ベンゼンはケクレ構造をしていて安定しているので付加反応は起こりにくく置換反応を起こしやすいです。
付加反応も特殊な条件下では起こるので確認しておきましょう。
置換反応はハロゲン化、ニトロ化、スルホン化について書いておきます。

ベンゼンの置換反応

ベンゼンの構造は陰イオンが近づきにくい構造をしていますので、
陽イオンだけが近づくことができ、水素イオン(\(\mathrm{H^+}\))と入れかわる置換反応が起こりやすいです。

ハロゲン化

鉄粉を触媒にして塩素などのハロゲンを作用させるとベンゼンについていた水素原子とハロゲン原子が入れかわる置換反応が起こります。
これをハロゲン化といいます。

例えばハロゲンを塩素だとすると、クロロベンゼンが生成します。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{Cl_2}\,\rightarrow\,\mathrm{C_6H_5Cl}\,+\,\mathrm{HCl}\)

クロロベンゼン( \(\mathrm{C_6H_5Cl}\) )は無色の液体で水に溶けにくいです。

さらに塩素を過剰に通じるとジクロロベンゼンが生成します。
構造異性体の比率は \(p-> o-> m-\) の順になります。
 \(p-\)ジクロロベンゼンは「パラゾール」(商品名)と呼ばれる防虫剤としての用途があり無色の結晶です。

ニトロ化

ベンゼンに混酸(膿硝酸と濃硫酸の混合物)を60℃で反応させると水素がニトロ基で置換されてニトロベンゼンが生成します。
これがベンゼンのニトロ化です。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{HNO_3}\, \rightarrow{\mathrm{H_2SO_4}} \,\mathrm{C_6H_5NO_2}\,+\,\mathrm{H_2O}\)

ニトロベンゼンは水に溶けにくい淡黄色の液体で比重は水より大きいので水中では沈みます。

スルホン化

ベンゼンに濃硫酸を加えて80℃に加熱すると水素がスルホ基で置換されてベンゼンスルホン酸が生成します。
これがベンゼンのスルホン化です。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{H_2SO_4}\,\rightarrow \,\mathrm{C_6H_5SO_3H}\,+\,\mathrm{H_2O}\)

ベンゼンスルホン酸は水に溶けて強い酸性を示しますが、逆に有機溶媒には溶けにくいです。
有機化合物は水に溶けにくい疎水性を持っていますので水に溶かしたいとき(親水性を持たせたいとき)にスルホン化が良く使われます。

もう一つ特別な置換反応を紹介しておきます。

アルキル化(フリーデル・クラフツ反応)

ベンゼンに塩化アルミニウム \(\mathrm{AlCl_3}\) を触媒としてハロゲン化アルキルを反応させるとアルキルベンゼンが生成します。
このベンゼンのアルキル化をフリーデル・クラフツ反応といいます。

ベンゼンに側鎖となるアルキル基を加えるために広く使われる歴史上でも非常に重要な反応です。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{R-X}\,\rightarrow{\mathrm{AlCl_3}} \,\mathrm{C_6H_5-R}\,+\,\mathrm{HCl}\)

メカニズムは覚えなくても良いです。笑

付加反応

ベンゼンは普通の条件下では置換反応が起こりますが、特殊な条件下では付加反応も起こります。
例えば、白金\(\mathrm{Pt}\)かニッケル\(\mathrm{Ni}\)を触媒として用い、高温・高圧かで水素を付加させるとシクロヘキサンとなります。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{3H_2}\rightarrow \mathrm{C_6H_{12}}\)

または紫外線を含む光を当てながら塩素\( \mathrm{Cl_2}\)を付加させるとベンゼンヘキサクロリド(ヘキサクロロシクロヘキサン)が生成します。

 \( \mathrm{C_6H_6}\,+\,\mathrm{3Cl_2}\,\rightarrow \,\mathrm{C_6H_6Cl_6}\)

このベンゼンヘキサクロリド(BHC)は殺虫剤として使われていましたが毒性が強いので現在では使われていません。というか製造されていません。分解速度も遅いし、土壌に残るので環境問題になります。人体に対する毒性も強いから。

ベンゼン自体は反応性が良いとはいえませんが、置換体はいろいろと反応していきますのでここまではしっかりと覚えておきましょう。
付加反応よりも置換反応が多いです。

これから先の反応ではまた官能基が重要な役割を持ちます。
⇒ 有機化合物の官能基の種類と構造式の書き方
を参考に見直しておきましょう。
脂肪族でも芳香族でも官能基は同じです。

芳香族といえば

⇒ フェノールとアルコールの性質の違いと共通点

フェノールの性質は外せませんね。