反応速度を変える要因はいろいろとあります。ここでは濃度、温度、触媒、光などの他にも固体が反応するときの表面積や気体が反応するときの分圧についても触れておきます。反応速度を理論的に説明する基本となるところなので見ておいてください。
反応速度については考え方だけですが、
⇒ 反応の速さと反応速度の求め方
で説明してありますので見直しておいてください。
濃度との関係
「反応速度式」を説明したときにも書いておきましたが、反応物の濃度が大きくなれば反応速度も大きくなります。
これは反応物の濃度が大きくなれば反応する粒子の数も大きくなるので、単位時間で粒子どうしの衝突回数が増えるからだと考えて間違いありません。
(正確に言えば活性化エネルギーを超えなければ反応は起こりませんが、条件を満たした上での濃度変化は反応速度に影響します。)
例えば、蚊取り線香に火をつけて放置しておくのと、息を吹きかけるのとでは赤くなる部分の大きさは変わりますよね。
これは酸素が蚊取り線香の燃える部分への衝突回数が変わるからと考えて良いです。
線香の煙の出方は放置した方が出やすいですが。w
※
説明するのもややこしいので簡単に添えておきますが、化学反応の粒子どうしの衝突は平面での衝突ではありませんので反応次数は2次までを見れば十分です。
3次以上の衝突確率は無視できるくらい小さくなるからです。
空間での衝突が想像出来る人は多少イメージ出来るかな?w
温度との関係
反応速度式のところでは温度については一定のもとで考えていました。
しかし、温度の変化に関しては反応速度に大きく影響します。
温度が高くなれば反応速度は急激に大きくなります。比例という直線的な増え方ではありません。
他の条件を一定にして、温度を10℃(10K)上昇させるとおおよそ2倍以上になります。
「なんだ2倍か」と思った人は地震でも強さを感じられない人ですね。
温度が10K上昇すると反応速度が2倍になるとした場合、
温度が20K上昇したときは反応速度は4倍になるのですよ。
温度が30K上昇した場合は8倍です。
ある温度で反応速度 \(v\) として
10K↑ で \(v\times2=2v\)
さらに10K↑ で \(2v\times 2=4v\)
さらに10K↑ で \(4v\times 2=8v\)
地震の持つエネルギーを表すマグニチュード(M)も同様の増え方をします。
【例題】
温度が10K上昇すると反応速度が3倍になる反応があります。
30K上昇させると反応速度は何倍になりますか?
\(\mathrm{3^3=27}\) なので27倍です。
上昇が3倍だからといって反応速度の大きさは3倍ではありませんよ。
3倍の3倍の9倍でもありません。
触媒による反応速度の変化
触媒とは、
「反応により自身は変化せず反応速度を大きくするはたらきを持つ物質」
のことです。
後に説明しますが「活性化エネルギー」の小さい反応経路を通ることができるので反応が起こりやすくなります。
例えば、過酸化水素(\(\mathrm{H_2O_2}\))の分解反応に酸化マンガン(\(\mathrm{MnO_2}\))を使いますが、この酸化マンガンが触媒となり酸化マンガン自体は変化しません。
触媒はいろいろな化学反応に用いられています。
反応しにくい場合ほど良く使われます。
※
触媒は英語で「catalyst」なので反応式に「cat」と表記があれば触媒だと思ってください。
※※
触媒といえば通常は反応速度を大きくさせるものをいいますが、細かくいうと、反応速度を大きくさせる触媒を正触媒、逆に反応速度を小さくする触媒を負触媒といいます。普通に触媒といえば正触媒のことです。
反応速度を変える他の条件
光
光は特有のエネルギーを持っていて反応を促進させるはたらきをすることがあります。
光自体は反応する物質である原子、分子に見た目加わらないので触媒のようなものですね。
固体反応の場合の表面積
固体は1つの塊でいるより、粉々になった方が表面積が大きくなります。
例えば球を半分に切断すると、切り口の円2つ分表面積は大きくなりますよね。
表面積が大きくなるということは反応する粒子が衝突しやすくなり、衝突回数も多くなるということになるので反応速度も大きくなるということです。
気体の分圧
気体の分圧は気体粒子の数に比例します。
だから気体の分圧が大きいほど気体の濃度が大きくなるということなので反応速度も大きくなるということになります。
反応速度を変える要因っていろいろあるでしょう?
これからもっと詳しく見ていこうと思いますが、先ずはここにあげた要因は覚えておいた方が良いですよ。
問題に良く出てきますので。笑
詳しく見るのは後で良いですが、
⇒ 反応の速さと反応速度の求め方
から復習はしておきましょうね。
基本が抜けていては応用問題が解けるはずありませんから。
次は反応自体が進むかどうかです。
⇒ 活性化状態と活性化エネルギーと触媒の関係
反応が進みにくい原因や、反応をしやすくする方法がわかります。