これまでに酸と塩基について性質を見てきましたが、今回は酸と塩基を混ぜて性質を打ち消し合う中和反応についてお伝えします。中和では塩という生成物が生じますが、この性質と種類(正塩、酸性塩、塩基性塩)も見ていこうと思います。
中和反応については酸と塩基の反応の量的関係のところで詳しく書きますが、
中和の基本的な反応の仕組みと塩について知っておきましょう。
中和反応
酸と塩基が反応して互いに性質を打ち消し合う反応を中和反応といいます。
例えば、
酸である塩酸(\(\mathrm {HCl}\))と塩基である水酸化ナトリウム(\(\mathrm {NaOH}\))を混ぜると、
塩酸の酸性と水酸化ナトリウムの塩基性がともに弱まります。
濃度も同じ、量も同じだけ混ぜると両方の性質が消えて中性になります。
このように酸と塩基を混ぜると性質を打ち消し合うのです。
この仕組みについては改めて詳しくしますので今は中和反応で「塩」という物質が生成することを覚えて下さい。
塩(えん)
酸と塩基を混ぜると水と塩(えん)が生じます。
酸の水素イオン、塩基の水酸化物イオンから水が生じるので、
残りの酸の陰イオンと塩基の陽イオンが結びついた物質、それが塩です。
(酸と塩基の反応以外でも塩はできますが気にしないで下さい。)
塩は塩化ナトリウムの塩でもありますが(しお)ではなく(えん)と呼びます。
塩(しお)は一般家庭で塩化ナトリウムを主成分とする食塩を(しお)と呼んでいるだけで、
中和でできた塩化ナトリウムの塩(えん)とは違う意味ですので間違えないで下さいね。
\( \mathrm {HCl}+ \mathrm {NaOH} → \mathrm {NaCl}+ \mathrm {H_2O}\)
この中和反応の \(\mathrm {NaCl}\) が塩です。
硫酸(\(\mathrm {H_2SO_4}\))と 水酸化銅(Ⅱ)(\(\mathrm {Cu(OH)_2}\))の反応
\(\mathrm {H_2SO_4}+ \mathrm {Cu(OH)_2} → \mathrm {CuSO_4}+ \mathrm {2H_2O}\)
の硫酸銅 \(\mathrm {CuSO_4}\) も塩です。
塩の分類
塩は組成式中の元素によって性質が違います。
正塩
組成式中に酸の \(\mathrm H\) も塩基の \(\mathrm {OH}\) も残っていない塩を正塩といいます。
炭酸ナトリウム(\(\mathrm {Na_2SO_4}\))などが正塩です。
酸性塩
組成式中に酸の \(\mathrm H\) が残っている塩を酸性塩といいます。
炭酸水素ナトリウム(\(\mathrm {NaHSO_4}\))などが酸性塩です。
塩基性塩
組成式中に塩基の \(\mathrm {OH}\) が残っている塩を塩基性塩といいます。
塩化水酸化マグネシウム(\(\mathrm {MgCl(OH)}\))などが塩基性塩です。
これらは水溶液の性質である液性を示すものではありません。
塩の組成に関する分類ですので、
水に溶かせば酸性になるとか塩基性になるとかは必ず一致するとは限りません。
中和に関しては改めて解説しようと思いますが、
塩の種類は3つ、
「正塩」、「酸性塩」、「塩基性塩」
があるというのは覚えておいてください。
これは結構忘れていますよ。w
水溶液が酸性、塩基性を示すかの判断は塩の構成元素によります。
ここが理解できれば水溶液の性質が見抜けます。