物質は形を変えたり性質をかえたり変化します。変化のうち性質の違う物質に変化することを化学変化、または化学反応といいます。ここでは化学反応式の作り方と係数の決め方を説明します。化学反応式の係数は整数で書くことが普通ですのでむずかしくありません。

化学変化

物質が性質の違う別の物質に変わることを化学変化、または化学反応といいます。
化学変化では物質を構成する原子が変化するわけではありません。
原子どうしの結合の仕方や組み合わせが変わるだけです。

反応の前と後では原子の種類と総数は変化しません
これをドルトンの原子説といいます。

化学反応式

化学変化の過程を原子や分子や組成式で表した式を化学反応式といいます。

化学反応式の書き方ですが、

 反応する物質(反応物)の化学式を左辺に書き、
 反応の結果できた物質を(生成物)を右辺に書き、
 矢印(→)を反応物から生成物に向けて結ぶだけです。

 \((反応物A)+(反応物B)\rightarrow(生成物C)+(生成物D)\)

このとき反応物の原子の総数と生成物の原子の総数は一致しなければなりません。
原子自体は減ったり増えたりしないということです。

左辺と右辺の原子の数を合わせるために整数の係数を用いて調整します。
このときの注意点は係数の整数比はもっとも簡単な整数比にすることと、
数学の方程式や文字式と同じように1は省略します。

溶媒(水溶液の水)や触媒などのように反応の前と後で変化していない物質は反応式には書きません。
(矢印の上下に触媒や条件を書きそえることはあります。)

化学反応式の係数の決め方

係数を決める方法は連立方程式を解くのと同じようにすれば必ず解けますが、
それほどむずかしくもありません。
適当に数あわせをすれば良いだけです。笑

冗談ではなくて、
両辺の原子の数を暗算で決めていく方法を目算法(もくさんほう)というのですが、
ほとんどの化学反応式ではこれで十分です。

例えば、
炭化水素を燃やすと水と二酸化炭素が発生します。
炭化水素をプロパン(\(\mathrm {C_3O_8}\))だとするとこのプロパンの燃焼を化学反応式で表すと、
反応物(左辺)にはプロパン(\(\mathrm {C_3O_8}\))と酸素(\(\mathrm O_2\))があり、
生成物(右辺)には二酸化炭素(\(\mathrm {CO_2}\))と水(\(\mathrm {H_2O}\))があります。

係数を無視して先ずは並べます。

 \( \mathrm {C_3H_8} + \mathrm O_2 \rightarrow \mathrm {CO_2} + \mathrm {H_2O}\)

でもこれでは左辺と右辺で原子の数が合いません。
係数を合わせていくのですが、登場回数の少ない原子を先に決めていくと早い場合が多いです。
ここでは炭素に着目すると、
左辺では(\(\mathrm {C_3H_8}\))の3ですが、右辺は(\(\mathrm {CO_2}\))の1です。
つまり左辺の係数はそのままで右辺の(\(\mathrm {CO_2}\))係数を3にすれば炭素の数は合います。

 \( \mathrm {C_3H_8} + \mathrm O_2 \rightarrow \color{red}{3}\mathrm {CO_2} + \mathrm {H_2O}\)

しかしまだ水素と酸素の数が合ってません。

炭素と同時に合わせても良かったのですが、水素の数を合わせると、
左辺ではプロパン(\(\mathrm {C_3O_8}\))中の8個、
右辺では水(\(\mathrm {H_2O}\))の中の2個なので右辺の係数を4とすれば合います。

 \(\mathrm {C_3H_8} + \mathrm O_2 \rightarrow 3\mathrm {CO_2} + \color{red}{4}\mathrm {H_2O}\)

これで炭素と水素は数が左辺と右辺で合いました。

残りの酸素を見てみると、
左辺の酸素分子(\(\mathrm O_2\))は2個、
右辺は二酸化炭素(\(\mathrm {CO_2}\))が6個、水(\(\mathrm {H_2O}\))が4個の酸素原子を有しているので計10個です。
この数を合わせるために左辺の酸素分子を5倍すれば左辺右辺ですべて原子の総数が合うことになります。

 \(\mathrm {C_3H_8}+\color{red}{5}\mathrm O_2 \rightarrow 3\mathrm {CO_2}+4\mathrm {H_2O}\)

この反応式がたまたま簡単だったのではなく、すべての反応式は整数係数なので簡単なのです。

何故化学反応式が書けないのか?

反応式が書けない理由、それは、
反応する前の物質(反応物)と、
反応の後の物質(生成物)の化学式自体が書けないからです。w

できる限り、化学式(分子式や組成式)は書けるようになっておくことをおすすめします。

係数決定の練習は簡単にできるのでしません。
でも、化学式を書けないと化学反応式は書けません。
化学式は、覚えるしかないといえば覚えるしかないのですが、周期表が助けてくることでしょう。

⇒ 元素の周期律と周期表 周期と族の違い

20番目までの元素は覚えておく方がいいです。