周期表の16族は酸素、硫黄、セレンと続きますが酸素と硫黄の単体と化合物について製法と性質を見ておきます。無機化学分野は各原子の性質など覚える事が多いですが英単語を覚えるつもりでがんばって覚えて下さい。
酸素
元素記号(\( \mathrm{O}\))
酸素は空気中に体積で約21%含まれています。
水や地中の岩石などの構成元素としてもたくさん含まれている元素なので地球には非常に多い元素ですよね。
実験レベルでは過酸化水素や塩素酸カリウムに触媒(酸化マンガン(Ⅳ))を加えると生じます。
\( \mathrm{2H_2O_2\rightarrow 2H_2O+O_2\uparrow}\)
\( \mathrm{2KClO_3\rightarrow 2KCl+3O_2\uparrow}\)
工業的には液体空気の分留です。(電気分解も使われます。)
液体空気には窒素と酸素が多く含まれていますが、先に沸点の低い窒素が蒸発するので、残った液体には酸素が多く含まれている状態になります。
これを繰り返すことで窒素と酸素をほぼ完全に分離することができます。
酸素は無色(見たことないでしょう?)、無臭(酸素の臭いって知らないでしょう?)の気体で水には溶けにくいです。
いろいろな元素と化合して酸化物をつくります。
酸素の同素体
「オゾン(\(\mathrm{O_3}\))」
酸素の単体には2原子分子の「酸素」と互いに同素体となる3元素分子の「オゾン」があります。
酸素中で無声放電を行うか、紫外線を当てると生成します。
淡黄色で特異臭(ニンニクに似た臭い)のある有毒な気体です。
強い酸化作用があり、湿ったヨウ化カリウムデンプン紙を青色に変色させることで検出できます。
これはオゾンの酸化作用が強くヨウ化カリウムが酸化されてヨウ素を生じ、ヨウ素デンプン反応を起こすためです。
\( \mathrm{2KI+O_3+H_2O\rightarrow I_2+2KOH+O_2}\)
※
(ここは読まなくて良いです。w)
オゾン層は地上から30kmくらい上空にあって、太陽から強い波長の紫外線を受けて酸素原子に一度分解されたものが結合してできます。
できたオゾンは再び違う波長の紫外線を受けてもとの酸素に分解されます。
この繰り返しでバランスをとってきたのですがフロン(クロロフルオロカーボン)によってオゾン層が破壊されていることが社会的に問題視されていました。
「オゾンホール」の問題です。
フロンに規制が入りましたが数年で元にもどる分けではなく数十年単位で見ていく必要があります。
硫黄
元素記号(\(\mathrm{S}\))
硫黄の同素体
硫黄には3つの同素体があります。
斜方硫黄:常温で安定な結晶です。
単斜硫黄:95℃以上で安定な結晶です。
ゴム状硫黄:弾性のある無定型固体です。
これらの硫黄の同素体は温度変化で固体のままで変化します。
これを相転移というのですが詳しくやる必要はないと思うので省略します。
そして個人的にはややこしいと思う硫黄の化合物です。w
硫黄の化合物
二酸化硫黄(亜硫酸ガス)(\(\mathrm{SO_2}\))
硫黄を燃焼させることで単純に酸化物になるのですが、
亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加えるか、
\( \mathrm{Na_2SO_3+H_2SO_4\rightarrow Na_2SO_4+H_2O+SO_2\uparrow}\)
銅に濃硫酸を加えて加熱すると二酸化硫黄が生成します。
\( \mathrm{Cu+H_2SO_4\rightarrow CuSO_4+2H_2O+SO_2\uparrow}\)
二酸化硫黄は無色ですが、刺激臭の有毒気体で、水にかなり溶けて弱酸性を示します。
二酸化硫黄が水に溶けると亜硫酸が生じるので亜硫酸ガスとも呼ばれていて、二酸化硫黄、亜硫酸共に還元作用を示します。紙や動物性繊維の漂白剤として使われますね。
\(\mathrm{H_2O+SO_2\rightleftharpoons H_2SO_3}\) (亜硫酸)
この二酸化硫黄が水と反応してできた亜硫酸は他から酸素を奪って硫酸に変わりやすい性質があるので二酸化硫黄には還元性があるんです。
また、二酸化硫黄は硫化水素のような強い還元剤に対しては酸化剤としてはたらきます。
\( \mathrm{SO_2+4e^-+4H^+\rightarrow S+2H_2O}\)
還元剤としてはたらくときもあれば酸化剤としてもはたらくときがある、というのがやっかいですよね。w
次は硫酸と硫化水素について説明しようと思いますが長くなるのでここで分けることにします。
特に濃硫酸の取り扱いには注意して下さい。危険です。
酸素と硫黄は同素体をもつ元素です。
そこは確認しておいて下さい。
硫黄結晶は温度によって相転移したりしますので非常にややこしいです。
なので
「化合物についてはある程度覚えておく」
というくらいからで良いと思いますよ。