加速度は速度や速さとどう違うのか確認しておきましょう。
求め方は難しくはありませんが、速度と同じように方向性を持つものなので注意しておくことがあります。
ここでは加速度を求める公式(物理基礎の段階での公式)と単位の読み方を説明しておきますが、
加速度にはマイナスもあるので注意が必要です。

加速度とは?

加速度というのは、「1秒間に速度がそれだけ変わるか」を示したものです。

例えば、
身近なところで100m走を思い出してみましょう。

速いといわれる人の走る速度は 10m/s くらいです。
世界記録保持者のウサインボルトは最高速度 11.8m/s 以上で走っているのですごいですよね。

しかし、100m 走で人はいきなり 10m/s の速度になるわけではありません。
最初から最後まで 10m/s だとすると記録は10秒ですから大した記録です。

スタートする前は速度は0です。
その後、速度を上げていくのですが、この速度の上がり具合を加速度というのです。

速度なので方向性があることは気をつけなくてはいけませんが、
減速する、つまり速度が落ちる場合も加速度というので、
加速度は速度が増える時だけではありません

こういう速度の変化がある物体の運動を「加速度運動」と言います。

加速度を求める公式

では加速度を具体的に求めて、公式化しておきましょう。

仮に 100m 走で 10m/s になるまでにスタートから 5秒かかったとしましょう。
このとき速度の変化は

 \( \mathrm{0\,m/s\hspace{10pt}\rightarrow 10\,m/s}\)

なので

 \( \Delta v=\mathrm{10-0=10(m/s)}\)
( \(\Delta \) は変化量を表す記号です。)

時間の変化は

 \( \mathrm{0\,s\hspace{10pt}\rightarrow 5\,s}\)

なので

 \( \Delta t=\mathrm{5-0=5(s)}\)

加速度は1秒間の速度変化なので、
加速度を \(a\) とすると

 \( a=\mathrm{\displaystyle \frac{10\,(m/s)}{5\,(s)}=2(m/s^2)}\)

となります。

この加速度の単位の表し方がいきなりは分かりづらいかもしれませんが、
少し後で説明します。

さて、加速度を求めましたがこれは5秒間一定の速度の増加とは言えません。
最初の1秒間の加速度と、4秒後から5秒後までの加速度は違っているかもしれません。
だから、こういった時間で割って加速度を計算したものは「平均の加速度」と言います。
平均の加速度を \( \bar{a}\) とすると

 \(\displaystyle \color{red}{\bar{a}=\frac{速度の変化}{経過時間}}\,\mathrm{(m/s^2)}\)

公式化しておきます。
 時間の変化を \(t_1 \rightarrow t_2\)
 速度の変化を \(v_1 \rightarrow v_2\)
つまり
 経過時間を \(t_2\,-\,t_1\)
 速度の変化を \(v_1\,-\,v_2\)
とすると

 \(\displaystyle \color{red}{\bar{a}=\frac{\Delta v}{\Delta t}=\frac{v_2-v_1}{t_2-t_1}}\hspace{7pt}\mathrm{(m/s^2)}\)

これが加速度を求める公式です。

加速度の単位と読み方

加速度は、速度の変化を時間で割ることになります。

速さの単位 \( \mathrm{m/s}\) を時間の単位 \( \mathrm{s}\) で割ることになるので

 \( \mathrm{(m/s)\div s=\displaystyle \frac{m}{s}\div s=\displaystyle \frac{m}{s}\times \displaystyle \frac{1}{s}=\displaystyle \frac{m}{s^2}=m/s^2}\)

となっています。

読み方は、
 「メートル・毎秒・毎秒
と読んで下さい。

加速度を求める基本問題と注意点

例題1

自動車が東に向かって走り出した。
3.0 秒後に 12m/s の速さになったときの加速度を求めよ。

平均の加速度は速さの変化を経過時間で割れば良いので、

 \( \bar{a}=\mathrm{\displaystyle \frac{12\,m/s}{3.0}=4.0\,(m/s^2)}\)

ですが、ここで注意が必要です。
 速度に方向性があるように、加速度にも方向性があります。

確かに、東を正の方向にすれば、
速度は 3.0 秒間で +12m/s となっています。
だから答は、
 東を正の方向とすると \(\color{red}{+}4.0\,\mathrm{(m/s^2)}\) となります。

しかし、西を正の方向とすると、
 速度は 3.0 秒間で -12m/s となっています。
よってこの場合は、
 西を正の方向とすると \(\color{red}{-}4.0\,\mathrm{(m/s^2)}\) としなければなりません。

 加速度はマイナスもあるのです。

⇒ 速さと速度の違いとは?公式を具体例で確認

方向があるので速度と加速度は注意して下さいね。

⇒ 等加速度直線運動の問題を解く公式とグラフの使い方

等速直線運動は中学でもやっています。
等加速度直線運動から高校らしくなります。