一定温度の水溶液では水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積は一定になりますが、水素イオン濃度は指数で表示しますのでもっと見やすいpHを用います。計算方法と水素イオン指数pHによる指示薬の変色帯までを見ておきましょう。
水のイオン積
温度が一定なら、
水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積である水のイオン積は一定になります。
これは酸性でも中性でも塩基性でも変わりません。
水のイオン積は、
\( \mathrm {[H^+] \times [OH^-]}= Kw (\color{red}{=一定})\)
なので、\(\mathrm {[H^+]}\) か \(\mathrm {[OH^-]}\) のどちらか一方が分かれば他方も分かります。
水素イオン濃度、水酸化物イオン濃度の意味は
⇒ 水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度と水のイオン積
で確認しておきましょう。
だから酸性でも塩基性でも強さは水素イオン濃度だけで表すことができるのです。
水素イオン指数 pH(ピーエイチ)
酸性や塩基性の強さを指数ではなく分かり易い数字で表したものをpH(ピーエイチ)といいます。
年配の方やかたくなにこだわる人はpHをドイツ語読みの「ペーハー」という人もいますが、
30年くらいに前に教科書でもピーエイチと呼ぶようになっていますのでここでは気軽にpHはピーエイチで統一しましょう。笑
指数をどうやって簡単な数字に変えるかというと、
\( \mathrm {[H^+]}\) を10の累乗で表し、
その指数のマイナスをとった値を水素イオン指数といって、pHという記号で表します。
例えば、
\( \mathrm {[H^+]}= 10^{-\color{red}{5}}\) なら \(\mathrm{pH}=\color{red}{5}\)
\( \mathrm {[H^+]}= 10^{-\color{red}{7}}\) なら \(\mathrm{pH}=\color{red}{7}\)
\( \mathrm {[H^+]}= 10^{-\color{red}{11}}\) なら \(\mathrm{pH}=\color{red}{11}\)
となります。
一般化すると、
\( \large{\mathrm {[H^+]}= 10^{-\color{red}{a}} (\mathrm{mol/L}) なら \mathrm{pH}= \color{red}{a}}\)
となります。
鋭い人は、\( \mathrm {[H^+]}\) ってそんなきれいな数字ばかりじゃないんじゃないの?
と思ったかもしれません。
その通りです。
しかし、「化学基礎」ではpHを求める際に対数処理はしなくて良いように数値が与えられますので、
「化学」で中和をより深く勉強するときにもう一度詳しくやりましょう。
それまでには数学で対数も勉強しているはずです。
化学基礎では、整数でpHが与えられるようなきれいな濃度しか出ないと思っていて良いです。笑
ただし、
小数を指数に書き換える練習はしておいて下さいね。
\( {0.001} = 10^{-3}\)
\( {0.00001} = 10^{-5}\)
です。
大切なのはpHは中性で7となり、それよりpHが小さいときが酸性、大きいときが塩基性だということです。
pH=3は酸性、pH=9は塩基性です。
(酸性)<(\(\mathrm{pH}=7\))<(塩基性)
pHの測定方法と指示薬
pHの値を知りたければ装置(pHメーター)を使えば正確に出ます。
電気を利用して水素イオン指数を数値化するものです。
pHの値をおおよそで知りたい場合や溶液を混合させpHの変化をみたい場合はpHの値によって変色する指示薬(pH指示薬)というものを用います。
リトマス紙やBTB溶液などは聞いたことがあるでしょう。
指示薬にはそれぞれで色を出すpHの範囲(域)があります。
これを指示薬の変色域といいます。
主な指示薬の変色域は、(おおよそですが)
メチルオレンジ: \(\color{orange}{\mathrm{pH}=3~4}\)
赤色から橙黄(とうおう:だいだいっぽい)色を経て4.5以上になると黄色
BTB: \(\color{green}{\mathrm{pH}=6~7}\)
黄色から緑色を経て7.5以上で黄色
フェノールフタレイン: \(\color{magenta}{\mathrm{pH}=8~10}\)
無色から淡赤色を経て赤色
に変色します。
リトマスも変色しますが変色域が広いのであまり指示薬としては使いません。
pHの計算は大切な項目になってきます。
でもそれは化学でもっと詳しく勉強するときで良いです。
先ずは酸性と塩基性を分ける水素イオン濃度をしっかり理解しておきましょう。
次は酸と塩基との混合「中和」です。