中和滴定の目的は濃度の分かっていない酸や塩基の濃度を知ることにあります。中和点の考察と中和滴定に必要な実験器具のチェックをしておきましょう。実験器具は取扱方が問題になることも多いです。しっかり確認しておきましょう。

中和滴定

濃度の分かっている酸や塩基を利用して、
濃度の分かっていない塩基や酸の濃度を求める操作を中和滴定といいます。

中和滴定には正確に濃度が分かっている酸や塩基が必要で、
この濃度が正確に分かっている酸や塩基の溶液を標準溶液といいます。

中和滴定を行う際、ちょうど酸と塩基が反応して中和が完了した時点を中和点といいます。
中和点は溶液の種類によって変わってきますが、中和点で変色する指示薬をあらかじめ入れておいて、指示薬の色が変わることで確認します。
⇒ 水素イオン濃度と水素イオン指数pHの計算方法と指示薬

中和滴定の流れ(手順)

中和滴定の簡単な流れを見ると、

濃度が分からない溶液の体積を正確に量る

あらかじめ加えておいた指示薬の変色を見逃さないように標準溶液を濃度が分からない溶液に正確に量りながら滴下する。

指示薬が変色したときの標準溶液の量から濃度が未知の溶液の濃度を計算する。

となります。大切なのは、
 ・濃度未知の溶液の体積を正確に量ること。
 ・標準溶液を正確な濃度にしておくこと。
 ・滴下する標準溶液の体積を正確に量ること。
(指示薬の変色する直前では滴下量を小さくします。指示薬は少し色を出した後でも混ぜると消えるのでそのあたりから標準溶液の滴下量を小さくして入れすぎないようにします。)

中和滴定で使用する実験器具

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 ホールピペット: 一定体積の溶液を正確に量ることができます。
 ビュレット: 滴下した溶液の体積を正確に量ることができます。
 メスフラスコ: 溶液を正確に希釈することができるので標準溶液をつくるときに使用します。
 コニカルビーカー: 中和反応を行う容器で指示薬の変色が確認できれば良いのでメスは必要ありません。三角フラスコでもかまいません。

実験器具取扱、使用時の注意点

ホールピペットやビュレットは標線やメス(目盛)がついていて、
体積を正確に量らなければならないので乾かすとき乾燥機には入れません

また使用時には使用する溶液で内壁を洗ってから使用します。
この、使用する溶液で数回洗う操作を「共洗い」といいます。
内壁に残った水などによる濃度の変化を防ぐためです。

メスフラスコは標線があって取扱はピペットやビュレットと同様ですが、
中和滴定実験前に共洗いはしてはいけません

単に混ざる場所ではありますが、
酸や塩基の量が正確でなくなるからです。

純水で洗いますが、ぬれたままでもかまいません。

コニカルビーカーや三角フラスコは体積に関係しないので、
 ・使用前に純水で洗うことと、
 ・ガラス器具が多いので割らないようにあつかう、
以外注意点はありません。

中和滴定は発熱する程度で危険は少ないので学校で実験をするかもしれませんが、
実験の前に大切なのは、ある程度器具の設置や実験の流れなどを予想(イメージ)しておくことです。

指示薬には何を使うかは別の記事にしますが、
中和滴定は濃度を求める実験なので計算方法は
⇒ 中和反応の量的関係と中和の公式
で復習しておくと良いです。

実際に中和滴定するとどうなるか、

⇒ 中和滴定曲線の考察とpHジャンプ 指示薬の選択は?

滴定曲線は入試問題に良く出ます。