タンパク質という言葉は良く聞くと思いますが構造を知っていますか?先ずはタンパク質の基本となるペプチドとペプチド結合から見ていきましょう。血液や酵素の元になる物質なのでペプチドの元になるアミノ酸から関連づけると良いですね。
ペプチド結合
アミノ酸のカルボキシ基である-\(\mathrm{COOH}\)と、
別のアミノ酸のアミノ基である-\(\mathrm{N_2H}\)とが、
脱水縮合した結合-\(\mathrm{CO-NH-}\)をペプチド結合といいます。
ペプチド結合によってできた物質をペプチドというのですが、
2分子のアミノ酸がペプチドしたものを「ジペプチド」
3分子のアミノ酸がペプチド結合すると「トリペプチド」
というようにギリシャ語の接頭語にペプチドとついていきます。
通常は10以上のアミノ酸がペプチド結合した物質を「ポリペプチド」といいます。
注意したいのは、
例えば「ジペプチド」にはペプチド結合はひとつしかありません。
「トリペプチド」にはペプチド結合は2つです。
結合する前のアミノ酸の数とペプチド結合の数は一致しないということです。
(ペプチド結合は1つ少ない。)
※
鎖状のポリペプチドのうちで特有の構造や性質を持つ物質をタンパク質というのです。
基本的な構造の名前を決めている「ペプチド」と生命活動に重要な役割をもつ「タンパク質」との違いは理解しておきましょう。
タンパク質は確かにポリペプチドですが、ペプチドはタンパク質とは限りません。
また、アミノ酸が複数結合したものがペプチドなので、
どちらのアミノ酸のカルボキシ基とアミノ基が結合するのかで構造異性体ができますし、
アミノ酸の記事でも書いていますがグリシン以外は光学異性体も存在するので光学異性体が多いのも特徴です。
異性体の数や構造については後回しでいいと思いますので先ずは基本用語を覚えて下さい。
タンパク質の構造
タンパク質は非常に大きな高分子です。
その基本的な成分はアミノ酸ですが、アミノ酸からペプチドの集合度合いによっていろいろと構造や名前が変わってきますのでチェックしておきましょう。
一次構造
アミノ酸の配列順序によるタンパク質の構成を一次構造といいます。
※
同じ種類のタンパク質では構成するアミノ酸の数や種類と配列順序は一定になります。
これはDNAやRNAのはたらきは、生物によって違いますがタンパク質作成情報は正確に伝えられているからですね。
二次構造
タンパク質の構造はアミノ酸配列だけで決まるのではありません。
ペプチド結合には極性の強い部分があるため水素結合をしやすいので、分子内で水素結合がたくさんおきることによりらせん構造をつくります。
(このらせんは右巻きです。)
このらせん構造を \(\mathrm{\color{red}{\alpha-}}\)ヘリックス構造といいます。
また、
ペプチド分子間で平行に並ぶように水素結合を形成するとらせんではなく波形の構造をつくります。
これを \(\mathrm{\beta-}\)シート構造といいます。
(他にも \(\mathrm{\beta-}\)ターン構造というのもあります。)
このようにポリペプチド主鎖部分の規則正しい構造をタンパク質の二次構造と呼びます。
三次構造
ポリペプチドは側鎖どうしに、硫黄原子2つが結合するジスルフィド(\(\mathrm{-S-S-}\))結合や水素結合、
アミノ基とカルボキシ基によるイオン結合、またファンデルワールス力などによって様々な相互作用がはたらくので非常に複雑な立体構造をしています。
これをタンパク質の三次構造といいます。
※
三次構造に代表されるタンパク質はミオグロビンでアミノ酸153個で構成されるタンパク質です。
四次構造
三次構造をしたポリペプチドが複数集まり、かたまりとなったものをタンパク質の四次構造といいます。
三次構造をしたポリペプチドをサブユニットということがありますが,サブユニットが集まったものが四次構造です。
また、二次以上のポリペプチドを高次構造ということもあります。
タンパク質の分類
タンパク質に希酸を加えて加水分解したとき、
\(\mathrm{\alpha-}\)アミノ酸だけを生じるタンパク質を単純タンパク質といい、
分子の形状や溶媒に対する溶解性によって、球状タンパク質と繊維状タンパク質に分類されます。
球状タンパク質は血液、酵素、ホルモンなどに多く見られ、機能タンパク質とも呼ばれます。
繊維状タンパク質はポリペプチド鎖が束になっており筋肉や結合組織になり、硬タンパク質とも呼ばれます。
\(\mathrm{\alpha-}\)アミノ酸以外にも、糖、脂質、リン酸などの補欠分子族や核酸を生じるタンパク質を複合タンパク質といいます。
複合タンパク質はヘモグロビンやクロロフィル赤血球などの生物の体内で特殊な機能をもって働くものが多いです。
まとめ
ここまでタンパク質の構造と基本的な性質を書いてきましたが、
生命活動になくてはならないものというのは分かると思います。
アミノ酸の縮合重合でペプチド結合ができて、
ペプチドの集まりで高次構造をつくり機能するのがタンパク質、ということですね。
アミノ酸の縮合重合は
⇒ 両性化合物であるアミノ酸の種類と構造と性質(ニンヒドリン反応と等電点)
で復習しておきましょう。
⇒ タンパク質の変性といろいろな検出反応
タンパク質の性質では非常に良く問題になるところです。