中和の計算問題(溶液の濃度と量の関係)

中和反応の計算問題は水素イオンと水酸化物イオンの数を等しくすれば良いだけです。
中和が完了した時点では酸と塩基から出てきた2つのイオンの数は同じだからです。
今回は溶液の濃度と量を考えて等量関係をつくる例題の解説をします。
物質量と質量の関係ができることは前提になりますので順序を間違えないで下さい。

中和するには
 「水素イオンの数」=「水酸化物イオンの数」
となることは定義から説明しなくても良いですよね。

⇒ 中和反応の量的関係と中和の公式

この等式をつくるために、
 「酸からでる水素イオン」

 「塩基からでる水酸化物イオン」
の量(数)を別々に計算すれば良いのです。

物質量と質量だけの基本的な問題の等量関係は
⇒ 中和反応(滴定)の基本的な計算練習問題
で復習しておいてください。

今回は少しレベルアップして濃度がついている例題を解いていきましょう。
やり方は同じです。
水素イオンと水酸化物イオンを別々に計算していけば良いのです。

例題1

 50%の硫酸70gをとり、これに水を加えて1Lの溶液とした。
この溶液の70mLを中和するのに、水酸化ナトリウムを何g必要とするか求めよ。
 \mathrm{H=1\,,\,O=16\,,\,S=32\,,\,Na=23}

こういう濃度が変化する問題って考えにくいですよね。
公式を覚えるというのも方法の1つですが、
濃度の定義さえ分かっていれば算数でできるというのを見ていきましょう。

 硫酸 \mathrm{H_2SO_4=98} で2価
 塩化ナトリウム \mathrm{NaOH}=40 で1価
反応式は
 \mathrm{H_2SO_4+2NaOH\rightarrow Na_2SO_4+2H_2O}
となっているので硫酸は半分の物質量で良いことは分かりますね。

逆に言えば、水酸化ナトリウムは2倍の物質量が必要だということです。

求めるのは水酸化ナトリウムのg数なのでそれを x とおきます。
すると \mathrm{NaOH}\hspace{10pt}xg は
 \dfrac{x}{40} (mol)
で、これは水酸化物イオンの数になります。

ところで、
水素イオンの数と水酸化物イオンの数ですが、
どちらから求めても良いですよ。
そこまで決まりはありませんからね。笑

次に水素イオンの数です。
硫酸は50%の濃度の状態で70gとったので、その中には35gの硫酸があったことになります。
これに水を加えて1Lにしたのですがやはり中にある硫酸は35gです。
この35gは物質量に換算すると
 \dfrac{35}{98} (mol)

しかし中和に使った量は1L=1000mL中の70mLなので
硫酸の物質量(mol)は
 \dfrac{35}{98}\times \dfrac{70}{1000}
と減っています。
 硫酸は2価なので水素イオンの数は
 \dfrac{35}{98}\times \dfrac{70}{1000}\times 2

中和したらこれが水酸化物イオンの数と等しいので
 \dfrac{x}{40}=\dfrac{35}{98}\times \dfrac{70}{1000}\times 2\\ \\  \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}x=\dfrac{35\times 70\times 2\times 40}{98\times 1000} \\ \\  \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}x=\dfrac{35\times 7\times 2\times 4}{98\times 10}=2.0 (g)

水で薄めても全体にある硫酸の物質量は変わっていません。
それを分けて取り出した時点で減ります。
操作を1つひとつ追っていくと分かりやすいですよ。

例題2

水酸化ナトリウム2gを中和するには、0.5mol/Lの硫酸が何mL必要か求めよ。
 \mathrm{NaOH}=40

硫酸のモル濃度は分かっているので式量は必要ありません。
物質量が知りたいために式量を利用するので、
モル濃度が分かっている場合は必要無いのです。

 硫酸は \mathrm{H_2SO_4} で2価
 水酸化ナトリウムは \mathrm{NaOH=40} で1価
反応式は
 \mathrm{H_2SO_4+2NaOH\rightarrow Na_2SO_4+2H_2O}

硫酸の物質量は水酸化ナトリウムの半分で中和します。
それが分からないと始まらない問題です。

水酸化ナトリウム2gの物質量は
 \dfrac{2}{40} (mol)
です。

中和に0.5mol/Lの硫酸が x mL必要だったとすると、
この中にある水素イオンの数は
 0.5\times \dfrac{x}{1000}\times 2 (mol)

等式を立てて x を求めると
 0.5\times \dfrac{x}{1000}\times 2=\dfrac{2}{40}\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}x=\dfrac{2\times 1000}{40\times 0.5\times 2}=50 (mL)

一度に立式できなくて良いんですよ。

モル濃度が与えられた問題は物質量を使った計算しなくて良いから楽でしょう?

今度は両方モル濃度があるものをやってみましょう。

例題3

0.1mol/Lの \mathrm{NaOH} 水溶液20mLを中和するのに、濃度の分からない硫酸10mL必要であった。この硫酸のモル濃度はいくらか求めよ。

物質量は
 \mathrm{NaOH:H_2SO_4=2:1}
で中和するので、
硫酸の量が半分で中和したということは濃度が同じだった、
ということが分かります。

しかし、
水素イオンと水酸化物イオンの数が等しい、
ということで等式を立てて解いておきましょう。

硫酸は2価なので 10mL から出てくる水素イオンの数は、
硫酸の濃度を x とすると、
 x\times \dfrac{10}{1000}\times 2
となります。

一方、水酸化ナトリウムは1価で、
濃度 0.1mol/L の水溶液 20mL から水酸化物イオンは
 0.1\times \dfrac{20}{1000}\times 1
出てきます。

これらが等しいとき中和するので
 x\times \dfrac{10}{1000}\times 2=0.1\times \dfrac{20}{1000}\times 1\\ \\   \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 10\times 2 \times x=0.1\times 20\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}\underline{x=0.1} (mol/L)

少しはなれてきたのではないでしょうか。

結局、中和では、
「水素イオンの数と水酸化物イオンの数を等しく」
すればいいのです。

これを関係式とし方程式にすると、
 酸のモル数を n 、価数を a とし、
 塩基のモル数を n' 、価数を b とすると
  n\times a=n' \times b
となれば中和するということです。

これをモル濃度 (mol/L) を使って表しておきます。

モル濃度 C (mol/L) の酸 x mL中には、
  C\times \dfrac{x}{1000} (mol)
の酸があるので価数を a とすると、
水素イオンの数は
  C\times \dfrac{x}{1000}\times a

モル濃度 C' (mol/L) の塩基 y mL中には、
  C'\times \dfrac{y}{1000} (mol)
の塩基があるので価数を b とすると、
水酸化物イオンの数は
  C'\times \dfrac{y}{1000}\times b

これらが等しいとき中和するので
  C\times \dfrac{x}{1000}\times a= C'\times \dfrac{y}{1000}\times b
という公式が出来上がるというわけです。

公式が使えればモル濃度で与えられる問題は簡単に答が出せます。
しかし、イオンの数を等しくする、ということが基本です。

⇒ 中和反応(滴定)の基本的な計算練習問題

分からなくなったら1つひとつ処理していけば良いのですよ。




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