなかったようですが、ラボアジェは燃焼が酸素との反応である酸化であることも証明しています。
化学反応式のところでもでも書いておきましたが、反応物と生成物とでは原子の総数に変化はないのだから、原子が増えたり減ったりすることはないということですね。

例えば、水素と酸素から水ができる

 \(2\mathrm {H_2} + \mathrm O_2 → 2 \mathrm {H_2O}\)

においても4g(2mol)の水素と32g(1mol)の酸素からその和である36g(2mol)の水が生成するということです。

定比例の法則

フランスのプルーストは、(1799年)
化合物を構成する元素の質量比は常に一定である。
という定比例の法則を発見しました。

例えば二酸化炭素(\(\mathrm {CO_2}\))は炭素12と酸素32つまり、常に3:8の質量比で構成されているということです。

原子説・倍数比例の法則

イギリスのドルトンは、(1803年)
質量保存の法則定比例の法則を説明するために、

原子説
・すべての物質は分割できない原子という粒子でできている。
・同じ元素の原子は質量や性質が同じで、異なる元素の原子はこれらが異なる。
・化合物は異なる原子が決まった割合で結合している。
・原子は化学変化の前後でなくなったり新しく生まれたすることはない。

とともに、

2種類の元素A,Bからなる化合物が2種類以上あるとき、
元素Aの一定質量と化合する元素Bの質量の間には簡単な整数比が成り立つ。

という倍数比例の法則を発表しました。

例えば炭素の酸化物である一酸化炭素(\(\mathrm {CO}\))と二酸化炭素(\(\mathrm {CO_2}\))は、
 炭素12gと酸素16g、炭素12gと酸素32g、
つまり同じ炭素の質量に対し酸素1:2で構成されているということです。

倍数比例の法則は原子説の正しさを証明する法則でもありますが、
原子説では、
すべての物質は分割できない原子でできている
ともしてあり、矛盾を生じる反応もあるので、アボガドロの分子説が生まれることとなります。

気体反応の法則と分子説

フランスのゲーリュサックは、(1808年)
気体反応において反応する気体の体積には簡単な整数比が成り立つ
という気体反応の法則を発見しました。

 \(2\mathrm {H_2} + \mathrm O_2 → 2\mathrm {H_2O}(水蒸気)\)

しかし、これはドルトンの原子説とは矛盾することになります。
水は原子ではありませんからね。
今であれば当たり前に感じるでしょうが、当時はまだまだ未知な事実や法則はたくさんあったのです。

そこで、イタリアのアボガドロは、(1811年)
ゲーリュサックの気体反応の法則とドルトンの原子説の矛盾を解くために、

 ・すべての気体は、種類に関係なくいくつかの原子が結合した分子という粒子からなる。
 ・すべての気体は、同温・同圧では同体積中に同数の分子を含む。

という分子説を発表しました。
これが後にアボガドロの法則と呼ばれるようになりました。

質量保存の法則や定比例の法則を原子説や倍数比例の法則で証明しようとして、
気体反応の法則と原子説の矛盾を解決するために分子説が生まれたという流れですね。

約200年前の話です。
化学、科学の進歩がこの百年でどれくらいすごいか分かりますよね。

化学では人名が多く出てきます。
まだまだたくさん出てきます。

偉大な先人達です。
何となくでも良いので少しでも覚えておきましょう。笑

⇒ 原子量と質量数は何故一致しない?質量欠損と核融合エネルギー

これは質量が変わることを示していますが、高校化学では質量保存の法則はなり立つもの、としてあります。