質量パーセント濃度とモル濃度の求め方が理解できていないと化学の計算問題はほぼ解くことができません。
溶液は溶媒に溶質が溶けた状態のものをいいます。
ここでは溶液の濃度である質量パーセント濃度とモル濃度について説明しますが、
物質が溶解して溶液となるところから正確な濃度の溶液をつくる注意点までを書いておきます。
溶液
固体や液体や気体が、液体に溶けること自体は溶解(ようかい)といいます。
物質が溶解して均一に拡散した状態の液体を溶液というのです。
溶液の中に溶けている物質を溶質(ようしつ)、
溶質を溶かしている液体を溶媒(ようばい)といいます。
これらを合わせて溶液といいます。
(溶液)=(溶媒)+(溶質)
※溶媒には水やエーテルなど、性質に合わせて物質を溶かしやすい液体を用います。
普通に溶媒として使われるのは水で、単純に溶液といえば溶媒が水である水溶液を示します。
特別に溶媒の種類を書かれていない場合は水溶液だと考えて良いのであまり深くは考えないでください。w
例えば、水に食塩をとかした食塩水ですが、
溶質は塩化ナトリウム(\(\mathrm {NaCl}\))、溶媒は水(\(\mathrm {H_2O}\))です。
溶質には液体や気体もありますがあつかう物質は固体が多いです。
質量パーセント濃度
溶液の濃度の表し方の1つである質量パーセント濃度ですが、中学の理科で習った濃度ですね。
溶液中の溶質の割合をパーセント(%)で表します。
溶液は溶媒と溶質を足したものなので全体が溶液ですから、溶質と溶媒を別々に考えられるようになると良いですね。
濃度自体は溶媒の量は気にせず求まりますので先ずは計算式は覚えておきましょう。
\(\displaystyle \color{red}{質量パーセント濃度(\%)}=\frac{\color{green}{溶質}の質量}{\color{magenta}{溶液}の質量}\times 100\)
または
\(\displaystyle \color{red}{質量パーセント濃度(\%)}=\frac{\color{green}{溶質}の質量}{(\color{blue}{溶媒}+\color{green}{溶質})の質量}\times 100\)
単位は%になりますので忘れないようにして下さい。
モル濃度
物質量(モル)を用いて濃度を表す方法です。
これは質量パーセント濃度とは違います。
溶液1Lに解けている溶質の物質量(mol)で表す濃度で、
単位が「mol/L」となります。
溶媒である水1Lに溶かした溶質の物質量ではありません。
溶液1L中の物質量なので間違えないようにして下さい。
モル濃度を求める計算式は
\(\displaystyle モル濃度(\mathrm{mol/L})=\frac{\color{green}{溶質}の物質量(\mathrm{mol})}{\color{magenta}{溶液}の体積(\mathrm{L})}\)
となります。
例えば、
0.1molの塩化ナトリウムを水に溶かして500mLとした溶液は、
\(0.1 \div 0.5=0.2\) mol/L となります。
0.1molの塩化ナトリウムを水500mLに溶かしたのではありませんから注意して下さい。
溶媒が500mLなのではなくて、溶液が500mLなのです。
濃度から質量を求める計算
質量パーセント濃度を求める計算式から、
\(\displaystyle(溶質の質量)=(溶液の質量)\times \frac{(質量パーセント濃度)}{ 100}\)
質量パーセント濃度と密度と体積が分かるとき、
\(\displaystyle(溶質の質量)=(溶液の体積)\times (密度)\times \frac{(質量パーセント濃度)}{ 100}\)
溶液のモル濃度と体積が分かるとき、
\((溶質の物質量)=(モル濃度)\times(溶液の体積)\)
モル濃度は体積1Lが基準の濃度ですので、溶液の質量が与えられたときは体積に換算して計算しなければなりません。
\((溶液の質量)=(溶液の体積)\times(密度)\)
なので
\((溶液の体積)=(溶液の質量)\div(密度)\)
を利用することになります。
これらで質量や物質量が求まりますが、
実際に自分で計算してみて使えるようにならないと意味はありませんよ。
練習問題は教科書にもあるとは思いますが少しだけでもここでやっておきましょう。
ブドウ糖水溶液1L中にブドウ糖が18g入っていた。
このブドウ糖水溶液のモル濃度を求めよ。
\(\mathrm {C_6H_{12}O_6}=180\) とする。
モル濃度は単位が(mol/L)です。
溶液1L中の物質量を求めれば良いので、ブドウ糖18gが何molかを出せばいいわけです。
ブドウ糖18gの物質量は
\( \displaystyle \frac{18}{180}=0.1\)
なのでモル濃度は 0.1 mol/L。
ところで有効数字の1Lというところですが、
1だけを見ると有効数字1桁に見えますが、
こういったはっきりと正確にいえるものに対しては 1.000000・・・と見なされます。
定義された定数についても同様に有効数字と見なさないものもあります。
標準状態を示す0℃1気圧の0や1もそうです。
ここでは18gという二桁の数字が有効数字となりますので気をつけましょう。
有効数字についてはまた詳しく解説します。
すみませんが今は忘れて(無視して)下さい。w
⇒ 物質量とmol(モル)とアボガドロ定数
などは知っておかないと計算自体ができませんので復習しておいてください。
モル濃度については計算問題が必ずついて回ります。
練習問題を比例計算の仕組みとともに説明しておきましたので参考にして下さい。
⇒ モル濃度の単位の確認と計算問題を解く公式と求め方
ここを何度も繰り返しておけば、
「モル濃度の問題がわからない」
ということは、なくなるとはいいませんが、確実に減るでしょう。
ただし、化学基礎とは言えないレベルまでの問題となっていますのでわかるところまででいいです。
計算練習をしておきたいなら
⇒ 溶液の質量パーセント濃度の求め方と比重を利用した計算問題
を利用すると良いです。