繊維とは簡単に言えば「糸」ですが、天然素材の繊維と化学合成による繊維は原料も強さも違ってきます。ナイロン66やナイロン6とケプラーについては合成方法も含め覚えておいた方が良い合成繊維について書いておきます。

天然繊維と化学繊維の分類

細い糸状の物質を繊維というのですが、天然繊維と化学繊維に分けることができます。
さらに、
天然繊維は、セルロースを主成分とする植物繊維と、タンパク質を動物繊維に分類できます。
化学繊維は、天然繊維を化学的に処理した再生繊維と半合成繊維と、石油をもとに合成された合成繊維に分類することができます。

先ずは、天然繊維から見ていきましょう。

天然繊維

植物繊維には綿や麻があります。

綿は「コットン」と呼ばれる綿花(綿毛)を使ったほぼ純粋なセルロースでできた、中空部分を持つ繊維です。
扁平であることで糸として紡ぎやすく、ルーメン(中空部分の呼び名)があるので吸湿性に優れています。

麻は「リネン」と呼ばれる場合が多いですが、亜麻の茎の短繊維を利用した主成分がセルロースの繊維です。
これも吸水性、吸湿性が良い繊維です。
麻の製品は綿の製品よりは少し硬いイメージがありますね。

動物繊維には絹や羊毛があります。
絹は「シルク」と呼ばれているなめらかで美しい光沢のある繊維です。
カイコガの繭(まゆ)から得られる長い繊維を利用していて、主成分はタンパク質(フィブロイン)です。
製品は高価で上品な仕上がりになりますが光によって変色しやすい性質なので化学製品が代用されるようになっています。

羊毛は「ウール」と呼ばれ羊の体毛を利用していて、タンパク質(ケラチン)でできています。
繊維の表面にうろこ状のキューティクルがあり、隙間から空気や水蒸気が出入りできるので保湿性や吸水性も良いです。

化学繊維

化学繊維にはレーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ナイロンなどの合成繊維があります。
ここでは合成繊維をいくつかあげて、合成方法と共に説明します。

ナイロン66

ナイロン66はアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを縮合重合させて合成します。
アジピン酸に炭素数が6、ヘキサメチレンジアミンにも炭素数が6あるので「6,6-ナイロン」よとばれています。
ナイロンは絹によく似た性質を持っていますが水素結合によって強度が増しており絹よりも丈夫です。
66
鎖状の2価のカルボン酸である
 アジピン酸(\(\mathrm{HO-CO-(CH_2)_4-CO-OH}\))と、
鎖状のジアミンである
 ヘキサメチレンジアミン(\(\mathrm{H-NH-(CH_2)_4-NH-H}\))とが、
末端どうしでアミド結合(\(\mathrm{-CO-NH-}\))を繰り返し縮合して、

 \( \mathrm{-\left\{CO-(CH_2)_4-CO-NH-(CH_2)_6-NH\right\}_n-}\)

の示性式のナイロン66となります。
脱水縮合なので\(n\)分子どうしの重合では\(2n\)分子の水(\(\mathrm{H_2O}\))が出てきます。

ナイロン6

ナイロン6は「6-ナイロン}と呼ばれ、\(\mathrm{\epsilon-}\)カプロラクタムに少量の水を加えて減圧下で加熱し、開環重合させると生成します。
七員環である \(\mathrm{\epsilon-}\)カプロラクタムは環の外に出ている水素原子の反発があり、開環重合しやすくなっているのですが水を加えず加熱しても重合されません。
加えた水によって開環を引き起こすため重合が開始されます。
6

環状のアミド結合を持つ化合物をラクタムといいます。
カプロン酸と呼ばれる\(\mathrm{C_6}\)の脂肪酸のイプシロン(\(\mathrm{\epsilon-}\))位にアミノ基を持つので、
 \(\mathrm{\epsilon-}\)カプロラクタムという意味で名前がついています。
単純にいうと、ラクタムでは \(\mathrm{\alpha-,\beta-,\gamma-,\delta-,\epsilon-}\) の順に環の炭素数が増えるということですね。
※※
ナイロンの長所と短所
 長所:強度、弾力性、耐薬品性、防虫性、軽量
 短所:吸湿性が低い、熱に弱い
ちなみに、ナイロン66はアメリカ人ですが、ナイロン6を開発したのは日本人です。

合成繊維はそれぞれに長所や短所を持たせた化合物の合成が可能です。
例えばメチレン鎖の数が多くなると柔軟性を持つ繊維となり、アミド結合の比率を高くすると硬くはなるけど耐水性、撥水性が良くなるなどの特徴が出てきますがデメリットもありますのでそれぞれ特徴を活かした繊維を、それぞれの用途に適したものに使用します。

アラミド繊維

ナイロン66のメチレン鎖部分をベンゼン環に変えたものをアラミド繊維といい「ケプラー」と呼ばれる繊維のことです。
強度や耐熱性に優れているので消防服や宇宙服、スポーツ用品などにも広く使われています。
テレフタル酸ジクロリドと \(p-\)フェニルアラニンを縮合縮合させてケプラーを合成します。

ここまでは分子内にアミド結合をもつポリアミド系合成繊維です。

ポリエステル系合成繊維とポリビニル系合成繊維にも有名なものがありますが、
長くなるので別の記事にします。w

ポリエステル系のポリエチレンテレフタラート(PET)やポリアミド系のビニロンについては

⇒ ポリエステル系(PET)とポリビニル系合成繊維

を参考にして下さい。PETはペットボトルのPETです。