密度と比重という言葉は化学で良く出てきますがどう違うのでしょうか?何気なく同じように使っていますが正確には違います。単位の確認と苦手だという人は計算問題も解けるようになっておきましょう。比較的簡単な例題をあげて解き方を説明しておきます。

密度と比重の違い

密度は1\( \mathrm{cm^3}\) あたりの固体と液体の質量を表したものです。
単位は 「 \(\mathrm{g/cm^3}\) 」
比重は同体積の物質の質量の比のことですが、単に比重というときは「水に対する比」をいいます。
比なので単位はありません。
密度と比重でややこしいのは数値が同じになることですね。
(水の密度が1 \(\mathrm{g/cm^3}\) なので)

密度は \(\mathrm{g/cm^3}\) という単位を持つのに対し、比重は単位のない無名数です。
ただし、実際の計算では比重は密度と考えて \(\mathrm{g/cm^3}\) の単位で計算して問題ありません。

密度と比重と体積の関係

 密度 : \(d\) (単位: \(\mathrm{g/cm^3}\) )
 体積 : \(v\) (単位: \(\mathrm{cm^3}\) )
 質量 : \(w\) (単位: \(\mathrm{g}\) )
とすると、
 \(\displaystyle d=\frac{w}{v}\)  ・・・①
 \(w=dv\)  ・・・②
 \(\displaystyle v=\frac{w}{d}\)  ・・・③
という関係が成り立ちます。
計算問題で良く使われるのは②ですが、③もときどき使われるんですよ。
でも、基本になる①を変形すれば良いだけなので等式変形には慣れておくと使い分ける必要はありません。

ただ、この公式①②③を使い慣れていない人にもわかるように比例式での解き方も加えておきます。

密度と質量の関係 計算問題と解説

密度と体積と質量の関係は上の①②③を使えば関係は比例なので難しくはありません。
練習問題の中で見ていきましょう。

練習1

鉄の密度は \(7.8\mathrm{g/cm^3}\) です。
1辺が \(10\mathrm{cm}\) の立方体の鉄の質量は何gか求めよ。

密度( \(d\) )が与えられているので \(1\mathrm{cm^3}\) の質量はわかっています。
質量( \(w\) )が知りたいので体積( \(v\) )が必要になります。

「1辺が \(10\mathrm{cm}\) の立方体」の体積は
 \(10^3=1000 \mathrm{cm^3}\) です。
よって

 \( w=d\times v=7.8\times 10^3=7800\, \mathrm{g}\)

さすがに「立方体」の説明は必要無いですよね?笑

比例式を立てるとすれば、
「 \(1\mathrm{cm^3}\) で 7.8g のとき
 \(10^3\mathrm{cm^3}\) のときの質量 \(x\) は?」
という比例関係なので

 \( 1:10^3=7.8:x\)

となるだけです。

練習2

アルミニウムの結晶格子は面心立法格子構造をしています。
単位格子の1辺の長さは \(4.04\times 10^{-8}\,\mathrm{cm} \)で、その密度は \(2.70\,\mathrm{g/{cm^3}}\) である。
単位結晶格子の質量はいくらか求めよ。

この問題は正答率が非常に低い問題です。
「結晶格子には \(w=d\times v\) が通用しないと錯覚している。」だけです。

結晶格子の長さには「Å (1Å= 10^{-8}\(\mathrm{cm}\)」(オングストローム)という単位が使われていて、
「Åの単位では公式が通用しないと錯覚している」人が多かった。

通用します。
これも密度はわかっているので体積が必要です。
面心立法格子は立方体なので、
単位結晶格子の体積 \(v\) は
 
 \( v=(4.04\times 10^{-8})^3\)

となるので、求める質量 \(w\) は

 \(w=d\times v\\ \\
=2.70\times(4.04\times 10^{-8})^3\\ \\
≒1.78\times 10^{-22}\,(\mathrm{g})\)

比例式を使って関係式を立てると
密度が2.70( \(\mathrm{g/cm^3}\) )なので、
「 \(1\mathrm{cm^3}\) で 2.70g のとき
 \((4.04\times 10^{-8})^3\,\mathrm{cm^3}\) のときの質量 \(x\) は?」
という比例関係なので

 \( 1:(4.04\times 10^{-8})^3=2.70:x\)

を解けば良いということになります。

さて、数学の説明ではないので必要無いのですが、指数の扱いを復習しておきます。

 \( v=(4.04\times 10^{-8})^3\)

の部分ですが、指数の3は因数の両方を3乗します。

 \( (4.04\times 10^{-8})^3=4.04^3\times (10^{-8})^3\)

さらに\( 10^{-8})^3\) は指数部分を3倍することになります。

 \( (10^{-8})^3=(10^{-8})\times (10^{-8})\times (10^{-8})=10^{-24}\)

つまり

 \( w=2.70\times (4.04\times 10^{-8})^3\\~\hspace{10pt}=2.70\times 4.04^3\times 10^{-24}\)

この計算は有効数字を活用しながら進めると少しは楽になりますが、
有効数字は考えず最後まで計算をして、さいごに有効数字3桁で答える方がはやいです。
がんばってかけ算しましょう。
というか、それくらい自分でやろうよ。
ちなみに、化学の試験では電卓は使えませんよ。

比重と質量の関係 計算問題と解説

練習3

アルミニウム( \(\mathrm{Al}\) )の比重は2.70である。
 \(18\mathrm{cm^3}\) のアルミニウムの質量は何gか求めよ。

比重は水に対する比なのでアルミニウムの比重が2.70ということは
 \(1\mathrm{cm^3=1g}\) の2.70倍、つまり \(2.70 \,(\mathrm{g/{cm^3}})\) がアルミニウムの密度になります。

後は密度と同じ問題になりますので(密度)×(体積)を計算すれば求まります。

  \(w=d\times v=2.70\times 18=48.6\,(\,\mathrm{g}\,)\)

これは必要無いとは思いますが比例式を使って解いておくと、
「 \(\mathrm{1cm^3}\) で 2.70g のとき
 \(\mathrm{18cm^3}\) のときの質量 \(x\) は?」
となりますので

 \( 1:18=2.70:x\)

を解くだけで、公式そのものになります。

練習4

単体Aは比重1.6の固体である。
この固体を調べたところ1辺の長さが \(\mathrm{5.5\times 10^{-8}cm}\) の立方体の中に4個の原子が含まれていることがわかった。
固体Aの原子1個の質量を求めよ。

この問題は公式を使う計算になれていると、

 \( d\times v=w\)

から割と簡単に答えが出せるのですが、比を使って段階的に説明をしていきます。

比重が1.6ということなので密度は 1.6 ( \(\mathrm{g/cm^3}\) )です。
これは \(\mathrm{1cm^3}\) の質量で、
1辺が \( 5.5\times 10^{-8}\) の立方体では、
体積が \((5.5\times 10^{-8})^3\) なので
質量は \(1.6\times (5.5\times 10^{-8})^3\)(g)となります。

これはA原子4個分の質量です。
1個の原子の質量 \(x\) についての比例式は
「原子4個の質量が \(1.6\times (5.5\times 10^{-8})^3\) g のとき
 原子1個の質量 \(x\) は?」
となるので

 \( 4:1=1.6\times (5.5\times 10^{-8})^3:x\)

から求めることができ、A原子1個の質量 \(x\) は

 \(x=1.6\times (5.5\times 10^{-8})^3\div4\\ \\
=66.55\times 10^{-24}\\ \\
≒ 6.66\times 10^{-23} (\mathrm{g})\)

となります。

慣れるまではわかることを1つひとつ出していき比例式を立てる、で良いですが

 \( d\times v=w\)

を使って原子1個の質量を求めるときは
「密度に体積をかけるとその体積での質量」(左辺)
となりその質量は
「原子1個の質量×個数」(右辺)
に等しいということから、
原子1個の質量を \(x\) とすると

 \( 1.6\times (5.5\times 10^{-8})^3=4x\)

からすぐに求めることができるようになります。
これは比例式を飛ばして一気に方程式にしただけです。

公式としている①②③が使えるなら一気に計算しても良いですが、
できていないから今ここにいるのだと思います。

焦らずに、1つひとつわかることからやっていきましょう。

比重から体積を求める計算問題と解説

今度は比重がわかっている場合の体積を求める問題をやって見ましょう。

練習5

水100gに炭酸ナトリウムの結晶を28.6g溶かした。
この溶液の比重が1.08とすると体積は何mLか求めよ。

この問題のややこしいところは、

 \(d\times v=w\) において

比重と質量は比例する」(体積一定)
けど
比重と体積は反比例する」(質量一定)
というところです。
この問題は比重と体積の問題なので反比例なのです。

反比例するときの比例式は逆数を使いますがやったことないのではないでしょうか。
そこで反比例の関数を使って表して見ましょう。
数学がどこでも使えるというのがわかりますよ。

ところで、
 「比重が大きくなると体積が小さくなる」
というのはイメージできてますか?
例えば、
同じ重さにするのに、比重が1の物質に対し、比重が2の物質だと半分の体積ですよね。
分かり易い値でイメージしてからで良いですよ。

さて、中学1年生で習う反比例ですが、

 \( y=\displaystyle \frac{a}{x}\)

ですが一定な値は \(a\) です。

 \(a=xy\) つまり \(x\) と \(y\) の積は常に一定になる、
というのが反比例の関数の性質です。

ここで一定なのは質量です。
水100gに結晶28.6g加えたので質量は128gですがこの質量は一定です。

密度(比重) \(d\) と質量 \(w\) と体積 \(v\) の関係は①②③に書いておきましたが、
質量が一定なので \(w=d\times v\) と同じ関係だということです。

比重1.08の溶液の体積 \(x\) の積 \(1.08\times x\) の値は一定なので、

 \( 128=1.08\times x\)

これから \(\displaystyle x=\frac{128}{1.08}≒119\,(\mathrm{mL})\)
これが答えです。

この問題に「炭酸ナトリウム」という言葉は必要ありません。
「128gの溶液がある。比重が1.08のとき、この溶液の体積を求めよ。」
と同じ問題です。

公式を覚えて使えればそれでかまいません。
化学で使う公式はそれほど多くはありませんが、公式がなくても解ける問題はありますからね。
やれることはやって見てください。
(平衡定数などの場合は公式というより定数を求める定義の式なので覚えておかなければどうにもならないところです。)

練習6

水の比重を1.00とする。
比重1.70の硫酸をつくるには水100mLに比重1.80の硫酸を何mL加えればよいか求めよ。
混合による体積変化はないものとする。

これはもはや数学の問題(中学1年)とも言えます。
「等しいものを探せ。」
という方程式そのものです。
混合した
「水+比重1.80の硫酸の合計質量」

「混合溶液全体の質量」
が等しいので、加える比重1.80の硫酸を  \(x\) mLとすると、
「水+比重1.80の硫酸の合計質量」= \(100+1.80x\)
混合後の比重が1.70で体積が \(100+x\) mLになっているので
「混合溶液の質量」= \(1.70\times (100+x)\)
これらが等しいはずだから

 \(100+1.80x=1.70(100+x)\)

から \(x=700 \mathrm{mL}\) これが答えです。

密度(比重)と質量と体積の関係で使う式

密度、比重という言葉が出てくる問題を見たら

 \(\large{\color{red}{w=dv}}\)

この式は書きだしておきましょう。
比例式で解いても良いですが、できるだけ先に進むためにも化学で使う公式として1つでも覚えていくと良いです。

センター試験のような問題構成なら計算問題ができなくてもある程度は得点出来ます。
しかし、1つでも計算問題が解けるなら、捨てるにはもったいないですよね。

⇒ 化学の計算問題を解くための比の取り方の基本問題

比例式利用の計算練習からはじめるといいですよ。