ファラデーが発見した電気分解の法則と定数(ファラデー定数)と電子1個の持つ電気量である電気素量についての関係は基礎化学では発展になりますが、化学では普通に良く出ますので理系に進む人は必ず見ておいてください。

ファラデーの法則でポイントになるのは、電流と時間と電気量の関係です。
ファラデー定数は覚えなくても問題に書かれますが、1クーロンって?とならないようにしておきましょう。

電気量とファラデー定数

1A(アンペア)の電流が1秒間流れたときの電気量を1C(クーロン)という単位で表します。

さらに、電子(\(\mathrm e^-\))1molあたりの電気量を、
記号 \(F\)(ファラデーと読みます)を用いてファラデー定数といいます。


電子1個が持つ電気量は、\(1.602\times 10^{-19}\)Cでこれを電気素量といいます。

 ファラデー定数は1mol分の電気量となるので、
 \(F=(1.602\times 10^{19})\times (6.022\times 10^{23})\)
の計算により、

 \(F ≒ \color{red}{9.65\times 10^{4}}\)(C/mol)

これがファラデー定数 \(F\) となります。

例えば、5.00Aの電流を6分26秒(386秒)流すと、
流れた電気量は \(5.00\times 386=1930\) Cとなります。

ファラデーの電気分解の法則

 1.電極で変化するイオンの物質量は流れた電気量に比例する。
 2.同一の電気量で変化する各イオンの物質量は物質の種類や電極の種類に関係なくそのイオンの価数に反比例する。

という法則をファラデーの電気分解の法則といいます。

1.の例
塩化物イオン(\(\mathrm {Cl^-}\))は2molの電子を放出し1molの塩素(\(\mathrm {Cl_2}\))を発生させます。

 \(2\mathrm {Cl^-} → \mathrm {Cl_2} + 2\mathrm e^-\)

この反応で見ると、2molの電子が流れれば1molの塩素が発生します。
4molの電子が流れれば2molの塩素が発生、
10molの電子が流れれば5molの塩素が発生するということです。

2.の例
硝酸銀(\(\mathrm {AgNO_3}\))水溶液を電気分解すると
 陰極: \(\mathrm {Ag^+} + \mathrm e^- → \mathrm {Ag}\)
 陽極: \(2 \mathrm {H_2O} → \mathrm {O_2} + 4 \mathrm {H^+} + 4\mathrm {e^-}\)
の反応が起こります。

電子1molの電気量は \(9.65\times 10^4\) Cです。

 \(9.65\times 10^4\) Cの電気量を流したとき、
陰極では「1mol」の銀( \(\mathrm {Ag}\) )が析出しますが、
陽極では「0.25mol」(銀の4分の1)の酸素( \(\mathrm {O_2}\) )が発生するということです。

流れる電気量からファラデー定数を組み合わせ物質量を計算する問題が出ます。
もちろん気体の発生がありますのでモル体積も必要です。

例題
白金電極を用いて 0.20A で 9650 秒間、硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解を行った。
原子量:\(\mathrm {Cu}=64\) ファラデー定数:\(F=9.65\times 10^4\) C/mol
として次の問いに答えよ。
(1)陰極に析出する銅は何gか。
(2)陽極で発生する酸素は標準状態で何Lになるか。

こういう問題は数値だけみててもダメです。
できる限り、知っている限り、どういう反応が起こっているか、反応式を書いておくと分かりやすくなります。
かなりのレベルで慣れてくれば書かなくても計算できるようになるかもしれませんが、
普通の高校生なら書きます。

(1)
ファラデーの電気分解の法則によれば、電極の種類は関係ないので白金は無視して良いはずですね。
次に流れた電気量ですが、電子の物質量(mol)を出す前にクーロンで出します。
 \(0.20\times 9650\) Cです。

電子の物質量を出すので計算せずにこのまま残しておきます。
化学の計算では1つひとつ計算せず約分を使うとはやいことが多いです。
これは化学に限ったことではないですね。

ただ、格好よくみせるために計算式を1つにまとめるということはしないようにしましょう。
普通の小学生がとく算数の問題のように1つひとつ計算していく、
その方が確実です。


問題集なんかの解答はきれいに1つの式で求められていますが、真似できなくても大丈夫です。
最初は求められれば良いので、余裕ができてレベルアップするときに1つの式にまとめれば良い、と考えていていいです。

次にファラデー定数で割れば電子の物質量が出ます。

 \( \displaystyle 0.20\times 9650\div 96500\\ \\
\displaystyle =\frac{0.20\times 9650}{96500}\\ \\
=0.02(\mathrm {mol})\)

陰極では

 \( \mathrm {Cu^{2+}} + 2\mathrm e^- → \mathrm {Cu}\)

の反応が起こっています。

このイオン反応式は問題で聞かれることが多いですが、
聞かれなくても書いておかないと計算問題は解けるようになりませんよ。

0.02 molの電子が流れれば銅(\(\mathrm {Cu}\))は0.01 mol生成します。
銅の原子量は64なので、
 \(64\times 0.01=0.64\) gの銅が析出するということです。

(2)
陽極での反応式は

 \(2 \mathrm {H_2O} → \mathrm {O_2} + 4\mathrm {H^+} + 4 \mathrm e^-\)

となっています。
流れた電子の物質量は0.020 molなのでその4分の1、
つまり、0.0050 molの酸素が生成します。

標準状態で気体の体積は \(\color{red}{22.4 \mathrm{L/mol}}\) なので、
 \(22.4\times 0.0050=0.112\) Lの酸素が発生するということになります。
有効数字から0.11(L)が答えですね。

ファラデー定数を覚えておくことと

⇒ アボガドロの法則 気体の体積と物質量

で物質量や気体の体積の計算はできるようになっておくと良いですね。
すでに感じているとは思いますが、この程度の計算ができないとこの先「化学」はやっていけません。
ただ、この程度でも普通のレベルまでなら大丈夫です。

電気分解の応用範囲は広いです。

⇒ 銅の電解精錬と水酸化ナトリウムの工業的製法

銅の純度を上げる方法です。
用語が良く問われるところですね。