DNAはヌクレオチドのポリマー(ポリヌクレオチド)なので構造は複雑です。ここでは立体構造の基本的なこととDNAの複製方法を見ておきます。RNAがタンパク質を合成する過程も覚えておいた方が良いかもしれませんね。

DNAの構造

DNAの中に存在するアデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)の量は等しい関係になります。
これを「シャルガフの法則」といいますがそれぞれの塩基対は水素結合しています。

DNAがらせん構造をしていることをウィルキンスが、その翌年ワトソンとクリックが二重のらせん構造をしていることを唱えました。
2本のヌクレオチド鎖が相補性をもつ塩基対で水素結合していることにより全体としての立体構造がらせん状になっているからです。
これをDNAの二重らせん構造といいます。
dna

ワトソンとクリックはこの業績を称えられ、約10年後二人ともノーベル賞を受賞しています。

DNAの4つの塩基の配列順序は生物の特徴を示す遺伝情報として利用されます。
つまり塩基の配列により生物ごとに遺伝情報は変わってくる、決まっているということですね。

DNAの複製

DNAの複製は細胞分裂の際に起こります。
先ず細胞分裂のときに2本のDNAの鎖がほどかれ、
ほどかれたそれぞれのDNAの鎖が型となって対になるヌクレオチド鎖が作成されます。

これによってもとの二重らせんと同じ構造のDNAがふた組できます。
これをDNAの複製といいます。
このDNAの自己複製により1本鎖のRNAよりも正確に複製することができているのです。

タンパク質の合成

タンパク質の合成はRNAが細胞の中で行います。

細胞の核の中でDNAの必要な部分が伝令RNAにコピーされます。
(これを「転写」といいます。)

このコピーされたRNAが細胞質中のリボゾームに付着します。
細胞質中にある運搬RNAは特定のアミノ酸と結びついてリボゾームに運びます。

リボゾームRNAのはたらきによって伝令RNAの遺伝情報によるアミノ酸が並べられてペプチド結合を形成し、
タンパク質が合成される、というのが細胞内でのタンパク質合成です。

タンパク質合成の詳しくは生物でも習うと思いますが、
RNAには、伝令RNA、運搬RNA、リボゾームRNAの3種類があるということは覚えておきましょう。

伝令RNAはDNAの遺伝情報を転写してリボゾームへ運ぶ役割をするのでメッセンジャーです。
(メッセンジャーRNA、m-RNA、伝令RNAは同じものです。)

運搬RNAはタンパク質を合成するのに必要なアミノ酸を運んでくる役目です。
(トランスファーRNA、t-RNA、運搬RNAは同じものです。)

予備知識として、アミノ酸の塩基配列を指定すると同じアミノ酸が作成されることが分かっているのでお伝えしておきます。

DNAもRNAも3つ塩基配列を決めると1つのアミノ酸が指定されます。
このうちで運搬RNA(m-RNA)上の3つの塩基配列の組をコドン(遺伝暗号)というのですが、これはすべての生物で共通のものとなっています。
例えば、「UUU」の組はフェニルアラニン、「UUA」はロイシンとアミノ酸が決まります。

これから考えると、アミノ酸の種類数は \(\mathrm 4^3=64\)となりますが、タンパク質の構成アミノ酸は20種類程度なのですべてこのコドンで表現可能だということになります。
実際の20種類のアミノ酸は61個のコドンで表現されていて、
残りの3個のコドンは、タンパク質の合成を止める「終止コドン」だということが分かっています。
⇒ コドン表(RNAの遺伝暗号表)の見方と使い方

DNAやRNAを十分に理解しようとするには、タンパク質とアミノ酸の関係をしっかりと理解しておく必要がありますね。

アミノ酸と

⇒ 両性化合物であるアミノ酸の種類と構造と性質(ニンヒドリン反応と等電点)

タンパク質について

⇒ ペプチド結合とタンパク質の構造と性質

で十分復習しておきましょう。