多糖類であるデンプン、グリコーゲン、セルロースはα-またはβ-グルコースがたくさん結合した構造をしています。
それぞれで構造と性質は変わりますので覚えることが多くなりますが基本的な性質はおさえておきましょう。
立体構造も特殊ですが大まかな構造だけで良いです。
デンプン
\(\mathrm{\alpha-}\)グルコースが多数結合(縮合重合)した高分子化合物がデンプンです。
分子全体の構造はアミロースとアミロペクチンで構成され、
分子量数万程度の直鎖状の構造をしたアミロースを、
(直鎖状といっても部分的にはセルロースの環状構造ですよ。)
分子量数十万程度の枝分かれした構造のアミロペクチンで包み込んだ「らせん構造」となっています。
らせん構造の中にヨウ素を取り込むように反応しヨウ素デンプン反応を示し、このときの色は青色から青紫色の範囲で色を示します。
アミロース部分では濃い青色を示し、アミロペクチン部分では赤紫色を示します。
※
ヨウ素デンプン反応はデンプンのらせん構造にヨウ素を取り込んで青色を示しますが、加熱するとらせん構造からヨウ素を放出し無色になります。
※※
アミロースは1位と4位だけで結合していて、アミロペクチンは1,4に加え1,6の結合でもグリコキシド結合を枝分かれしています。
グリコーゲン
グリコーゲンはアミロペクチンに似た構造をしていますが枝分かれがさらに増え、
分子量が数百万以上という大きな分子量となります。
イメージ的にはアミロペクチンが多数結合したような感じです。
冷水にも溶けてヨウ素デンプン反応を示し、赤褐色になります。
動物の筋肉や肝臓に多く含まれているので動物デンプンとも呼ばれます。
※
人の体内ではグリコーゲンなどの糖類は加水分解されて最終的にはグルコースになりますが、
血液中ではエネルギー源としてのグルコースは一定に保たれるので、
余分な糖類はグリコーゲンとして体内(肝臓や筋肉など)で一時的に貯蔵される仕組みを持っています。
セルロース
セルロースは植物の細胞壁を構成する高分子化合物で、
\(\mathrm{\beta-}\)グルコースが縮合重合したものです。
食物繊維と呼ばれるのはこのセルロースですね。
分子量は数百万以上になりますが熱水にも溶けず、
何より人の体内では加水分解できませんので栄養素とはなりません。
食物繊維として腸の働きを整えるくらいです。
構造ですが、\(\mathrm{\beta-}\)グルコースととなりの \(\mathrm{\beta-}\)グルコースは反転して結合しているので、
分子全体ではらせんにはならず直線的な構造をしています。
そのためヨウ素を取り込む部分がないのでヨウ素デンプン反応は示しません。
立体的には見えませんがこのような感じです。
アミロースは少しずつ角度をつけて結合を重ねらせん状になりますが、
セルロースは逆、逆と結合するので直線的になるというイメージです。
他の多糖類
こんにゃくに含まれるグルコマンナン。
グルコースとマンノースを含み \(\mathrm{\beta-1,4}\)グルコキシド結合した多糖類です。
便秘を防ぎ、大腸癌の予防に効果があるといわれています。
キク科植物のダリヤなどはデンプンではなく、イヌリンという多糖類を茎に貯蔵します。
\(\mathrm{\beta-}\)フルクトースが1,2グリコキシド結合を数十繰り返し、
環状部分の末端に \(\mathrm{\alpha-}\)グルコースの1位が結合している構造をしていますのでヨウ素デンプン反応や還元性は示しません。
イヌリンを加水分解すると多量にフルクトースを得ることができます。
多糖類の大部分は人の栄養素になりますので生物でも取り扱うことが多いです。
生物の勉強に化学の知識を活かしてくださいね。w
セルロースについては工業的にもあつかわれますので化学でこの後少しですが詳しく説明します。
いずれにしても、詳しくやり過ぎると必要な情報を習得できないので基本的なところだけをおさえるようにしましょう。
詳しくやるのは余裕ができてからで良いです。
先ずは
から糖類だけでも全体を見渡しておいてください。
あ、忘れていましたが、
多糖類は還元性は示しませんので覚えておいてください。