原子の質量数は陽子と中性子数の和だという話はしました。中性子の数は原子番号とは関係無いと言うこともお伝えしたのですが中性子の数はどうなっているのでしょう。同位体(アイソトープ)とは?同素体との違いは何?ここらで一度整理しておきましょう。
原子の質量数
原子の質量数は、陽子の数+中性子の数です。
\(\color{red}{(質量数)=(陽子の数)+(中性子の数)}\)
陽子の数は原子番号と一致します。
例えば、炭素は原子番号6で陽子を6個持っていて、中性子の数が6の場合質量数は12となります。
元素記号の左下に原子番号、左上に質量数を示します。
\( _{\color{red}{6}}^{\color{blue}{12}} \mathrm {C}\)
しかし、同じ原子番号でも中性子の数が違う原子があるので質量数が違う同じ名前の原子が存在します。
同位体
陽子の数が同じで、つまり原子番号が同じ原子でも原子核中の中性子の数が違うために質量数の違う元素があります。
これを同位体(アイソトープ)といいます。
同位体どうしは電子の数は同じなので化学的な反応性や性質はほぼ同じです。
(ちょっとだけ違うところもあるけど今は考えないことにしましょう。)
質量数が違うだけで自然に存在している同位体の比率はだいたい一定となっています。
同じ元素でできているといえば同素体というのがありました。
⇒ 物質の成分 同素体と生じる原因
ここでも書いていますが、同素体は同じ元素でできた単体で、
結合状態で違う性質になると言うものでした。
同位体は原子だけの話で同位体どうしは同じ性質です。
違いを覚えておいてくださいね。
同位体は原子レベル、同素体は結晶レベル、の話です。
同位体の特徴をまとめると、
陽子の数は等しくて中性子の数が違う原子どうしのことで、
原子番号は等しく、質量数は違う。
ということになります。
放射性同位体(ラジオアイソトープ)
同位体の中には放射線を出しながら原子核が壊れていく不安定なものもあります。
このような性質を持つ同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)といいます。
放射性同位体の性質は医療などでも使われていますが、地学や歴史(年代測定)などでも利用されます。
逆に放射線を出さない安定した同位体もあり、安定同位体というのですが覚えなくて良いでしょう。^^;
同位体について詳しく学ぶと奥が深いです。
だからここでは「同位体とは何か?」だけにとどめておきましょう。
1つだけ鋭い人向けに追記しておきます。
同位体って、陽子の数は同じで中性子の数が違うんですよね?
電子の質量は無視できる程小さいけど、中性子の質量は陽子と同じなんですよね?
では、
陽子の数が違って=原子番号が違うけど、つまりは原子名は違うけど、
中性子の数も違って同じ質量の原子どうしがあるということですよね?
分かりますか?
例えば、
アルゴン( \( \mathrm Ar\) )は原子番号18,
カリウム( \( \mathrm K\) )は原子番号19、
カルシウム( \( \mathrm Ca\) )は原子番号20
です。
しかし、中性数の違いで質量数がすべて40のものが存在します。
\( _{18}^{\color{red}{40}} \mathrm {Ar}\) (陽子18,中性子22)
\( _{19}^{\color{red}{40}} \mathrm {K}\) (陽子19、中性子21)
\( _{20}^{\color{red}{40}} \mathrm {Ca}\) (陽子20、中性子20)
このように原子番号が違って質量数が同じものどうしは同重体と呼ばれることもあります。
同重体についてはどうでも良いです。w
でも、原子の構造や質量数の関係はこちらにあります。
しっかり復習しておきましょう。
次は電子配置を見ておきます。
周期表とともに見ると分かりやすいですが、関連用語は先に覚えておくと良いです。