化学反応の速さは一定ではありません。種類、濃度、温度など様々な要因が変わることで速くなったり遅くなったりします。ここでは反応速度の表し方と反応速度の求め方及び反応式との関係を説明しておきます。例題で説明しておきますので参考にして下さい。

反応の速さと反応速度の表し方

化学反応には速い反応、例えば酸と塩基の中和反応や、メタンやプロパンなどの燃焼つまり爆発的に速い反応があります。
(中和などのイオンどうしの反応は速いです。)
逆に遅い反応には、鉄がさびるなどの空気中酸化や、微生物の行う発酵などがあります。

反応の速さは同じ反応でも違ってきますが、
速さを変える要因としては濃度、温度、触媒などがあります。

濃度は反応物質そのものが増えるので反応も速くなるというのはイメージ出来ると思います。
温度は反応物質の熱運動が激しくなるので反応相手との衝突回数が増えると思えば分かり易いです。
触媒は別のところで詳しく説明しますが、反応が進むのに必要なエネルギーを下げ、反応が起こりやすくなるのです。

反応速度の表し方

単位時間あたりの反応物の減少量や生成物の増加量で表した速さを「反応速度」といいます。
単位には、
秒あたりの「 \(\mathrm{mol/(L\cdot s)}\) 」や「 \(\mathrm{mol/s}\) 」
分あたりの「 \(\mathrm{mol/(L\cdot min)}\) 」や「 \(\mathrm{mol/min}\) 」
などが用いられます。

単位を見てもよくわからないと思いますのでちょっと説明します。笑
反応が一定体積中で進むと考えたときの反応速度は、
濃度(モル濃度が多い)の変化を反応時間で割って反応速度とします。
濃度( \(\mathrm{mol/L}\) )変化を時間( \(\mathrm{s}\) )で割ることになるので、
単位が「 \(\mathrm{mol/(L\cdot s)}\) 」などとなるのです。

 反応物の減少を反応時間で割る場合と、
 生成物の増加を単位時間で割る場合とがあります。

例えば、
 A+B → 2C
という反応の場合A,Bは反応が進めば濃度は減少しますが、Cは濃度は逆に増えます。
このように1つの反応でも着目する物質によって反応速度は違ってきます。
また反応速度の比は反応式の係数の比に一致します。

同じ時間計測したとすると、A,Bの減少速度に比べCの増加速度は2倍だということです。


記号について
数学や化学で増減を示す記号に「 \(\mathrm \Delta\) 」や「\(\mathrm \delta\) 」を用います。
(ギリシャ文字の「デルタ」です。)
割と大きな変化は大文字の「 \(\mathrm \Delta\) 」、微小な変化は小文字の「 \(\mathrm \delta\) 」を使うことが多いです。

 A+B → 2C の反応で、
時間の変化が \(\mathrm \Delta t\) であるときに
 Aの濃度の減少が \(\mathrm {\Delta A}\) 、
 Bの濃度の減少が \(\mathrm {\Delta B}\) 、
 Cの濃度の増加が \(\mathrm {\Delta C}\) だとすると、

Aの減少速度 \(v_\mathrm{A}\) は、

 \(\displaystyle v_\mathrm{A}=-\frac{\mathrm {\Delta A}}{\mathrm \Delta t}\)

Bの減少速度 \(v_\mathrm{B}\) は、

 \(\displaystyle v_\mathrm{B}=-\frac{\mathrm {\Delta B}}{\mathrm \Delta t}\)

Cの生成速度 \(v_\mathrm{C}\) は、

 \(\displaystyle v_\mathrm{C}=\frac{\mathrm {\Delta C}}{\mathrm \Delta t}\)

となります。
このとき反応式の係数から、

 \(v_\mathrm{A}\,:\,v\,\mathrm{B}\,:\,v_\mathrm{C}\,=\,1\,:\,1\,:\,2\)

だということも分かりますよね。

ただし、この化学反応は一定の割合で進むわけではありません。
モル濃度の高い最初は速く、反応が進むにつれてゆっくりになってきます。
つまり、この反応速度はある時間における平均値であるということです。
要は「平均変化率」ですね。
問題では時間と濃度が2つ与えられるか、
グラフから2点を読み取り直線としてあつかえば良いだけですので迷わないようにしましょう。

反応速度を求める例題

例題
2A → 2B+C という反応において、
1分間でAの濃度[A]が 0.13mol/L → 0.10mol/L
へ変化したときのAの分解速度を求めよ。

「反応速度式」では関係しますが、反応速度自体には係数は関係しませんので注意してください。
ここをしっかり抑えておかないとごちゃごちゃになるんです。w

Aのモル濃度の減少は、\(\mathrm{0.10-0.13=-0.03(mol/L)}\)
これが1分間つまり60秒で起こったということなので、

  \(\displaystyle v\mathrm {_A=-\frac{-0.03(mol/L)}{60(s)}\\ \\
=5.0 \times 10^{-4}mol/(L\cdot s)}\)

次は「反応速度式」を説明しますが少しややこしいです。w

⇒ 反応速度式と比例定数(反応速度定数)

ここで説明してある反応速度は平均変化率なので直線の傾きを求めるような感覚で良いので覚えておいてください。

「濃度変化をその変化が起こった時間で割る」という、
小学生の算数で出てくる「道のり」と「時間」と「速さ」の関係のようなものですよ。笑