身の回りにある物質は細かく見ればすべて化学式で表せます。イオン式もその1つです。イオンの価数とは何か、イオンの名称とともに説明します。電子の受け渡しをするイオンの仕組みが理解できればあとあと出てくる化合物の構成はおおよそ理解できるようになります。
イオン式
イオンを表す化学式のことをイオン式といいます。
例えば、
水素イオン( \(\mathrm {H^+}\) )
リチウムイオン( \(\mathrm {Li^+}\) )
塩化物イオン( \(\mathrm {Cl^-}\) )
ナトリウムイオン( \(\mathrm {Na^+}\) )
カルシウムイオン( \(\mathrm {Ca^{2+}}\) )
水酸化物イオン( \(\mathrm {OH^-}\) )
硫酸イオン( \(\mathrm {SO_4^{2-}}\) )
などの化学式です。
イオンの分類
上のイオンの例を見るといろいろな形がありますよね。どういう名前の付け方があって、どのようなイオンなのかが分かりにくいです。
そこで1つひとつ分類してみたいと思います。
原子1つでできているイオン、
水素イオン( \(\mathrm {H^+}\) )
塩化物イオン( \(\mathrm {Cl^-}\) )
ナトリウムイオン( \(\mathrm {Na^+}\) )
のようなイオンです。
この原子1個からなるイオンを単原子イオンといいます。
原子がいくつか集まってできているイオン、
水酸化物イオン( \(\mathrm {OH^-}\) )
硫酸イオン( \(\mathrm {SO_4^{2-}}\) )
のようなイオンです。
このような2個以上の原子からなるイオンを多原子イオンといいます。
イオンは覚えきれないくらいありますので、
覚えておいた方が良いだろうなあ、
とおもえるイオンは後で列記しておきますのでヒマなうちに覚えておいてください。
イオンの価数
それから、イオンの右上にある数字ですが、
「+」や「-」や「2+」や「2-」などがありますが、
これは電子を放出した数や受け取った数を示しています。
これを「イオンの価数」といいます。
イオンの価数はイオンの電荷の大きさになります。
ただし、
「+」は「+1」を表していて、「-」は「-1」を表しています。
1という係数を省略して表すのは数学と同じですね。
イオンの名称
イオンの名前の付け方には約束(規則性)があります。
1.単原子イオンのうち陽イオンは、元素名に「~イオン」とつけるだけです。
例えば「水素イオン」「ナトリウムイオン」など。
2.単原子イオンのうち陰イオンは、元素名の最後の語に「~化物イオン」とつけます。
例えば塩素は「塩化物イオン」ヨウ素は「ヨウ化物イオン」酸素は「酸化物イオン」など。
3.多原子イオンは特有の名前が多く規則性はないと思ってください。
ひたすら覚えるのみ。w
では、覚えておいた方がいいイオン名をあげておきますので、
書き出して壁にでも貼っておいてください。
日本語にされたとき「なんで?」と思えるものもあります。
考えても出てこないものなので覚えるしかない。
陽イオン
水素イオン( \(\mathrm {H^+}\) )
ナトリウムイオン( \(\mathrm {Na^+}\) )
カリウムイオン( \(\mathrm {K^+}\) )
銀イオン( \(\mathrm {Ag^+}\) )
アンモニウムイオン( \(\mathrm {NH_4^+}\) )
銅イオン(Ⅰ)( \(\mathrm {Cu^+}\) )
銅イオン(Ⅱ)( \(\mathrm {Cu^{2+}}\) )
※銅イオンのように価数の変化する元素もあります。その場合元素記号の後にローマ数字を括弧書きして価数を表します。
カルシウムイオン( \(\mathrm {Ca^{2+}}\) )
バリウムイオン( \(\mathrm {Ba^{2+}}\) )
亜鉛イオン( \(\mathrm {Zn^{2+}}\) )
アルミニウムイオン( \(\mathrm {Al^{3+}}\) )
陰イオン
塩化物イオン( \(\mathrm {Cl^-}\) )
ヨウ化物イオン( \( \mathrm {I^-}\) )
水酸化物イオン( \(\mathrm {OH^-}\) )
硝酸イオン( \(\mathrm {NO_3^-}\) )
酢酸イオン( \(\mathrm {CH_3COO^-}\) )
酸化物イオン( \(\mathrm {O^{2-}}\) )
硫化物イオン( \(\mathrm {S^{2-}}\) )
硫酸イオン( \(\mathrm {SO_4^{2-}}\) )
炭酸イオン( \(\mathrm {CO_3^{2-}}\) )
リン酸イオン( \(\mathrm {PO_4^{3-}}\) )
教科書など問題集でよく見るというものは追加します。
多原子イオンの価数の理由などは周期表で判断出来ます。
⇒ 元素の周期律と周期表 周期と族の違い
で周期表の20番までは覚えておいてください。