2016年度(平成28年)センター試験過去問「化学基礎」の問題と解説です。
実際に出された過去問題の解説をしながらセンター化学基礎の実態を書いておきます。同じ問題は出ないにしても傾向はつかめます。
大問2問構成ですので、ここでは第1問を解説しますが最後に数年分見通せるようにしておきます。

問題の最初から見ていきます。最後にまとめますので一応最後まで目を通しておいて下さい。
問題ごとの詳細はほとんどサイト内の記事にあるので「サイト内検索」を利用して確認して下さい。

2016年(平成28年度)センター試験「化学基礎」の問題

平成28年度の問題は大学入試センターにもあります。

⇒ 2016(平成28年度)センター試験「化学基礎」問題

2016年(平成28年度)センター試験「化学基礎」第1問の解説

問1-同位体

同位体(アイソトープ)とは?

「同位体どうしは質量数が異なるだけ。」です。
中性子数が異なるので質量数が異なりますが電子数や他の原子との結合の仕方など、化学的性質は等しいですね。
問題では「誤りを含むものを選べ」なので、「電子数が異なる」というところが誤りです。
原子量や放射性同位体についても書いてありますが正しいです。

問2-電子式

問題は2つあって、「非共有電子対が存在しない」と「共有電子対が2つある」物質を聞いています。
非共有電子対とは共有結合に使われていない電子対のことで、
 \(\mathrm{NH_4^+}\) はすべての電子対が結合に使われているのでありません。
共有電子対は共有結合に使われている電子対で2つあるのは「\(\mathrm{H_2O}\)」だけですね。
電子式は価電子を・で表した式なのでかけるようになっておくことです。
分子やイオンの中では水素は2個か0個、それ以外の元素は8個あると考えて数をそろえていくと上手くいきます。

問3-電子配置

原子番号と陽子の数は等しく、イオンになっていなければ電子の数も等しいです。
問題は「記述に誤りを含むもの」を選ぶ問題。
イオン化エネルギーは電子を放出して陽イオンになるときのエネルギーで小さいほど陽イオンになりやすいです。イオン化エネルギーが大きいのは安定な電子配置を持っている希ガスとなります。
他の記述は周期表から正しいことが分かります。

問4-化学結合

ややこしい表現が多いですね。笑
ただ、オキソニウムイオン( \(\mathrm{H_3O^+}\) )の配位結合は一度形成してしまうともとの共有結合とは区別はつきません。

問5-物質量(mol)の計算問題

問題文がややこしいそうに見えるので難しいと感じるかもしれませんが、そのようなときは分かることを書き出して見ましょう。見えてくることもあるかもしれませんよ。
合金ですが銅は関係ありませんね。
A\(\,\mathrm{2.8\,kg}\,\)には4.0%のスズ、B\(\,\mathrm{1.2\,kg}\,\)には\(\,30\,\)%のスズが含まれています。
Aには、\(\mathrm{2800\times 0.040=112\,g}\)
Bには、\(\mathrm{1200\times 0.30=360\,g}\)
のスズが含まれているので4kgの合金Cには

 \( \mathrm{112+360=472g}\)

のスズが含まれていることになります。
合金C1kgだとすると

 \( \displaystyle \mathrm{472\times \frac{1}{4}=118g}\)

のスズです。
スズの原子量は「119」と問題の一番最初のページに書かれています。(
これを見逃さないように注意しましょう。)
なので合金C1kg中に含まれるスズの物質量は

 \(\displaystyle \mathrm{\frac{118}{119}≒ 0.99(mol)}\)

問6-気体の発生をともなう実験(集気)方法

集気方法に関しては中学校の理科でもやっていると思うので説明はいらないと思いますが、
水に溶けにくい気体のときは水上置換、水に溶けやすく空気より軽いときは上方置換、空気より重いときは下方置換ですね。
この反応の場合発生するのは二酸化炭素ですので空気より重いから下方置換です。

 \( \mathrm{CaCO_3+2HCl \rightarrow CaCl_2+H_2O+CO_2}\)

反応式がかける方がもちろん良いですが、かけなくても推測はできます。
「石灰水」が出てくるときは二酸化炭素です。笑
二酸化炭素は石灰水を白濁させます。
問題は器具の「くびれ」ですよね。
これは液体と固体の両方を混ぜて気体を発生させるのですが、混ぜた液体と固体とを分離するときに利用します。傾けてくびれに固体が引っかかるように液体だけを分離するということです。イメージできますか?くびれのある方に固体を入れます。

問7-分離と精製

記述に誤りがあるか全体を見る問題とは違い、「下線部が正しいか」を聞いています。
溶媒への溶けやすさの差を利用して特定物質を溶媒に溶かして分離する方法は「抽出」です。
沸点の差を利用して分離する方法は「分留」です。
ろ紙を用いて固体を分離する方法は「ろ過」です。
温度による溶解度の差を利用してより純度の高い物質を既出させる方法は「再結晶」です。
固体から気体へ直接変化する物質を分離する方法は「昇華法」です。

ここまでが第1問で、配点で50点満点中25点あります。

1つの問題で深く問われるのではなく、小問集合のようにいろいろな基本事項の確認になっていますよね。
難しいことは決して聞かれていません。
「基本を広く」
これが対策になりそうです。

続いて第2問を見ておきます。

⇒ 「化学基礎」過去のセンター試験問題(H28年度)の第2問の解説

いいですか、出題分野にかたよりはありません。対策は基本事項の確認を広くすることです。

⇒ 共通テスト(センター試験~)の化学と化学基礎の過去問解説

つまり、(毎年お伝えすることは同じですが)
1つに絞って難しい問題を解いたりという対策をするのではなく、広く基礎の復習でいいということです。