気体の圧力と液体の圧力は大気圧や水圧だけではありませんが、
ここでは大気圧と水圧についてまとめておきます。
それぞれを求める計算公式と単位がいくつかありますので、名前と読み方と意味を覚えておく必要があります。
簡単な計算問題を解きながら使い方を確認しておきましょう。
圧力とは
スポンジの上におもりを置いたときに、同じおもりでもスポンジに接している面積の大きさによって、スポンジのへこみ具合が違います。
スポンジがないときはベッドでもソファーでもいいのでペットボトルに中身が入っている状態で試してみると多少違いがわかります。
横に寝かせたときと、キャップ側を下に立てて見たときにへこみ具合が違うのが確認できるでしょう。
見た目でわからなければ痛さで感じることもできます。
鉛筆の、なければシャーペンの芯側と上のキャップ側を指に軽く当てると、
同じ重さのはずなのに痛さが違います。
これは圧力が違うからです。
圧力とは、単位面積あたりの力、のことです。
単位面積が \(S\,\mathrm{(m^2)}\) あたり \(F\,\mathrm{(N)}\) の力がはたらくときの圧力 \(p\) は、
\(\large{\color{red}{\displaystyle p=\frac{F}{S}}}\)
となります。
簡単に言えば力を接している面積で割るのですが、それぞれの単位があります。
圧力 \(p\) の単位は \(\mathrm{Pa}\) (パスカル)を使います。
面積 \(1\,\mathrm{m^2}\) 当たりに、\(1\,\mathrm{N}\)の力がはたらくときの圧力が、\(1\,\mathrm{Pa}\)です。
式で表すと
\(\color{red}{1\,\mathrm{Pa}=1\,\mathrm{N/m^2}}\)
となります。
単位 \(\mathrm{N/m^2}\) の読み方は「ニュートン毎(まい)平方(へいほう)メートル」です。
天気予報などでよく耳にするヘクトパスカルは大気圧を表していますが、
\(1\,\mathrm{hPa}=100\,\mathrm{Pa}\) のことです。
( \(\mathrm{h}\)(ヘクト)は 100 を意味します。)
また、気圧には \(\mathrm{atm}\)(アトム)という単位も使うこともあります。
\(1\,\mathrm{atm}≒1013\,\mathrm{hPa}\) です。
圧力の大小を比較する計算問題
簡単な計算問題で接触面積が小さいと圧力が大きくなるということを確かめておきましょう。
底面積 \(2.0\mathrm{m^2}\) の場合と底面積 \(3.0\mathrm{m^2}\) の場合の台が直方体から受ける圧力をそれぞれ求めよ。
圧力 \(p(\mathrm{Pa})\) は、力 \(F(\mathrm{N})\) を面積 \(S(\mathrm{m^2})\) で割ったものです。
\(\displaystyle p=\frac{F}{S}\)
底面積が \(2.0\mathrm{m^2}\) の場合圧力は
\(\displaystyle p=\frac{3.0}{2.0}=\underline{1.5(\mathrm{Pa})}\)
底面積が \(3.0\mathrm{m^2}\) の場合圧力は
\(\displaystyle p=\frac{3.0}{3.0}=\underline{1.0(\mathrm{Pa})}\)
つまり、同じ物体の場合、圧力は接触面積に反比例するということです。
気体の圧力と大気圧
気体の粒子は空間中を液体よりも自由に動いています。
その1つひとつの粒子が面に衝突することで生じる圧力を気圧といいます。
気圧はすべての気体の圧力に使う用語です。
その中でも大気の圧力を大気圧といいます。
気圧は気体の衝突で生じる圧力ですが、大気圧は空気の重さで生じると考えます。
海面上での大気圧を1気圧といいます。
\(\color{red}{\large{1\,気圧\,=\,1.013\times 10^5\,\mathrm{Pa}\,(=1\,\mathrm{atm})}}\)
これは地面 \(1\,\mathrm{m^2}\) あたり、およそ \(1.0\times 10^5\mathrm{N}\) の重さの空気が乗っていることになります。
\(1.0\times 10^5\mathrm{N}\) の重さというのはなじみの\(\mathrm{kg}\)単位の質量でいうと、
\(1.0\times 10^4\mathrm{kg}=10000\mathrm{kg}\)
ですがあまり実感のわく数値ではありません。笑
この重さは海面、地面の上にずっと段々と積もった空気の重さです。
だから積もる量が少なくなる高いところに行けば大気圧は小さくなります。
下の方が空気の密度が高くなることもイメージできるでしょうか。
簡単に言えば山の上は空気が薄いということです。
計算式は必要ありませんが、具体的にどれくらい空気が少ないかを知っておいて下さい。
地面、海面で \(1\) 気圧だとすると、富士山で \(0.6\) 気圧、エベレストだと \(0.3\) 気圧くらいです。
液体の圧力と水圧
気圧と同じように液体の圧力はすべての液体の重さで生じます。
ここでは水の圧力について見ておきましょう。
水の重さによって生じる圧力を水圧といいます。
重さは積み重なるので、深くなればなるほど水圧は大きくなります。
これは水圧が深さに比例するということです。
ただし、同じ深さであれば、水圧はどの方向にも大きさは等しくなります。
水圧と深さとの関係式は、
水圧を \(p\)、水深を \(h\)、重力加速度を \(g\)、水の密度を \(\rho\) とすると
\(\color{red}{\large{p=\rho hg}}\)
となります。
単位はそれぞれ、
水圧\(p(\mathrm{Pa})\)、水深\(h(\mathrm{m})\)、重力加速度 \(g(\mathrm{m/s^2})\)、水の密度 \(\rho(\mathrm{kg/m^3})\)
であつかいます。
底面に与える水の重さによる圧力と考えるとわかりやすいです。
水の質量 \(m\) は「\(密度\times 体積\)」で、
底面積を \(S\) 、高さを \(h\) とすると体積は \(Sh\) なので、
\(m=\rho \times Sh\)
この質量が底面を押す力Fは、
\(F=mg=\rho \times Sh\times g=\rho Shg\)
この力 \(F\) を底面積 \(S\) で割ったものが水圧 \(p\) なので、
\(\displaystyle p=\frac{F}{S}=\frac{\rho \color{red}{S}hg}{\color{red}{S}}=\rho hg\)
公式を覚えにくいときは、めんどうだけど圧力の求め方に戻るといいですね。笑
この式は水圧だけを考えています。
ところが実際の水圧は大気圧が加わります。
圧力は和で考えていいので、水圧に大気圧を加えればいいだけです。
水面での大気圧を \(p_0(\mathrm{Pa})\) とすると、水深 \(h(\mathrm{m})\) で物体が受ける水圧 \(p'(\mathrm{Pa})\) は、
\(\color{red}{\large{p’=p_0+\rho hg}}\)
ここでは水圧の増加を確認しておきましょう。
水圧の増加を計算する問題
\(10\,\mathrm{cm}\) 沈めるごとに物体の底面が受ける圧力は何 \(\mathrm{Pa}\) ずつ増加するか求めよ。
水の密度は \(1.0\times 10^3\,\mathrm{kg/m^3}\) 、重力加速度は \(9.8\,\mathrm{m/s^2}\) とする。
\(10\,\mathrm{cm}=0.1\,\mathrm{m}\) なので、\(p=\rho hg\) から、
\(\Delta p=1.0\times 10^3 \times 0.1\times 9.8=9.8\times 10^2\)
よって、\(10\mathrm{cm}\) 沈めるごとに水圧は \(9.8\times 10^2(=980)(\mathrm{Pa})\) 増加する。
※
\(\Delta\) は増加分を表しているだけなので気にしなくていいです。
水圧はすべての方向に同じ大きさではたらくので底面でも側面でも同じですよ。
圧力は力を面積で割る、ということは忘れないで下さい。
圧力の単位はこちらでも詳しく説明してあります。
それと、
密度や比重の復習はしておいた方がいいですね。
次は「わかりにくい」という人が多いところです。
⇒ 浮力(アルキメデスの原理) 密度と体積と重力加速度の関係
浮力も力の1つなので確認しておきましょう。