アボガドロの法則とは物質の種類に関係なく、
物質量(モル)と分子数や気体の体積が比例するという法則です。
物質量に比例するので原子や分子の粒子数に比例するということにもなります。
アボガドロの法則は密度などにも関係するので化学を学ぶ上で非常に大切な法則です。

固体や液体の量は、粒子の数で基準を定める物質量(モル)が主に用いられます。
これは気体でも同様に使えます。

しかし、気体は体積が固体や液体に比べ非常に大きくなりますので、
体積で基準を定めると便利な面があるのです。

アボガドロの法則

同じ温度で同じ圧力の状態なら、
同じ体積の気体は種類に関係なく一定の数の分子を含んでいます。

\(\color{red}{\fbox{ アボガドロの法則 }}\)

「同温・同圧の下で、同体積の気体は、その種類に関係なくすべて同数の分子を含む。」
これをアボガドロの法則という。

逆に言えば、
「同数の分子を含む気体は、同温同圧なら体積は同じになる。」
といえます。

つまり、同温・同圧という条件の下では、
 分子の数と体積は比例する
ということですね。

気体の体積の基準

物質の質量や体積は基準となる数値が必要です。
(例えば原子量なら\(\,\mathrm{C=12}\,\)を基準に相対的な数値となります。)

気体の量の基準はどうやって決めるかですが、
 1モルの気体の体積を基準
にします。

\(\,\mathrm{0\,℃}\,\)、\(1.0\times 10^5\,\mathrm{Pa}\,\)において、
\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)の気体が占める体積は決まっていて
 「\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)
です。

どこから出てくる数値かというと、
気体の状態方程式
 \(\,PV=nRT\,\)
があって、
 圧力、体積、物質量、気体定数、絶対温度
を標準状態で\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)の物質量の体積を代入すると
 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
V&=&\frac{nRT}{P}\\
&=&\frac{1\times 8.31\times 10^3\times 273}{1.013\times 10^5}\\
&≒&22.4
\end{eqnarray}\)

⇒ 気体の状態方程式 計算問題と分子量

この\(\,22.4\,\mathrm{L}\,\)という数字は忘れないでください。
問題に与えられていなくても使って良い定数であり、覚えておかなければいけない定数です。

これを覚えていないばかりに気体計算全滅という高校生多いですよ。

\(\,\mathrm{0\,℃}\,\)、\(1.0\times 10^5\,\mathrm{Pa}\,\)を「標準状態」といいます。

問題によっては「標準状態で」と条件が書かれる事もあるので覚えておきましょう。
 標準状態とは\(\,0\,\mathrm{℃}\,,\,1.0\times 10^5 \,\mathrm{Pa}\)
のことです。

「\(\,\mathrm{Pa}\,\)」は圧力の単位で「パスカル」と読みます。
有効数字を4桁にすると\(\,1.013\times 10^5\,\mathrm{Pa}\,\)です。
\(\,\mathrm{1\,atm}\,\)という表し方もありますが今は\(\,\mathrm{Pa}\,\)です。
水銀柱の圧力計で測定する\(\,\mathrm{mmHg}\,\)を用いると\(\,\mathrm{760\,mmHg}\,\)です。
問題によっては単位が変わるので覚えておくと良いです。

 \(1.013\times 10^5 \,\mathrm{Pa}=1\,\mathrm{atm}=760\,\mathrm{mmHg}\)

となりますが、これらは大気圧1気圧に相当します。
天気図では\(\,\mathrm{hPa}\,\)(ヘクトパスカル)を用いて、
1気圧を\(\,\mathrm{1013\,hPa}\,\)と表しますが\(\,\mathrm{h}\,\)は\(\,100\,\)を意味しているのです。

ところで標準状態では\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)となる\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)の気体ですが、
温度や圧力が変わると変化しますので注意しなければなりません。

「標準状態」という条件がなければ使えない定数ではありますが、
\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)という定数は非常に重要ですよ。

物質量と気体の体積の関係

標準状態で、
 \(\,\mathrm{1\,mol}\,\)の気体は\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)
 \(\,\mathrm{2\,mol}\,\)の気体は\(\,2\,\)倍の\(\,\mathrm{44.8\,L}\,\)
です。

つまり気体の体積\(\,V\,\)は同温同圧であれば物質量\(\,n\,\)に比例し、
標準状態では
 \(\hspace{10pt}V=22.4\times n\)
という関係が成り立ちます。

物質量\(\,n\,\)で表すと
 \(\hspace{10pt}\displaystyle n=\frac{V}{22.4}\)
でもあります。

標準状態での問題は多いのでこの形は覚えておいても良いですね。

気体の密度

気体の物質量の計算問題は別にすることとして、気体の密度の話をしておきます。

固体の場合は密度といえば体積が\(\,1\,\mathrm{ cm^3}\,\)の質量をいいますが、
気体の場合は「\(\,\mathrm{1\,L}\,\)あたりの気体の質量」を示します。

気体は条件によって体積が変わりますので密度も変わりやすいですね。

標準状態での気体の密度(\(\,\mathrm{1\,L}\,\)の質量)が分かれば、
それを\(\,22.4\,\)倍すれば\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)になるので分子量も分かります。

気体は標準状態\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)で\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)になるので、
密度を\(\,22.4\,\)倍して単位の\(\,\mathrm{g/mol}\,\)をとれば分子量となりますね。

分子量は\(\,\mathrm{C=12}\,\)としたときの相対的な値なので単位はありません。
分子\(\,\mathrm{1\,mol}\,\)の質量がモル質量で\(\,\mathrm{g/mol}\,\)という単位がつきます。

計算問題をやる前に、
 標準状態で1モルの気体は\(\,\mathrm{22.4\,L}\,\)になる
ということはしっかり覚えておきましょう。

同じ名前ですが「アボガドロ定数」と「アボガドロの法則」で使う定数が違います。

⇒ 物質量とmol(モル)とアボガドロ定数

ごっちゃにならないように確認しておきましょう。

⇒ 気体の体積や圧力や密度を求める計算問題と覚えておきたい定数

気体の計算問題は定数を1つ足して覚えることでかなり楽になります。
かなり分量のある解説ページになりますが、
時間を少しかけてでも見ておくことをおすすめします。