酸と塩基の種類と価数および電離度の求め方から酸や塩基の強弱の関係について説明します。酸と塩基はアレニウスとブレンステッドによって定義されていますが、価数に違いもありますので高校化学であつかう主な酸と塩基についても例をあげておきますので参考にして下さい。
水溶液中で水素イオンを出すものを酸、水酸化物イオンを出すものを塩基とアレニウスが定義しました。
その後範囲を広げて水溶液以外でも水素イオンを提供するものを酸、水素イオンを受け取る物質を塩基とブレンステッドが定義した話は、
酸と塩基の定義と性質の違い アレニウスとブレンステッドの定義
で説明してあります。
今回は酸と塩基の価数と電離度による強弱について説明していきます。
酸と塩基の価数
酸である物質1分子から出す水素イオン(\(\mathrm {H^+}\))の数を酸の価数といいます。
例えば、
塩酸は
\( \mathrm {HCL} → \mathrm {H^+} + \mathrm {Cl^-}\)
のように水素イオンを1つ出すので1価の酸です。
他にも硝酸(\(\mathrm {HNO_3}\))、酢酸(\(\mathrm {CH_3COOH}\))が1価の酸になります。
2価の酸の例:硫酸(\(\mathrm {H_2SO_4}\))、炭酸(\(\mathrm {H_2CO_3}\))、硫化水素(\(\mathrm {H_2S}\))など
3価の酸の例:リン酸(\(\mathrm {H_3PO_4}\))(3価の酸はリン酸だけで良いです。)
塩基である物質1分子から出す水酸化物(\(\mathrm {OH^-}\))の数を塩基の価数といます。
例えば、
水酸化ナトリウムは
\( \mathrm {NaOH} → \mathrm {Na^+} + \mathrm {OH^-}\)
のように水酸化物イオンを1つ出すので1価の塩基です。
1価の塩基の例:水酸化カリウム(\(\mathrm {KOH}\))、アンモニア(\(\mathrm {NH_3}\))などがあります。
アンモニアは水酸化物イオンを持っていないように見えますが、
\( \mathrm {NH_3} + \mathrm {H_2O} ↔ \mathrm {NH_4^+} + \mathrm {OH^-}\)
と水溶液中では電離するので水酸化物イオンを出し、塩基性を示します。
2価の塩基の例:水酸化カルシウム(\(\mathrm {Ca(OH)_2}\))、水酸化銅(\(\mathrm {Cu(OH)_2}\) など
3価の塩基の例:
水に溶けませんが、水酸化アルミニウム(\(\mathrm {Al(OH)_3}\))、水酸化鉄(\(\mathrm {Fe(OH)_3}\))などがあります。
電解質の電離度
電解質が水溶液中で電離している割合を電離度といいます。
割合なので電離度を \( \color{red}{\alpha}\) とすると \( \color{red}{0 ≦\alpha≦1} \) となります。
電離度を求める式は、
\(\large{\displaystyle 電離度(\alpha)=\frac{電離した酸の物質量}{溶解した酸の物質量}}\)
または
\(\large{\displaystyle 電離度(\alpha)=\frac{電離した塩基の物質量}{溶解した塩基の物質量}}\)
です。
つまり、完全に電離する場合電離度は1となり、電離しにくい場合は0に近づきます。
電離度は温度などの条件によって変わりますので物質で決まっているわけではありませんが、
問題を解く際は条件が問題に与えられるので問題をよく読んで下さいね。
酸と塩基の強弱を決める電離度
酸や塩基の強弱は、電離度で決まります。
電離度が大きい物質は強酸、強塩基と呼ばれ、
電離度が小さい物質は弱酸、弱塩基と呼ばれます。
電離度の大きい酸、つまり強酸は
塩酸(\(\mathrm {HCl}\))、硫酸(\(\mathrm {H_2SO_4}\))、硝酸(\(\mathrm {HNO_3}\))
の3つを覚えておいてください。
電離度の小さい酸、つまり弱酸には
酢酸(\(\mathrm {CH_3COOH}\))や炭酸(\(\mathrm {H_2CO_3}\))などがあります。
電離度の大きい塩基、つまり強塩基は
水酸化ナトリウム(\(\mathrm {NaOH}\))、水酸化カルシウム(\(\mathrm {Ca(OH)_2}\))
などのアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物を覚えておいてください。
電離度の小さい弱塩基には
アンモニア(\(\mathrm {NH_3}\))、水酸化銅(\(\mathrm {Cu(OH)_2}\))
などがあります。
すべてを覚えようとすると時間がいくら合っても足りません。
強酸3つと、強塩基の水酸化ナトリウムだけは必ず覚えておいてください。
「中和」したときの「塩」の性質で役に立ちます。
ここでは酸と塩基の強弱を電離度で説明しました。
次はpHの求め方に進みますがその前に、
イオン濃度が先です。