ケトンは有機化合物の一種ですがどのような構造でどのような性質があるのかアルデヒドとの違いや製法などを見ておきましょう。またヨードホルム反応はケトンだけで起こるのではないということも確認しましょう。

ケトンとは

2つの炭化水素基がカルボニル基( \(\mathrm{-CO-}\) )で結合された構造を持つ化合物をケトンといいます。
ケトンの持つカルボニル基はケトン基ともいわれます。

代表的なケトンにはジメチルケトン( \(\mathrm{CH_3COCH_3}\) )がありますが、
慣用名の『アセトン』で呼ばれることがほとんどですね。

アセトンの精製法と性質

アセトンは第2級アルコールの2-プロパノール( \(\mathrm{CH_3CH(OH)CH_3}\) )を酸化すると生成します。

工業的な製法はクメン法を用いるものですがクメン法についてはまた改めて説明します。

またアセトンは酢酸カルシウムを加熱して熱分解しても生成します。

 \(\mathrm{(CH_3COO)_2Ca} → \mathrm{CH_3COCH_3} + \mathrm{CaCO_3}\)

アセトンは水といくらでも混ざりますが有機化合物も良く溶かすので有機溶媒として良く使われます。
無色で芳香(かぐわしい香り?)があって常温で液体です。
沸点はアルコールよりは低めですが、アルカンよりは高いです。

ケトンとアルデヒドは互いに異性体(構造異性体)となりますが、
ケトンには還元性はありませんので銀鏡反応やフェーリング反応はしません。

ヨードホルム反応

アセトンにヨウ素( \(\mathrm{I_2}\) )と水酸化ナトリウム水溶液を加えるておよそ70℃くらいで温めると、
黄色結晶で特有の臭気をもつヨードホルム( \(\mathrm{CHI_3}\) )が生成する。
この反応をヨードホルム反応といいます。

 \(\mathrm{CH_3COCH_3} + \mathrm{3I_2} + \mathrm{4NaOH}\\ \\
→ \mathrm{CHI_3} + \mathrm{CH_3COONa} + \mathrm{3NaI} + \mathrm{3H_2O}\)

この反応はカルボニル基にメチル基が1つ結合した \(\mathrm{CH_3CO-}\) の部分構造(アセチル基)を持つケトンやアセトアルデヒドで起こります。

また酸化されて \(\mathrm{CH_3CO-}\) の部分構造をつくる \(\mathrm{CH_3CH(OH)-}\) の部分構造を持つ第2級アルコールやエタノールでも見られます。

エタノールの場合反応式は、

\(\mathrm{CH_3CH_2OH} + \mathrm{4I_2} + \mathrm{6NaOH}\\ \\
→ \mathrm{CHI_3} + \mathrm{HCOONa} + \mathrm{5NaI} + \mathrm{5H_2O}\)

となりますが覚えなくても大丈夫ですよ。

ヨードホルム反応する化合物は、
 アセトン、アセトアルデヒド、2-プロパノール、エタノール
を覚えておくようにすれば大丈夫でしょう。
共通するのはアセチル基 \(\mathrm{\color{red}{CH_3CO-}}\) です。

まだまだ官能基はいろいろと出てきますが、
アルコールが酸化されてアルデヒドになるなどの変化をしたものが多く、単独の物質というのはありません。
それぞれを別々に勉強するのも良いですが、
変化の流れを追っていきながら覚えた方が分かり易いです。

もちろんそれぞれの官能基が見せる反応もありますからその都度覚えなければならないこともありますが、
1つ学んだらその前には何があったかは復習しておくと最終的なところでまとめやすくなりますよ。

もう少し進んだら鎖式炭化水素の脂肪族がまとめられると思います。
官能基の性質は共通しますが、
脂肪族と芳香族は分けても大丈夫なのでそこで一区切りするといいでしょう。

官能基は何度でもみて必ず覚えることです。
⇒ 有機化合物の官能基の種類と構造式の書き方

有機化合物の反応は官能基で起こる、
といっても良いほど反応性が高い部位になるので復習しておいてください。

次はアルデヒドの酸化が進んだ物質と考えても良いカルボン酸です。

⇒ カルボン酸の性質と種類 マレイン酸とフマル酸(幾何異性体)

カルボン酸の\(\,\mathrm{-OH}\,\)とアルコールの\(\,\mathrm{-OH}\,\)は性質がぜんぜん違います。