水は電解質が加わらなくてもわずかですが水素イオンと水酸化物イオンに電離しています。温度によって変わりますがわずかですが電気も通します。水素イオンや水酸化物イオンの濃度はどうやって求めてどう表せばいか水のイオン積とともに基本的なことをやっておきましょう。

水のイオン積

水はごく一部ですが水素イオンと水酸化物イオンに電離しています。このためわずかに電気を通します。
水の電離があるので電解質を加えなくても少しだけですが電気を流すということです。

水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度

 \(\mathrm {H^+}\) のモル濃度を水素イオン濃度といいます。
水素イオン濃度は \( \mathrm {[H^+]}\) と表します。

一方で \(\mathrm {OH^-}\) のモル濃度を水酸化物イオン濃度といいます。
水酸化物イオン濃度は \(\mathrm {[OH^-]}\) と表します。

水素イオン濃度や水酸化物イオン濃度は、

 \((モルの濃度(\mathrm{mol/L}))\times(電離度)\)

で求めますので、単位は (mol/L) です。

水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積を水のイオン積といい \( Kw\) と表します。

 \( 水のイオン積  \color{red}{Kw= \mathrm {[H^+]} \times \mathrm {[OH^-]} }\)

温度を一定にすれば水のイオン積は一定です。

 \( \mathrm {[H^+]} \times \mathrm {[OH^-]}=Kw =(一定)\)

例えば、
 0℃での水のイオン積は \(1.0 \times 10^{-15} \mathrm {(mol/L)^2}\)
 25℃での水のイオン積は \(1.0 \times 10^{-14} \mathrm {(mol/L)^2}\)
 60℃での水のイオン積は \(1.0 \times 10^{-13} \mathrm {(mol/L)^2}\)
となっていて、温度が上がればイオン積は大きくなります。

しかし、
 25℃の水のイオン積 \(\color{red}{1.0 \times 10^{-14}} \mathrm {(mol/L)^2}\)
を覚えておけば十分です。
問題は25℃で出されますし、もし温度が違えば水のイオン積は与えられます。
ただ、温度を変えると問題が極端に難しくなるので25℃ででます。w

注意するのは、単位が \(\mathrm {(mol/L)\times (mol/L)}\) なので \(\mathrm {(mol/L)^2}\) であることです。
単位を聞かれることは少ないですが注意しておきましょう。

25℃のイオン積を \(1.0 \times 10^{-14}\) と考えると、
酸性、中性、塩基性それぞれの水溶液の、
水素イオン濃度 \(\mathrm {[H^+]}\) と水酸化物イオン濃度 \(\mathrm {[OH^-]}\) の関係を不等式で表すことができます。

 水素イオンが水酸化物イオンの濃度よりも大きいときが酸性
 水素イオンと水酸化物イオンの濃度が等しいとき中性
 水素イオンが水酸化物イオンの濃度よりも小さいとき塩基性
となりますので、
 酸性水溶液 \(\mathrm {[H^+]}\,\color{red}{>}\, 1.0 \times 10^{-7} (\mathrm{mol/L})\,\color{red}{>}\, \mathrm {[OH^-]}\)
 中性水溶液 \(\mathrm {[H^+]}\,\color{green}{=}\, 1.0 \times 10^{-7} (\mathrm{mol/L})\,\color{green}{=}\, \mathrm {[OH^-]}\)
 塩基性水溶液 \(\mathrm {[H^+]}\,\color{blue}{<}\, 1.0 \times 10^{-7} (\mathrm{mol/L})\,\color{blue}{<}\, \mathrm {[OH^-]}\)
と判断できることになります。

イオン濃度の注意点

ここで注意することがあります。
指数になれていない時期ですので間違えないようにして欲しいのですが、
(3年になってもなれていない人も多いですがw)
イオン濃度の指数は負の値です。
指数の絶対値が大きくなるほど濃度は小さくなりますので注意してください。

 \( 10^{-3}\) は \( 10^{-7}\) より濃度は大きいです。
 \( 10^{-3}=0.001\) と \( 10^{-7}=0.0000001\) ですからね。

つまり水素イオン濃度 \(\mathrm {[H^+]}\) の指数のマイナスの後ろの数字が小さいほど、
水素イオン濃度は大きく、より酸性が強いということです。

この指数には注意してくださいね。
水素イオン濃度 \(\mathrm {[H^+]}\) が
 \(10^{-3}\) (mol/L) は酸性
 \(10^{-5}\) (mol/L) は酸性
 \(10^{-7}\) (mol/L) は中性
 \(10^{-9}\) (mol/L) は塩基性
 \(10^{-12}\) (mol/L) は塩基性
です。

次に酸性、塩基性の強さ表す便利な記号pHの使い方を説明します。

⇒ 水素イオン濃度と水素イオン指数pHの計算方法と指示薬

対数を習っていなくても良いように説明しています。