陽イオンと陰イオンの違いと見分け方です。原子は正の電荷をおびた陽子と負の電荷をおびた電子の数が等しく中性になっています。しかし、何かが原因となり電子を放出したり、受け取ったりすると原子粒子自体が電荷をおびてイオンになります。ここではイオンの生成や電離についてお伝えします。
陽イオンと陰イオンの違いと見分け方
原子の構成の記事でも書きましたが原子は陽子と電子の数は等しく電気的に中性です。
しかし、原子が電子を失ったり、受け取ったりすると電気的に釣り合いがとれなくなり、電気をおびるようになります。
このように電荷をおびた粒子(原子や原子団)をイオンといいます。
電子を失い正の電荷を持つイオンを陽イオン、
電子を受け取り負の電荷を持つイオンを陰イオン、と呼びます。
※イオンとはギリシャ語で「行く、移動する」という意味らしいです。ギリシャ語はよくわかりませんがファラデーがつけた(そう呼び出した?)名前のようですね。
電離
塩化ナトリウム( \(\mathrm {NaCl}\) )を水に溶かすと、
ナトリウムイオン( \(\mathrm {Na^+}\) )と塩化物イオン( \(\mathrm {Cl^-}\) )に別れます。
このように物質がイオンに別れる現象を電離といいます。
水などに溶けてイオンに電離する物質を電解質といい、電離しない物質を非電解質といいます。
陽イオン
原子は電子を失うと、正の電荷をおびた陽イオンになります。
例えばナトリウム( \(\mathrm {Na}\) )には価電子が1個ありますが、
1個電子を失うと、陽子が11個、電子が10個となります。
これは電気的に中性ではなく+が1個多いことになるので、
ナトリウムイオン \(\mathrm {Na^+}\) となります。
このナトリウムイオンは電子が10個ですが、
K殻に2個とL殻に8個の電子がある希ガスのネオン( \(\mathrm {Ne}\) )と同じ電子配置となり安定なのです。
陰イオン
原子が電子を受け取ると、負の電荷をおびた陰イオンになります。
例えば塩素( \(\mathrm {Cl}\) )には価電子が7個ありますが、
1個電子を受け取ると、陽子が17個、電子が18個となります。
これは原子全体で陽子より電子の方が1個多い状態となるので
塩化物イオン( \(\mathrm {Cl^-}\) )となります。
この塩化物イオンには電子が18個ありますが、
これは希ガスのアルゴンと同じ電子配置をとるので安定です。
このようにイオンになる場合、希ガスの電子配置になるように電子の受け渡しが行われると考えていて良いです。
イオンになるときの電子配置は一番近い希ガスと同じ状態になることが多いので、
周期表で左側の原子は電子を失ってその前の周期の希ガスの電子配置となり陽イオン、
周期表で右側の原子は電子を受け取ってその周期の希ガスの電子配置となり陰イオン、
になるということですね。(水素は別に考えています。)
\(\mathrm{\,H\,}\) | \(\mathrm{\,He\,}\) | ||||||
\(\mathrm{\,Li\,}\) | \(\mathrm{Be}\) | \(\mathrm{B}\) | \(\mathrm{C}\) | \(\mathrm{N}\) | \(\mathrm{O}\) | \(\mathrm{\,F\,}\) | \(\mathrm{\,Ne\,}\) |
\(\mathrm{\,Na\,}\) | \(\mathrm{Mg}\) | \(\mathrm{Al}\) | \(\mathrm{Si}\) | \(\mathrm{P}\) | \(\mathrm{S}\) | \(\mathrm{\,Cl\,}\) | \(\mathrm{\,Ar\,}\) |
\(\mathrm{\,K\,}\) | \(\mathrm{Ca}\) |
原子だけで考えれば上の周期表(この20個の原子さえ覚えておけば良い。)で、
1番右の希ガスと呼ばれる原子は電子配置が安定です。
その希ガスの電子配置になるために、
電子をもらって陰イオンになるか、
電子を失って陽イオンになるかが決まるというわけです。
真ん中付近の原子はイオンにはなりにくいですが、
左から2番目のアルカリ土類金属と呼ばれる元素は陽イオンになりやすいです。
希ガスの電子配置は非常に安定しています。
これからいろいろな化学結合を考えていく上で周期表の18族である希ガスの電子配置は書けるようにしておくと良いですよ。
希ガスと周期表についてはこちら
⇒ 最外殻電子と価電子 希ガスの電子配置
やこちら
⇒ 元素の周期律と周期表 周期と族の違い
で見ておいてください。
イオンで有名なのは「AEON」ショップの「イオン」ですが、
化学のイオンは「ion」です。w