最外殻にある電子である価電子は、原子のイオンになりやすさや他の原子との結びつきやすさなどの化学的性質に大きく関係しています。希ガス(貴ガス)はどういう電子配置をしているのか?化学を学んでいく上で重要なところです。
価電子
電子が配置されているもっとも外側の電子殻を最外殻といい、
 その最外殻に入った電子を最外殻電子といいます。
最外殻電子の中でも原子の性質をきめる役目をする電子を価電子といいます。
価電子は他の電子と比べて安定しておらず、
 他の原子と反応しやすいので元素の化学的性質は価電子によって決まるのです。
価電子の数
価電子は最外殻電子といっても良いです。
 ただし、後で説明しますが希ガスは最外殻電子は安定しているので価電子とは数えません。
 ※
 希ガスは「貴ガス」と表記が変わっているので注意しておいて下さい。
こちらでも説明しておりますがもともと貴ガスと呼ばれることもありました。
 教科書でも表記が変わっているので見ておくと良いです。
価電子の数を例で見てみましょう。
水素 \( _1 \mathrm H\) はK殻に1個の電子があり、価電子数は1です。
 ヘリウム \( _2 \mathrm {He}\) はK殻に2個の電子がありますが、
 K殻は2個で閉殻(満杯になる)しますので安定していて価電子とはいいません。
 だからヘリウムの価電子は0です。
後は簡単に並べて行きます。
リチウム \( _3 \mathrm {Li}\) K殻2個L殻1個なので価電子1。
 ベリリウム \(_4 \mathrm {Be}\) K殻2個L殻2個なので価電子2。
 ホウ素 \(_5 \mathrm {B}\) K殻2個L殻3個なので価電子3。
 炭素 \(_6 \mathrm {C}\) K殻2個L殻4個なので価電子4。
 窒素(チッソ) \(_7 \mathrm {N}\) K殻2個L殻5個なので価電子5。
 酸素 \(_8 \mathrm {O}\) K殻2個L殻6個なので価電子6。
 フッ素 \(_9 \mathrm {F}\) K殻2個L殻7個なので価電子7。
 ネオン \(_{10} \mathrm {Ne}\) K殻2個L殻8個で価電子8、
 ではなくて、L殻は8個で閉殻して安定するので価電子とはいいません。
 ネオンの価電子数は0です。
これより原子番号の大きい原子についても同じ規則性で価電子が変わります。
希ガス(貴ガス)
価電子を見ていくとちょうど閉殻している原子は価電子数が0です。
 これらの価電子が0の原子は他の原子と反応しにくく1個の原子単独で存在します。
ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン
の6元素は空気中にごくわずかながら単原子分子の気体と存在しているのでこれらの元素を希ガスといいます。
 英語では希少性からレアなガス=‘rare gas’となります。
 または「貴ガス」ともいわれます。
希ガス(貴ガス)の電子配置
希ガスの最外殻電子はヘリウムだけ2個で、
 他の貴ガスはすべて最外殻電子は8個で安定な電子配置をしています。
 このように最大数の電子が収容された電子殻を閉殻というのです。
貴ガスの価電子はすべて0個とします。
最外殻電子が価電子とならない 一族だということです。
貴ガスの電子配置は少しややこしいので書き出しておきます。
 ヘリウム \(_2 \mathrm {He}\) K2
  ネオン \(_{10} \mathrm {Ne}\) K2 L8
  アルゴン \(_{18} \mathrm {Ar}\) K2 L8 M8
 (ここからはあまり気にせずスルーしても良いです。)
  クリプトン \(_{36} \mathrm {Kr}\) K2 L8 M18 N8
  キセノン \(_{54} \mathrm {Xe}\) K2 L8 M18 N18 O8
  ラドン \(_{86} \mathrm {Rn}\) K2 L8 M18 N32 O18 P8
電子殻の順番はN殻の次はO殻で、その次はP殻です。
 Oはゼロではありませんので間違えないでください。笑
⇒ 原子の電子配置 電子殻と電子数
 も合わせて復習してくださいね。
次は重要な項目となります。
20番までは覚えておくと非常に役に立ちます。